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公開日 : 2017 年 02 月 01 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

「呼吸困難(息切れ・息苦しい)」の原因は何か?息苦しさを引き起こす肺高血圧症とは?

横須賀市立うわまち病院 循環器科 部長
岩澤 孝昌先生

目次

「息切れ」や「息苦しさ」を感じた時、どのような原因が考えられるでしょうか。これらの訴えで病院を受診される方はとても多く、原因も多岐に渡ります。長年の喫煙が引き起こす慢性閉塞性肺疾患(COPD)、狭心症に心不全などを想起される方が多いのではないでしょうか。

そんな「息切れ」や「息苦しさ」を引き起こす原因の一つに、「肺高血圧症」という病態があります。特別な誘引なく起こる特発性のもの、膠原病などから二次的に発症するもの、そしていま最も注目されているものに肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)から進行する慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)があります。

この記事では横須賀市立うわまち病院循環器内科部長の岩澤孝昌先生に、肺高血圧症について、そしてCTEPHについてお伺いしました。

肺高血圧症とは?

肺高血圧症とは?肺動脈の血圧が上がる病気

肺高血圧症は、何らかの原因によって肺動脈圧が上昇することにより右心系に負荷がかかり、その結果、右心不全をきたす病態です。肺高血圧症にはさまざまなタイプがありますが、指定難病である肺動脈性肺高血圧症をはじめその多くが難治性です。また代表的な自覚症状は「息切れ」ですが、肺高血圧症にだけみられる特別な症状はないため、病院受診が遅くなったり受診してもなかなか診断に結びつかないことも少なくありません。肺動脈性肺高血圧症は男女比が1:2.6と女性に多いうえに、平均年齢も42歳と若くして罹患するのが特徴です。

肺高血圧症の定義、分類と原因

肺高血圧症は血液検査の結果や腫瘍のように異物の存在から診断されるものではありません。ある一定の水準より肺動脈圧が高いか、により診断されます。まずは心臓超音波検査で推定値を出し、疑いが高ければ心臓テーテル検査で実測値をとるのが一般的です。

また、肺高血圧症の定義は4~5年ごとに開かれる国際会議の場(2008年 Dana Point、2013年 Nice)で見直しが行われています。2016年現在、2013年のニースで策定された定義(ニース分類)が利用されていますが、その定義では下記に該当する患者さんが肺高血圧症・重症肺高血圧症と診断されます。

  • 安静時平均肺動脈圧 ≧ 25mmHg:肺高血圧症
  • 安静時平均肺動脈圧 ≧ 35mmHg:重症肺高血圧症

安静時平均肺動脈圧はスワンガンツ(Swan-Ganz; S-G)カテーテルと呼ばれる右心カテーテル法により測定します。20mmHg以下が正常値であり、20~25mmHgの範囲はその境界となります。

肺高血圧症の分類と原因

第五回肺高血圧ワールドシンポジウム

2013年のニース分類では、肺高血圧症を原因の違いにより以下の5群に分類しています。

第1群:肺動脈性肺高血圧症(PAH)

  • 第1’群:肺静脈閉塞性疾患および/または肺毛細血管腫症
  • 第1’’群:新生児遷延性肺高血圧症

第2群:左心性心疾患による肺高血圧症

第3群:肺疾患や低酸素血症による肺高血圧症

第4群:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)

第5群:原因不明の複合的要因による肺高血圧症

このように、肺高血圧症の種類やその原因は多種多様ですが、この5分類の中でも我々医師にとって特に重要なものは特定疾患として難病に指定されている第1群の肺動脈性肺高血圧症(PAH)と第4群の慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)です。一方、症例の数でいえば、第3群の患者さんが多いことがわかっています。

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