顔の発疹:医師が考える原因と対処法|症状辞典
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
顔には皮脂腺や汗腺などの分泌腺が数多くあるほか、日光や化粧品などの刺激を受けやすいため、トラブルが起きやすい部位だと言えます。また、気になって手で触れやすい部位でもあるため、症状が長引いたり繰り返し起こったりすることもあります。
特に、顔には発疹ができることがあり、さまざまな原因が考えられます。
これらの症状が見られた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。
顔の発疹は、日常生活上の好ましくない習慣が原因で引き起こされることがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下の通りです。
肌の乾燥は皮膚のバリア機能を低下させて発疹が起こる原因となります。保湿の不足や暖房などによる部屋の乾燥のほか、過度な洗顔も皮膚の皮脂を洗い流し、乾燥の原因となります。
洗顔後は化粧水やクリームなどでしっかりと保湿をするようにしましょう。暖房を使用する際は加湿器を使用するなど、部屋の湿度を十分に保つようにしましょう。洗顔するときは過度に洗いすぎないように気を付け、熱いお湯での洗顔は避けるようにしましょう。
化粧品や洗顔料が自分の肌に合っていない場合、かぶれの原因となり発疹が現れることがあります。また、洗浄が不十分だと毛穴に汚れが溜まり、発疹の原因となることがあります。
かぶれの原因となっていることが疑われる製品の使用を中止し、様子を見るようにしましょう。使用を中止しても症状がよくならない場合は、製品を持参して医療機関を受診するようにしましょう。
日常生活上の対処法を講じても顔の発疹が改善しない場合は、思わぬ病気が潜んでいる可能性があります。軽く考えずに、なるべく早めに病院を受診して検査・治療を受けるようにしましょう。
顔には皮脂腺や汗腺などが数多く存在しているため、発疹が起きやすい部位だと言えます。比較的頻度が高い病気の場合もあれば、注意が必要な病気の症状である場合もあります。
顔の発疹は、以下のような比較的よくある病気が原因のことがあります。
いわゆる「にきび」のことです。毛穴に皮脂が溜まってできた発疹を「白にきび」、白にきびにアクネ菌が感染して炎症反応が起こった状態を「赤にきび」と呼びます。
症状の進行に応じて皮膚の隆起や赤みを生じ、重症化すると皮膚の陥没や色素沈着を起こすこともあります。
「かぶれ」とも呼ばれます。特定の物質の皮膚への接触が原因となって起こる皮膚の炎症で、シャンプーや化粧品など、さまざまな物質が原因になることがあります。
小さな赤い発疹や、水ぶくれなどが現れるほか、皮膚のかゆみや痛み、ただれが起こることもあります。
鼻や頬、あごなどに赤みが現れる病気で、進行すると毛穴の部分が小さく盛り上がる症状が現れることもあります。
にきびにも似た形状をしていますが、中年以降の女性に現れることが多く、皮膚の清潔を心掛けても改善しません。一日の中で症状がよくなったり悪くなったりすることも特徴です。
一般的に「乾燥肌」と呼ばれる状態が悪化した症状のことです。
皮膚の保湿環境を保つためのバリア機能が失われ、ちょっとした刺激で皮膚に炎症を起こすようになります。皮膚炎を発症すると皮膚にかゆみ、赤みなどが現れます。
かゆみを伴う湿疹が現れる病気で、回復と悪化を繰り返すことが特徴です。
アトピー性皮膚炎はさまざまな原因が組み合わさることで起こりますが、汗をかきやすい夏や乾燥しやすい冬に悪化する傾向があります。
皮膚の一部に少し膨らんだ発疹(膨疹)が現れることが特徴で、一般的にかゆみを伴います。
症状が続くことは少なく、その多くが短時間で消失します。食物やストレスが原因となるものもありますが、原因が不明のものも多いです。また、アレルギー反応の症状として現れることもあります。
初感染時には水痘(俗に言う「水ぼうそう」)と呼ばれますが、その後も体内に隠れたウイルスが免疫機能の低下などによって再活性することで帯状疱疹として発症します。ぴりぴりとした皮膚の痛みに始まり、赤みや水疱などの皮膚症状が現れることが特徴です。
顔の発疹は、以下のような注意が必要な病気が原因となることがあります。
日光などが当たった部位に、異常な皮膚の症状を引き起こしてしまう病気です。
遺伝的な要因や自己免疫疾患のほか、特定の薬の服用が原因となって発症することがあります。顔や首、手首などの日光が当たる部位に赤い発疹や水ぶくれ、かゆみが現れることがあります。
自己の免疫機能が正常な細胞を攻撃してしまう自己免疫性疾患のひとつで、指定難病のひとつです。
女性に多い病気ですが、はっきりとした原因はわかっていません。「蝶形紅斑」と呼ばれる蝶のような形の発疹が顔に現れることが特徴で、皮膚症状のほかに関節の痛みや腎機能の低下による顔や足のむくみが現れることもあります。
顔の発疹は比較的よく起こる症状であるために、わざわざ病院にいかなくても、見過ごしてしまうことも多い症状です。しかし、中には重大な病気によって引き起こされている場合もあるほか、適切に処置をしなければ顔にあとが残ってしまう原因にもなりかねません。
特に、顔の発疹に出血や膿がみられる場合、顔以外の広い範囲に発疹がみられる場合、皮膚症状のほかに気になる症状がある場合はなるべく早めに病院を受診しましょう。
受診に適した診療科は皮膚科ですが、小児の場合はかかりつけの小児科でも診てもらうことができます。受診の際には、いつから皮膚の症状が現れたのか、ほかに症状はあるのか、現在治療中の病気はあるのかなどを詳しく医師に説明するのがポイントです。皮膚の症状以外にも気になる症状がある場合には、医師に伝えるようにしましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。