子宮が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

子宮が痛い

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 月経ではないのに多量の出血がある
  • 痛みが激しい
  • 下腹部を押したり急に離したりすると痛みが強くなる
  • 妊娠後期で周期的な痛みがある
  • 妊娠しており週数に関係なく休みのない痛みやお腹の張りが続く

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 痛みが続いている
  • 不正出血、月経不順がある
  • 月経中で、日常生活に支障があるほどの痛みがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 月経に伴う痛みで、日常生活に支障がない

[医師監修] メディカルノート編集部

子宮は筋肉で形成された袋状の器官であり、内腔では子宮内膜と呼ばれる組織が女性ホルモンのはたらきによって、成熟・脱落を周期的に繰り返しています。

子宮は妊娠・出産にかかわる非常に重要な器官ですが、さまざまなトラブルを引き起こしやすい器官でもあります。

  • 月経(生理)前や月経中に非常に強い子宮の痛みが生じて、日常生活に支障をきたしている
  • 発熱や倦怠感などの全身症状を伴う子宮の痛みがある
  • 月経量が多くなり、同時に子宮の痛みも感じるようになった

これらの症状がみられる場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

子宮を構成する厚みのある筋肉は月経時に収縮し、それが痛みの原因になることがあります。また、子宮は子宮頸部(しきゅうけいぶ)や腟を通して外界とつながっている器官であるため、炎症などで痛みを引き起こすなど、痛みの原因には以下のようにさまざまな病気が関連しています。

子宮の痛みは、子宮やその周辺にできる病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下の通りです。

子宮筋腫

子宮の筋肉(平滑筋(へいかつきん))に発生する良性腫瘍の一種であり、30歳以上の女性の20~30%が罹患しているとされる発症頻度が高い病気です。

女性ホルモンの一種であるエストロゲンの作用によって大きくなることが特徴で、閉経すると縮小傾向を示します。発生する部位は、子宮の筋肉の内部、子宮筋肉の外側、内側などさまざまで、内側に発生するものは粘膜下筋腫といって子宮内腔に張り出すことで着床障害による不妊症の原因になることがあります。また、月経過多や月経過長(月経が長く続くこと)、不正出血が起こりやすくなり、慢性的な貧血を発症することも少なくありません。さらに、月経時の子宮収縮による痛み(月経痛)が強くなることが特徴です。

月経過多や月経痛の症状が激しい場合には、良性腫瘍であるものの手術による摘出が必要になることがあります。

子宮筋腫
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子宮内膜症、子宮腺筋症

子宮内膜組織が子宮の内腔以外の部位で成熟する病気です。子宮内膜症は子宮の外部や卵巣などに発症することが多いですが、腹腔内・胸腔内のどこにでも発症する可能性があります。特に、胸腔内の場合は月経のたびに気胸(肺に穴が開く病気)を引き起こすこともあります。一方、子宮腺筋症は子宮の筋肉内に子宮内膜組織が存在する病気で、月経時に筋肉内で出血を起こすため、月経痛が強くなります。

いずれも月経前や月経中などに強い子宮の痛みを生じ、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。そのほかにも、性交痛や月経過多、不妊の原因になることがあります。

子宮内膜症
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子宮がん

子宮頸部や子宮体部に発生するがんです。進行して病変(病気による変化がみられる箇所)が大きくなると周囲の神経を圧迫したり、病変部の炎症によって痛みを引き起こしたりすることがあります。

子宮頸管炎、子宮内膜炎

腟から侵入した細菌やウイルスなどの病原体が、子宮頸管や子宮内膜にまで波及して炎症を引き起こす病気です。クラミジアや淋病(りんびょう)などの性感染症が原因になることが多いです。おりものの性状の変化や陰部のかゆみなどを引き起こすこともありますが、自覚症状がほとんどなく、炎症がさらに腹腔内にまで波及するケースもあります。

炎症が強い場合には、発熱や倦怠感などの全身症状と共に子宮の痛みが生じることもあります。

子宮頸管炎
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子宮内膜炎
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子宮の痛みは、子宮自体の機能や形態の異常に関連して起こります。原因となる主な病気は以下の通りです。

月経困難症

月経の際に生じる下腹痛や気分の変調などが日常生活に支障をきたすほど強くなる状態を月経困難症といいます。一般的には月経時の過度な子宮収縮に伴う痛みで、その原因には子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が関係していることもあります。しかし、そのような病気と関連しないことも多くあります。ストレスや体の冷えなどによって子宮が過度に収縮することが原因となることもあります。

月経困難症
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月経前症候群

月経前の3~10日にかけて、イライラ感や抑うつ気分、不安感、集中力の低下などの情緒の不安定さと、子宮の痛みや頭痛、腰痛、むくみなどの身体症状が強く現れる病気です。明確な発症メカニズムは解明されていませんが、女性ホルモンバランスの乱れやストレスなどが原因と考えられています。

子宮後屈

通常、子宮は膀胱の方に前屈した状態にありますが、後方へ傾いた状態を子宮後屈といいます。原因は、妊娠・出産による子宮を支える靭帯(じんたい)の緩み、骨盤内感染症などが挙げられます。無症状の場合が大部分で、病気とはいえないものですが、性交時や月経時に子宮の痛みを感じやすくなるほか、まれに不妊症の原因になることもあります。

子宮の痛みは生理痛(月経痛)など日常的によく起こりうる症状であるため、市販の鎮痛剤などを服用してやり過ごしている人も多いでしょう。しかし、子宮の痛みは思わぬ病気が潜んでいる可能性もあるため、注意が必要です。

特に、不正出血やおりものの変化を伴う、発熱や倦怠感(けんたいかん)などの全身症状がある、非常に強い痛みのために日常生活に支障をきたしているような場合には、早めに病院を受診するようにしましょう。

受診に適した診療科は婦人科や産婦人科です。受診の際には、いつから子宮の痛みが現れたのか、月経の周期との関係、痛みの誘因、随伴する症状などを詳しく医師に説明しましょう。また、基礎体温を記録している場合はそこに痛みのある時期を明記しておいて持参すると診察がスムーズに進むことがあります。

子宮の痛みは日常生活上の習慣が原因となっていることがあります。原因となる主な習慣と、それぞれの対処法は以下の通りです。

冷えによって全身の血行が悪化することで子宮の筋肉が硬くなり、月経時に過度な収縮を引き起こすことがあるといわれています。

体を冷やさないためには

冬場は下腹部が冷えないような服装を心がけるのはもちろんのこと、夏であっても冷房などで体を冷やさないよう、職場などではひざ掛けや厚手の靴下を利用するようにしましょう。

過度なストレスは女性ホルモンバランスの乱れを引き起こしたり、月経困難症や月経前症候群の発症を促したりします。これによって、子宮の痛みの原因となることがあります。

ストレスを溜めないためには

趣味をみつけるなど、自分に合ったストレス解消法を身につけ、ストレスが溜まりにくい生活を心がけるようにしましょう。また、睡眠・休息時間をしっかり確保することも大切です。

日常生活上の対処法を講じても症状が改善しない場合は、思わぬ病気が潜んでいる可能性も否定できません。中にはすぐに治療を開始しなければ非常に重い状態になったり、将来的に不妊のリスクが上昇したりするケースもあります。軽く考えずに早めに病院を受診するようにしましょう。