日本では2021年2月17日から医療従事者、続けて高齢者向けに接種が始まった新型コロナウイルスワクチンについて、開発したファイザー社は3月31日に若年層への効果、4月1日に発症予防効果の持続期間や変異種への効果などについてそれぞれの第3相臨床試験(以下、治験)結果を発表しました。
欧米などで接種が始まった当初、このワクチンの長期的な発症予防効果は分かっていませんでしたが、今回の治験で少なくとも6カ月間続くことが示されました。
ファイザー社製ワクチンの主要な国際共同治験では4万6307人が参加し、参加者はプラセボ群(偽薬を接種したグループ)と、ワクチン群に分けられました。
そして、2回目の接種から6カ月間の追跡調査が行われ、この間に参加者の内927人が新型コロナウイルス感染症を発症。内訳はプラセボ群が850人、ワクチン群は77人で、発症予防についての有効率は91.3%でした。
治験の参加者は年齢、性別、人種、民族が異なり、さまざまな基礎疾患を持つ人で構成されているため、人によって効果が異なるということはないようです。
この治験では、新型コロナウイルス感染症の重症化予防効果も認められました。
米疾病対策センター(CDC)の定義に基づく重症患者は32人確認され、全員がプラセボ群でした重症化予防についての有効率は100%となります。
一方、米国食品医薬品局(FDA)の定義に基づく重症患者は22人いました。うちプラセボ群が21人、ワクチン群が1人で、同有効率は95.3%でした。
南アフリカで最初に確認された変異株の「B.1.351」に対しても、発症予防効果が確認されています。
国際共同治験には南アフリカで800人が参加していました。そのうち9人が新型コロナウイルス感染症を発症、全員がプラセボ群で、発症予防の有効率は100%でした。発症した9人のうち6人がB.1.351変異株であったことから、B.1.351変異株に対する効果も実証されました。
アメリカ国内では、若年層(12~15歳)を対象とした第3相治験が行われ、発症予防効果が確認されました。
ファイザー社製ワクチンの従来の治験は16歳以上を対象としていました。新たな治験では、12~15歳の参加者2260人のうち、1129人をプラセボ群に、1131人をワクチン群に分類。全参加者のうち新型コロナウイルス感染症を発症したのは18人で、その全てがプラセボ群であったことから、発症予防の有効率は100%となっています。この結果は、以前に16~25歳の参加者を対象に実施された治験の結果を上回っています。
また、副反応については、16~25歳の参加者で見られたものとほぼ同じだったとのことです。
今後の計画として、ファイザー社とビオンテック社は治験に参加した全ての人を2回目の接種から2年間追跡し、長期的な予防効果や安全性について評価するとしています。
生後6カ月~11歳の小児を対象とした治験が新たに始まり、引き続き小児への安全性などについての評価も行うとのことです。
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