世界的に増加傾向にあるといわれる炎症性腸疾患(IBD)。なかでもクローン病は長期にわたり継続的な治療が必要な病気です。なぜクローン病は増加しているのでしょうか。東京山手メディカルセンター副院長、炎症性腸疾患センター長高添正和先生にお話をうかがいます。
しかし、「果たして本当に若い人だけに増えているのか」という点には疑問が残ります。確かに若い人の中でインシデンス(発症頻度)は高いことがわかっています。しかし、実際に私がシミュレーションしてみたところ、他の病気と比較するとその年代では発症頻度は高いものの、人口あたりの患者数を10年、20年、30年の経過とともに予測してみると、必ずしも若い方ばかりではないことがわかります。
今なにかと話題にされる2025年問題ですが、2025年には75歳以上の人口が3,657万人を超えるといわれています。つまり、若い時にクローン病を発症した患者さんも年齢を重ねればそれに比例してクローン病の患者さんも増えるということです。
私が今もっとも重要だと考えるのは、年齢を重ねたIBD患者さんのケアの体制をどうするかということです。若い患者さんのQOL(生活の質)についてはいつも議論されますが、クローン病を抱えながら年齢を重ねていくであろう患者さんのこれからの治療は忘れ去られており、特別な研究班なども存在しません。今後は、若い時にクローン病を発症した患者さんが年齢を重ねていく際に、継続的なケアや治療をどうすればよいかという問題がが、炎症性腸疾患において今後の大きなテーマになるでしょう。
その明確な理由はわかっていませんが、ひとつには生活環境がきれいになったからという説があります。
クローン病が初めて報告されたのは1932年、ニューヨークにおいてのことです。その頃、1920年代にアメリカで開発された冷蔵庫がスウェーデンやデンマークなど北欧でも普及するという世界的に大きな社会変化がありました。どうやら、その冷蔵庫の普及に伴ってクローン病が増えたのではないかといわれています。
慢性疾患は、本来であればある程度汚れた環境の中では発生することが少ないと考えられています。「野菜を腐らせずに貯蔵する」という目的で普及した冷蔵庫がバクテリアの発生を抑えてしまい、そのようなバクテリアなどがいないきれいな環境が、クローン病の増加に影響しているのではないかといわれているのです。
実は同じような現象がその後も起こっており、1964年東京オリンピックの後と1988年ソウルオリンピックの後、上下水道の整備の後にIBDは一気に増加しています。
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