肌のかゆみ:医師が考える原因と対処法|症状辞典

肌のかゆみ

[医師監修] メディカルノート編集部

ヒトの皮膚は層構造になっています。最も外側の角質層には角化した細胞(垢のもと)が積み重なっており、さまざまな刺激から皮膚の深層をバリアしたり、皮膚内部に水分を維持したりする役目を果たしています。

しかし、皮膚には日常的に多くのダメージが加わるうえに、さまざまな病気が発生しやすい部位であるため、トラブルが生じることが多くあります。とくに、肌のかゆみは年齢を問わず悩む方がいるトラブルのひとつです。

  • 皮膚がカサカサになり、かゆみを生じるようになった
  • 特定のものに触れると非常に強いかゆみを伴う皮疹が現れる
  • 肌や目が黄色っぽくなり、全身にやり場のない強いかゆみが生じる

これらの症状が現れた場合、原因としてどのようなものが考えられるのでしょうか。

皮膚は、日常生活上のさまざまな原因でかゆみを引き起こすことがあります。しかし、中には以下のような病気が原因であるケースもあるため、見過ごすことができない症状のひとつです。

肌のかゆみは皮膚自体に生じる以下のような病気が原因のことがあります。

皮脂欠乏性(ひしけつぼうせい)皮膚炎

加齢などにより、皮膚の水分量が減少していわゆる乾燥肌となり、進行すると強いかゆみを引き起こす湿疹が生じる病気です。高齢者によく起こり、足の(すね)や腰部、背中、腕などに発症しやすいとされています。

皮膚を掻きむしることでさらに乾燥が進行し、皮膚のびらん(ただれ)や出血、細菌感染による痛みなどを引き起こすこともあります。

接触皮膚炎

一般的にかぶれと呼ばれるもので、特定の物質が皮膚に触れることで発赤や熱感、かゆみなどが生じる病気です。重症な場合には水疱(すいほう)を形成することもあり、アレルギーによるものとアレルギーとは無関係に発症するものがあります。

接触皮膚炎
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蕁麻疹(じんましん)

特定のアレルゲンを体内に取り入れてしまうことで生じるアレルギー症状のひとつです。扁平(へんぺい)でやや膨らみのある皮疹が形成され、非常に強いかゆみを生じるのが特徴です。

また、蕁麻疹以外にも目のかゆみや流涙、くしゃみなどのアレルギー症状を同時に生じることがあり、重症な場合には呼吸苦や血圧低下などの症状が引き起こされることもあります。

蕁麻疹
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アトピー性皮膚炎

アレルギー体質や皮膚のバリア機能が低い人に発症しやすい皮膚の病気です。些細な刺激で皮膚に炎症を引き起こし、強いかゆみを伴います。湿り気のある湿疹が形成されるのが特徴です。

アトピー性皮膚炎
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白癬(はくせん)、カンジダなど

皮膚にカビや細菌などが感染すると、かゆみをともなう皮疹を形成することがあります。一般的な病気はいわゆる水虫と呼ばれるもので、趾間(しかん)(足の指と指の間)などに白癬菌が感染することで発症します。

症状は、感染を引き起こす病原体によって異なりますが、かゆみを伴う皮疹や水疱、びらんなどが生じることが多いとされています。

水虫
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体部白癬
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乾癬(かんせん)

角質層が厚くなって皮膚が硬くなり、表面が銀白色のかさぶたに覆われた赤い皮疹が散在する病気です。肘や膝関節、脛、頭などに発症することが多く、半数にかゆみを伴います。

発症原因はさまざまで、自己免疫の異常、皮膚への刺激などの環境的要因、肥満糖尿病などが発症の引き金になると考えられています。

乾癬
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皮膚のかゆみは、皮膚の病気だけでなく、以下のような病気の症状のひとつとして現れることがあります。

慢性腎不全

慢性的に腎臓の機能が低下する病気です。糖尿病や腎炎など、さまざまな病気が原因となります。腎臓は、体内の老廃物を尿とともに排出させるための重要なはたらきがあります。

しかし、腎臓のはたらきが悪くなることで老廃物が体内に蓄積し、全身のかゆみを引き起こすことがあります。そのほかにも、進行すると尿量の減少や全身倦怠感、息切れ、呼吸苦などの症状が現れ、人工透析が必要になるケースもあります。

肝臓がん・胆石症・胆管がん・(すい)がんなど

脂肪を分解する酵素などが含まれる胆汁は、肝臓で生成されて胆嚢(たんのう)に蓄えられ、胆管を通って十二指腸に排出されます。

しかし、これらの胆汁を排出する経路の異常によって胆汁の排出が妨げられると、胆汁に含まれるビリルビンが体内に過剰蓄積し、皮膚や目が黄色くなる黄疸(おうだん)が見られるとともに、全身に非常に強いかゆみが引き起こされます。

肝臓がん
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胆石症
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胆管がん
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肌のかゆみは日常的に発症することがある症状であり、皮膚のかゆみが生じたからといって病院を受診する人は少ないでしょう。しかし、皮膚のかゆみは、皮膚の病気だけにとどまらず、腎臓や肝臓の病気の一症状であるケースもあり、見過ごすことはできない症状のひとつでもあります。

特に、皮疹を伴う肌のかゆみ、黄疸などの全身症状があるかゆみ、耐え難いかゆみによって睡眠や日常生活に影響が生じている場合などは、なるべく早めに病院を受診するようにしましょう。

受診する診療科は皮膚科がよいですが、黄疸や息苦しさ、乏尿(ぼうにょう)などの全身症状がある場合は内科で相談したほうがよい場合もあります。受診の際には、いつからかゆみがあるのか、かゆみを生じる誘因、かゆみの程度、そのほかの随伴症状や現在患っている病気などを詳しく医師に説明するようにしましょう。

肌のかゆみは、日常生活上の習慣が原因で引き起こされていることがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下の通りです。

日焼けや外気の乾燥などによって、皮膚に含まれる水分量が減少することでかゆみが引き起こされることがあります。

乾燥肌を防ぐには

入浴後などに、乾燥が気になる部位に保湿効果の高いクリームやローションを使用したり、乾燥しやすい冬は加湿器などを使用したりして室内を適度な湿度に保つようにしましょう。

入浴時に皮膚の汚れや汗が気になるあまり肌を過剰に洗浄すると、皮膚を傷つけるだけでなく、乾燥肌を招いてかゆみを引き起こすことがあります。

肌を正しく洗浄するには

肌への刺激が少ないボディーソープなどをよく泡立てて、手で優しく泡を行き渡らせるのがポイントです。ナイロン製のタオルなどは肌に刺激を与えるので控えたほうがよいでしょう。

夏場や運動時など汗をかきやすい状況下で、通気性が悪く体に密着した下着や衣類を着用していると、かゆみの原因となる汗疹(かんしん)あせも)などを引き起こしやすくなります。

汗が溜まりにくい服装をするには

綿やシルクなど吸水性と通気性のよい下着や衣類を着用し、スキニーパンツなどのような体のラインに密着する服装は避けるようにしましょう。

日常生活上の対処策を講じても、肌のかゆみが改善しない場合は思わぬ病気が潜んでいる可能性があります。軽く考えずに、それぞれの症状に合った診療科を早めに受診するようにしましょう。