DOCTOR’S
STORIES
一人ひとりに合ったよりよい医療の提供を目指す循環器内科医、廣井 透雄先生のストーリー
中学3年生の頃、スポーツをしていて鎖骨を折ってしまい病院にかかりました。そのとき主治医の先生にお世話になったことから、将来の職業として意識するようになったのが医師を目指したきっかけです。
医学部に進学してからは、自分の専門となる診療科をいろいろと考えました。とりあえず、内科と決めて2年間の初期研修は東京大学医学部附属病院分院(当時)、本院、自治医科大学附属病院で行いました。研修では
3年目に勤めた榊原記念病院は循環器を専門とする病院で当時は新宿にあり、多くの救急車を受け入れ、次々に診断をつけ治療を行う野戦病院のような環境でした。内科の故・
循環器の病気は、病気が起こる原因や発症の仕組みを理解したうえで治療にあたることが重要です。そのため、患者さんにも病気のことを理解していただかなければ、その先の治療に進むことは難しいと考えています。そこで私が診察するときは、患者さんにとって分かりやすく丁寧に説明することを心がけており、患者さんから「よく理解できました」と言ってもらえるととても嬉しく思います。もちろん、治療した後に「胸の痛みが取れた」「息切れがなくなった」「むくみが取れた」などと知らせていただけるのも、医師にとって喜ばしいことです。
中には、90歳を超えたご高齢でありながら、大きな手術を受けて回復され、元気に外来に通ってきてくださる患者さんもいらっしゃいます。ご自身できちんと食事を取り、はつらつとして過ごされている様子に、理想の歳の重ね方だなと尊敬の念を抱いています。
医師としての転機となった出来事がいくつかあります。1つは、アメリカへの留学です。各国の医師と会話するなかで、日本の医療の中に居ては得られないような広い視野が育まれました。その後、当院に赴任して診療科全体の責任を負うようになり、そこでまた見えるものが変わってきたように思います。また、当院では医療安全管理の業務を約5年間にわたり務め、病院全体の医療を見る視点も身に付きました。特に医療安全に関する業務に携わった経験から、どこに出しても恥ずかしくないような診療のベースに基づいた、よりスタンダードな医療を提供できるように常に心がけています。
研究については、患者さんやご家族の役に立つとともに、医学の進歩に貢献することを目指したいと考えています。最近では、心筋梗塞で入院された血友病(出血が止まりにくくなる病気)の患者さんの治療をきっかけに、血友病患者さんにおける命に関わる循環器疾患の発症を予防できないかと考えて、早期に発見するための集団スクリーニング検査の研究を行いました。その結果、心筋梗塞を発症する前に虚血性心疾患の治療ができた患者さんが何名もいて、研究を行ってよかったと成果を実感しています。そのほかに、循環器疾患における遺伝子診断、新型コロナウイルス感染症における心機能の低下など、学問としての医学に対する興味・関心は、私が医師を続けるうえでの原動力にもなっています。
医師として大切にしているのは、患者さんやご家族にとって現実的に可能な治療の範囲を一緒に考えていくことです。たとえば、私たちがもっとも多く診療する心不全は悪化してしまうと体の状態を完全に元の状態に戻すことはできません。診療ガイドラインで示されている標準治療などに基づいた、患者さんの健康寿命を延ばすような医療だと考えていますが、その方に合った治療をしても以前にできたことができなくなってしまうことがあります。そこには患者さんやご家族の理解と協力、特に薬の飲み忘れ防止、暴飲暴食を避けること、感染予防などが必要となります。
医師の自己満足にならないよう、患者さんのニーズに合った医療を提供することも大切です。私が診察するときは、「患者さんやご家族にとって本当にこれでよいのだろうか」と考えるよう心がけています。学生時代の恩師から言われた「自分の親や子どもに対しても同じ医療を提供できるのかどうか自問してみるといいよ」という言葉が、現在の診療にも生きていると思っています。
当院の若い医師の皆さんには、基本的には自主的にさまざまなことに取り組んでもらえればと考えています。内気な方もいますが、カンファレンスや論文を読み合う勉強会など皆でディスカッションをする機会を設けて、積極的に指名するようにしています。いろいろと考えていることがあるかと思いますので、ぜひ表現していただきたいです。
若いうちに現場で手を動かすことも非常によいことです。上司の監督の下ではありますが、経験を積んでいち早く一流の循環器医になってもらいたいと思います。
また近年の医学の進歩は目覚ましく、次々に新しい治療法、治療薬が登場してきています。私も新しい知識を得るよう心がけていますが、知識不足や誤った認識がないよう、若い医師と一緒に勉強しようと誘って知識や技術の向上に努めています。
当院は病院名に“国際”とあるように海外から訪れる患者さんもいらっしゃいます。最近では新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減少していますが、感染症が収まると再び増加してくるかと思います。これからも地域の皆さんを始めとした患者さんによりよい医療を提供し、日常生活を健やかに送っていただく支えになることができれば幸いです。
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国立国際医療研究センター病院
国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター センター長、AMR臨床リファレンスセンター センター長
大曲 貴夫 先生
国立国際医療研究センター病院 外科
合田 良政 先生
国立国際医療研究センター病院 産婦人科 診療科長
大石 元 先生
国立国際医療研究センター病院 呼吸器内科診療科長 第一呼吸器内科医長
放生 雅章 先生
国立国際医療研究センター 呼吸器内科
高崎 仁 先生
国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 元副院長・元脳卒中センター長・非常勤、順天堂大学大学院 医学研究科客員教授
原 徹男 先生
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 糖尿病内分泌代謝科 非常勤
梶尾 裕 先生
国立国際医療研究センター病院 食道胃外科 医長
山田 和彦 先生
国立国際医療研究センター病院 外科 鏡視下領域手術外科医長
野原 京子 先生
国立国際医療研究センター病院 整形外科 診療科長
桂川 陽三 先生
国立国際医療研究センター 心臓血管外科 元科長・非常勤、北里大学医学部 診療准教授
宝来 哲也 先生
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 理事長、東京大学 名誉教授
國土 典宏 先生
国立国際医療研究センター病院 がん総合診療センター 副センター長、乳腺・腫瘍内科 医長
清水 千佳子 先生
国立国際医療研究センター病院 乳腺内分泌外科 医長・診療科長
北川 大 先生
一般社団法人新宿医師会区民健康センター 所長、山王病院(東京都) 産婦人科、国立国際医療研究センター 産婦人科
箕浦 茂樹 先生
国立国際医療研究センター病院 眼科診療科長
永原 幸 先生
国立国際医療研究センター病院 第二婦人科 医長
冨尾 賢介 先生
国立国際医療研究センター病院 肝胆膵外科 診療科長
稲垣 冬樹 先生
国立国際医療研究センター病院 糖尿病内分泌代謝科 医師
小谷 紀子 先生
国立国際医療研究センター病院 腎臓内科 診療科長
高野 秀樹 先生
国立国際医療研究センター病院 消化器内科 医長・診療科長
秋山 純一 先生
国立国際医療研究センター病院 腎臓内科 血液浄化療法室統括医
片桐 大輔 先生
国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 小児科 医員
七野 浩之 先生
国立国際医療研究センター病院 膵島移植診療科 診療科長、膵島移植センター センター長、国立国際医療研究センター研究所 膵島移植企業連携プロジェクト プロジェクト長
霜田 雅之 先生
国立国際医療研究センター病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 診療科長、耳鼻咽喉科・頭頸部外科 医長、音声・嚥下センター長
二藤 隆春 先生
国立国際医療研究センター病院 糖尿病内分泌代謝科診療科長、第二内分泌代謝科医長、内分泌・副腎腫瘍センター長
田辺 晶代 先生
国立国際医療研究センター病院 肝胆膵外科
三原 史規 先生
国立国際医療研究センター病院 形成外科・診療科長 国際リンパ浮腫センター・センター長、リンパ超微小外科臨床修練プログラムディレクター
山本 匠 先生
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 歯科・口腔外科 診療科長、高度先進医療診療科 診療科長、臨床研究センター 産学連携推進部 医工連携室長、高度先進医療診療科 細胞調整管理室長
丸岡 豊 先生
国立国際医療研究センター病院 食道胃外科 医師
榎本 直記 先生
国立国際医療研究センター 脳神経内科 科長
新井 憲俊 先生
国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 産婦人科 産科医長
定月 みゆき 先生
国立国際医療研究センター病院 心臓血管外科 診療科長
井上 信幸 先生
国立国際医療研究センター病院 消化器内科 診療科長
山本 夏代 先生
国立国際医療研究センター病院 脊椎外科 科長
松林 嘉孝 先生
国立国際医療研究センター 国際医療協力局 人材開発部研修課
井上 信明 先生
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 精神科科長 メンタルヘルスセンター長
加藤 温 先生
国立国際医療研究センター病院
服部 貢士 先生
国立国際医療研究センター病院 がん総合内科診療科長/乳腺・腫瘍内科
下村 昭彦 先生
国立国際医療研究センター病院 第四呼吸器内科医長
西村 直樹 先生
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