インタビュー

補聴器とは-種類と購入費用の補助について

補聴器とは-種類と購入費用の補助について
鈴木 伸嘉 先生

なのはな みみ・はな・のどクリニック 院長

鈴木 伸嘉 先生

この記事の最終更新は2016年02月17日です。

補聴器は最新テクノロジーによって超小型化が進み、無線式のワイヤレス・タイプやスマートフォンとの連携も可能になっています。国際医療福祉大学三田病院で補聴器外来を担当されている鈴木伸嘉先生は、ご自身でも補聴器を使っておられます。ユーザーの視点と専門医の立場の両方からみた最新の補聴器事情についてお話をうかがいました。

補聴器はマイクとイヤホンが付いた電気増幅器です。マイクで拾った音声を電気信号に変換し、増幅したり音質を補正してイヤホンから出力します。従来はアナログ方式とデジタル方式の両方がありましたが、現在はほとんどの製品がデジタル方式です。

耳あな型オーダーメイド補聴器は、形状によってCICやカナル型の2つに大きく分かれます。

①CIC(completely in the canal)

完全に耳穴に入る(completely in the canal)タイプで、鼓膜に近い場所に収まるため、より自然で快適な聞こえが得られますが、その反面ハウリング(音に関する現象のひとつ)しやすいというデメリットもあります。また、非常に小さな電池を使うため、連続使用時間は短くなります。超小型のため手先が器用な方に向いています。CIC補聴器を利用するには、 外耳道が一定以上の大きさであることが必要です。CICよりもさらに奥のほうに位置し、外からはまったく見えないIIC(invisible in the canal)と呼ばれるタイプもあります。

②カナル型

CICよりも大き目の形状で、初めての方でも使いやすいといえます。CICに比べてやや大きめの電池を使用するため取り扱いや電池の交換も比較的容易で、連続使用時間も長くなります。マイクの指向性によって周囲が騒がしくても聴き取りやすくするなど、より多くの機能を持たせることができます。

  • ITC(in the canal):CICより形状は大きくなりますが装用時、正面からではほとんど気付きません。
  • ITE(in the ear):フルサイズ・フルシェルとも呼ばれるタイプで外見上は少し目立ちますが、本体が大きい分さまざまな機能を搭載することができ、高度難聴にも対応します。
各種耳あな式補聴器の比較
  • マイクロBTE(小型耳掛け型補聴器)

現在日本で主流になっているのは外耳道レシーバータイプというものです。従来は補聴器本体から出た音をチューブでイヤーピースまで誘導して外耳道に送っていましたが、外耳道レシーバータイプではイヤーピース自体がスピーカーになっており、補聴器本体が分離していることで小型化が可能になりました。また、本体とイヤーピースをつなぐケーブルもごく細く目立たないものになっています。

鈴木先生が実際に使用しているマイクロBTE(小型耳掛け型補聴器)

補聴器の価格は比較的安価なものから高額なものまでさまざまです。一般的には小型のものほど高くなりますが、一概に価格と性能が比例するとはいえませんし、値段が高いほど聴こえが良くなるとも限りませんので、医師と相談して購入することをおすすめします。医療費控除のほか、聴覚障害の等級などによって公的な補助金が受けられる場合があります。詳しくはお住まいの自治体で福祉担当窓口へお問い合わせください。

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