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新型コロナワクチンは危ないの? ―ワクチン危険説に対するQ&A

公開日

2021年03月31日

更新日

2021年03月31日

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2021年03月31日

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この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2021年03月31日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

日本では2021年2月から医療従事者への先行接種が始まっている新型コロナワクチン。SNSなどでは誤解を招くような情報や根拠のない噂が広がり、接種に消極的になっている方もいるようです。

そこで今回は、ワクチン接種に不安を感じている方に向けて、よく見受けられる疑問や不安にQ&A形式でお答えしていきます。(監修:ジョージタウン大学内科助教・安川康介先生

効果についての疑問

Q1.新型コロナワクチンを打てば、新型コロナウイルスに感染しなくなるのでしょうか?

現在、新型コロナワクチンで確認されているのは、“発症予防”の効果です。これは、病原体に感染した際に症状が出ることを防ぐ、ということです。

病原体への感染自体を防ぐ効果のことは“感染予防”の効果といいます。新型コロナウイルス感染症では無症状の感染者が多いことからも、感染予防効果があるかないかを証明することは難しいといえます。ただ、いくつかの臨床試験では無症状の感染もある程度防ぐ効果を示唆する結果が報告されています。また、ワクチンを受けた方に無症状でも定期的にPCR検査を行い感染予防効果があるのか検証する臨床試験が現在行われています。

もし今後の臨床試験で感染予防効果が確認されたとしても100%の予防効果ではないため、ワクチンを打ったとしても無症状で感染し、ウイルスの感染を広げてしまう可能性は否定できません。このため、新型コロナワクチンを打ったあとも流行が収まるまでは感染対策を続けることが必要です。

Q2.さまざまな地域で新型コロナウイルスの変異ウイルスが出現しています。変異ウイルスにもワクチンの効果はあるのでしょうか?

新型コロナウイルスに限らず、ウイルスは常に変異を起こしています。ファイザー社のワクチンでは、英国で問題視された「B.1.1.7」という変異ウイルスに関しては、ワクチンの発症予防効果は保たれていることが分かっています。

南アフリカやブラジルで問題となっている変異ウイルス(B.1.351、P1)についても、一定の中和抗体が保たれているとする実験室での結果が報告されています。これらのウイルスに対してどれくらい発症予防効果が保たれるのかに関しては現在調べられている段階で、今後明らかになっていくと考えられます。

Q3.新型コロナワクチンは筋肉注射とのことですが、筋肉注射でも呼吸器感染症に効果があるのでしょうか?

今回のワクチンの有効性は、大規模な臨床試験の結果で確認されています。同じ筋肉注射(日本では皮下注射)で使用されるインフルエンザのワクチンは、発症予防効果が40~60%とあまり高くないのは事実です。しかし、これは注射方法の問題よりも、インフルエンザワクチンの標的となる部分に極めて変異が多いことが大きな理由です。今回の新型コロナワクチンは筋肉注射で行われた大規模な臨床試験の結果、非常に高い有効性が確認されており、十分な効果が認められています。

そのほかのワクチンでも、海外では筋肉注射は広く行われています。これは、筋肉注射のほうが抗体を産生しやすいことや、副反応が少ないことを示唆する研究結果があるためです。

安全性についての疑問

Q4.ワクチンには水銀が入っていると聞きました。体に悪いのではないでしょうか?

ワクチンには添加剤として“エチル水銀(チメロサール)”が含まれている場合があります。ただし、ファイザー社製の新型コロナワクチンではエチル水銀は使用されていません。

また、この“エチル水銀”は水俣病の原因としても知られる“メチル水銀”とは別物です。メチル水銀と比べて毒性はそれほど強くなく、含まれる量もごくわずかなので、ワクチンに含まれているエチル水銀による健康被害を過度に気にする必要はありません。

Q5. 新型コロナワクチンの副反応にはどのようなものがあるでしょうか? ベル麻痺(顔面神経麻痺の一種)が起こると聞き、不安です。

現在、日本への供給が予定されているファイザー社、アストラゼネカ社、モデルナ社のワクチンでは、接種部位の痛み、頭痛、体のだるさ、筋肉痛などの副反応が報告されています。ごくまれに、重度の副反応であるアナフィラキシーが起きることがありますが、これに対しては確立された治療があり対処可能です。ワクチンを接種した後は15〜30分、アナフィラキシーが起きないか観察されることになります。

また、接種後に“ベル麻痺”と呼ばれる顔面神経麻痺が報告されましたが、これはワクチンを受けていない人でも一定の確率で起こる病気です。現在のところ、ワクチンを受けた人で明らかに多いという報告はなく、ワクチンによってベル麻痺が引き起こされるとは考えられていません。

Q6.海外で、新型コロナウイルスに感染し回復した人が新型コロナワクチンを打ったところ死亡したと聞きました。感染歴のある人が打つと危険なのでしょうか?

ワクチンを接種した後に何らかの症状が出ると、ワクチンのせいではないかと疑いたくなるものではありますが、ワクチンがその症状の原因であるかどうかは慎重に検討する必要があります。

現在米国などの国では、感染歴があったとしてもワクチンを接種することが推奨されています。新型コロナウイルスへの感染歴のある人が新型コロナワクチンを接種することで、特に重大な副反応のリスクが高くなるということはないと考えられています。

Q7.欧米で開発されたワクチンはアジア人の治験が少ないので、アジア人に対する安全性は不明なのではないでしょうか?

たしかに、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社の治験は白色人種が中心で、アジア人の割合は約4~5%程度でした。しかし、日本での認可がされるには原則として日本での治験が必要です。そのため、国内で認可されたワクチンは、日本人に対する安全性と有効性が確認されてから接種が開始されています。

また、一般的には人種によってワクチンの有効性や安全性が大きく変わることは考えにくいため、海外製だからといって危険であると考える必要はありません。ただし、個人・人種によって免疫反応の差は生じ得るため、今後長期間かけてデータを集めていく必要はあります。

Q8.新型コロナワクチンは、ウイルスの遺伝子を人に投与するものだと聞きました。ウイルスの遺伝子が人の体に影響を与えることはないのでしょうか?

結論から言えば、新型コロナワクチンに入っているウイルスの遺伝情報が人体に影響を及ぼすことはありません。

現在日本で接種が開始されたファイザー社製ワクチンは“mRNAワクチン”という種類で、ウイルスの一部であるスパイクタンパク質のmRNA(メッセンジャーRNA)、すなわち遺伝情報を体内に投与するものです。

人の遺伝情報であるDNAはmRNAを作りますが、逆にRNAからDNAが作られることは基本的にはありません。またRNAは細胞の中にある核に入ったり、遺伝情報に組み込まれたりすることもありません。そのため、ウイルスのmRNAが人の遺伝情報に悪影響を及ぼすことはないと考えられます。

また、体内に入ったmRNAは壊れやすく、速やかに分解され、それによって作られたタンパク質も10日以内になくなってしまうと考えられています。このため、長期的な副反応が問題となることは考えにくいとされています。

Q9.新型コロナワクチンで投与された遺伝子が、将来の子どもに影響を与えることはありますか?

Q5と同様、新型コロナワクチンに含まれるウイルスのmRNAは卵子や精子にも影響を与えることはありません。よって、将来の子どもに対しても悪影響を与えることはないと考えられます。

Q10.新型コロナワクチンを打つと持病が悪化することはないでしょうか? また、新型コロナワクチンを打ってはいけない基礎疾患はあるでしょうか?

WHOは、「基礎疾患を有する患者には、ワクチン接種が推奨される」という見解を出しています。特に、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満(BMI 30以上)の人は新型コロナウイルス感染症が重症化するリスクが高く、ワクチンを接種することの利益は大きいと考えられます。実際に、ファイザー社の臨床研究ではさまざまな基礎疾患を持った方が参加され、その有効性と安全性が評価されています。

ファイザー社製ワクチンの添付文書では、接種不適当者として重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方、発熱がある方、またワクチンの成分に対して重度のアレルギーのある方が挙げられています。

たとえば臓器移植後などの基礎疾患のある方で、免疫がつきにくいことを示唆する報告はあります。しかし、今回のワクチンはウイルスを弱らせた生ワクチンではないため、ワクチン自体によって感染が生じることはなく、安全性には問題がないと考えられます。基礎疾患の重症度は人によって異なるため、基礎疾患のある方はかかりつけ医と相談して接種するかどうか決めるとよいでしょう。

Q11.アレルギー(食品、薬品、造影剤など)があっても、新型コロナワクチンを打って大丈夫でしょうか?

アレルギーの種類によります。

特定の食品やほかのワクチンなどに対する重度のアレルギーがある方でも、新型コロナワクチンを接種することは可能です。一方、1回目のワクチン接種でアナフィラキシーが起きた場合や、ワクチンに含まれている成分(ポリエチレングリコールなど)に対して重いアレルギーがある方への接種は推奨されていません。

なお、ポリエチレングリコールは大腸検査の下剤や薬剤を溶かすときに用いられています。

ワクチンの開発過程についての疑問

Q12.新型コロナワクチンの開発期間が1年程度というのはさすがに早すぎるのではないでしょうか? きちんとしたものなのか、品質面が不安です。

ワクチンの開発には10年以上の月日を要することも珍しくはないので、新型コロナワクチンの1年程度という開発スピードに不安を感じるのも無理はないでしょう。しかし、新型コロナワクチンは何もない状態から1年で開発できたわけではありません。今回の新型コロナウイルスに似たSARSに対する研究や、mRNAワクチンをはじめとする新しいタイプのワクチンの研究成果の蓄積がありました。

そして新型コロナウイルスが発生した後、それまでの研究をもとにワクチンの開発が進められてきたのです。また、短期間に膨大な開発資金が投入されたことや治験ボランティアの協力も大きな要因です。

決して手を抜いたわけでも必要な工程を飛ばしたわけでもありません。異例のスピード開発ではありますが、むしろ治験の規模や審査の厳密性などについては従来のワクチンを上回る部分が多く、品質に問題はないと考えられます。

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