インタビュー

くも膜下出血とは-脳卒中のなかで最も生命の危険が大きい

くも膜下出血とは-脳卒中のなかで最も生命の危険が大きい
塩川 芳昭 先生

杏林大学 脳神経外科 教授、杏林大学付属病院 副院長

塩川 芳昭 先生

この記事の最終更新は2016年03月01日です。

くも膜下出血は、脳卒中のなかでも出血性脳卒中に分類され、生命の危険が大きい病気です。くも膜下出血後の生存率や後遺症の重さは、出血量や出血部位によって変わります。杏林大学 脳神経外科主任教授ならびに副院長の塩川芳昭(しおかわ よしあき)先生にくも膜下出血とは何か、発生しやすい部位についてお話しいただきました。

脳卒中は、脳の血管が詰まる場合(虚血性)と血管が切れる場合(出血性)に分けられます。なかでも太い血管にできたこぶ(動脈瘤・くも膜の下にある)が破れて、くも膜の下に出血が広がる病気をくも膜下出血と呼びます。一方、脳内出血は脳の内部へ血液を運ぶ細い血管が切れて、脳の中に出血する病気です。くも膜と脳との間(くも膜下)には脳の栄養血管である動脈が走り、保護液でもある脳脊髄液(無色透明の体液)が満たされています。

脳卒中の分類

くも膜下出血は脳卒中全体の約1割程度です。しかし太い血管から出血するため一般的に出血の程度が強く、他の脳卒中と比べて生命の危険が大きい脳卒中として知られています。出血性の脳卒中では、出血量や出血部位によって死亡率や後遺症の重さが変わってきます。

くも膜下出血と脳内出血の違い

厚労省によると、平成26年1年間の死因別死亡総数のうち、脳血管疾患は11万4,207人で全体の9.0パーセントを占め、全死因の上位から4番目と報告されました。このうち、くも膜下出血で亡くなった方は1万2,662人(全体の11%)、脳内出血は3万2,550人、脳梗塞は6万6,058人、その他の脳血管疾患が2,937人でした。

くも膜下出血が起こりやすい部位は次のような脳底部にある太い血管の分岐部(枝分かれするところ)です。

● 前交通動脈瘤(ぜんこうつうどうみゃくりゅう)

● 中大脳動脈瘤(ちゅうだいのうどうみゃくりゅう)

● 内頸動脈-後交通動脈分岐動脈瘤(ないけいどうみゃく-こうこうつうどうみゃくぶんきどうみゃくりゅう)

● 後方循環動脈瘤(こうほうじゅんかんどうみゃくりゅう)

またこぶの破裂のしやすさには、こぶの大きさ・場所・形が重要となります。大きさが5〜7mm以上の動脈瘤、場所は前交通動脈・内頸動脈-後交通動脈分岐動脈・後方循環動脈瘤、形はでこぼこしている動脈瘤が破裂しやすいといえます。動脈瘤の壁は通常の血管と異なり、弾性繊維(弾性に富む繊維)がありません。そのため、動脈瘤には構造的に一部弱い部分ができる場合があり、その弱い部分が血流によって膨らみます。つまりでこぼことした形は、動脈瘤のなかに弱い部分があるということを示しており、非常に破れやすいということがいえるのです。

動脈瘤の好発部位
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