股関節の痛みや機能障害は、スポーツでの外傷や股関節の使いすぎ以外にもさまざまな理由で起こります。日本人の場合は臼蓋形成不全から起こる変形性股関節症が多いといわれています。膝関節・股関節外科を専門とされている武蔵野赤十字病院整形外科の望月義人先生にお話をうかがいました。
『FAIと股関節唇損傷』で取り上げたFAI(Femoroacetabular impingement:大腿臼蓋インピンジメント)が注目されるあまり、そうでないケースに対してもFAIとして治療を進めてしまい、かえって変形性股関節症を悪化させてしまうことが問題となっています。
実際のところ、日本人には臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)の割合が明らかに多く、そのことによる股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)や疼痛(股関節の痛み)も多いのです。
そのほかにも股関節の痛みの原因としては、良性の腫瘍である滑膜性骨軟骨腫症(かつまくせいこつなんこつしゅしょう)などが考えられます。この場合にはX線検査だけでは診断がつかないことがありますので、専門医を受診してMRI(Magnetic Resonance Image:磁気共鳴画像)などの検査を受ける必要があります。
また、関節の中の痛みとして感じられるものの中には、股関節そのものではなく腸腰筋(ちょうようきん)や大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)などの筋肉が、周囲の骨とこすれることによって起こる弾発股(だんぱつこ)というスポーツ障害があります。
前項で述べた臼蓋形成不全は、変形性股関節症の大きなリスク要因のひとつですが、臼蓋形成不全がある方が必ず変形性股関節症になるわけではありません。加齢にともなう股関節への長年の負担から、特に原因となる疾患や障害がなくても年齢とともに変形性股関節症になることがあります。
全人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)とは、変形性股関節症や関節リウマチ、大腿骨頭壊死、骨折などにより変形した関節を人工股関節に入れ替えることをいいます。
手術後は、日常生活はもちろんのこと、種類にもよりますがスポーツも楽しめるようになりますが、術後長い年月が経過すると緩みが生じ、再置換手術が必要になる場合があります。しかし一般的には20年経ってもおよそ8割の方は再置換手術を受けずに生活しているとされています。
人工股関節に使用されているライナーと呼ばれるパーツの磨耗や、インプラント自体の耐久性をどう考えるかによって、推奨されるスポーツの種目とそうでないものが出てきます。たとえば、ジョギング・マラソン・トライアスロンなどの衝撃が大きく加わるスポーツは推奨されないものであり、それに対して、ゴルフなどは推奨されるスポーツになります。しかしこれはあくまでも再手術の率を下げるという目的で考えた場合であり、できる・できないということとは別です。
実際のところ、どのレベルまでのパフォーマンスを求めるかにもよりますが、人工股関節であってもかなりの種類のスポーツが可能です。患者さんと我々医師の考え方次第ですが、私自身は患者さんに対して、もし人工股関節が使えなくなっても再手術をすることは可能なので、やりたいことをやってもいいのではないかとお話することがあります。
THAの手術においては、前と後のどちら側から切開するか、すなわち前方アプローチか後方アプローチかという違いも重要です。日本では全体の6割強が後方アプローチまたは後外側アプローチと呼ばれるものですが、その場合、股関節を深く曲げる動作の際に脱臼しやすいという傾向があります。そうなるとしゃがみ込むような動作など、日常生活およびスポーツ動作でかなりの制限が出てきます。
これに対して前方アプローチ(Direct Anterior Approach:DAA)や前外側アプローチ(Anterolateral Approach)では股関節を伸展させ、脚を後ろに持っていく動作が不可とされています。しかし、後方アプローチに比べて脱臼率そのものが非常に低いので、脱臼を恐れて運動制限をすることはありません。スポーツを前提にするならば、患者さんご自身がやっているスポーツによって手術法を考慮する必要があるでしょう。
最後に、私が担当した患者さんの例をご紹介します。サーフィンのインストラクターをされている方がいたのですが、サーフボード上に立ち上がる際に屈曲動作があるため、前方アプローチでの手術を行いました。その後、サーフボードを足首に結びつけるリーシュコードを付ける足を変えてもらい、手術した側の脚が後ろへ持っていかれることがないように工夫することによって、サーフィンを続けることができるようになったのです。
浅草病院 整形外科 人工関節センター長
望月 義人 先生の所属医療機関
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変形性股関節症初期と診断、痛みや悪化予防にどう付き合うか
痛みがひどいときは受診して痛み止めの処方を受けますが、そのほかの指導は今のところありません。最近は股関節の痛みに加えて、腰痛や臀部の痛みの頻度が多くなっています。夜眠るときに痛みでうずき辛いこともしばしばですが何とかだましながらやっています。できるだけ筋肉を減らさないように筋トレや歩行、ヨガやプールなどできる範囲で運動していますが今後どうなっていくか心配です。更年期に差し掛かり痛みとの付き合い方や悪化させない生活を教えてください
術後の経過
先日変形性股関節関節症の診断を受けて、骨盤骨折り術をすすめられました。入院期間と松葉杖などを使って歩くリハビリの期間や何も無しで歩けるまでの期間、配達の仕事をしているので、そういった仕事にはどのくらいで戻れるものなのか、一般的に言われる期間でいいので知りたいです。
熱発と鼠蹊部熱発
4月始め38度の熱発と鼠蹊部の痛みから始まり、セレコックス服用し熱は下がる その後ロキソニン3錠、リリカ4条4条(朝1夜寝る前のは忘れてしまいました。今は胃薬とロキソニンとリリカのみ服用し整体に行き、自宅にてストレッチ、エアロバイク5分ほどしています。その他痛みがきたら横になリ、寝ています。 手術の事も考えています。年令からも、早い方がいいのでしようか?
数日前から右股関節が痛い
数日前から、突然右股関節の内またの筋肉?の部分が痛くなりました。 (左股関節に痛みはありません) 起床してから会社に出るまでは何も痛みはなかったのですが、会社についてから突然、違和感が出てきました じっとしている分には何も痛みはありません。 歩いているときに多少の違和感があり、走ったりすると痛くて走れなくなります。 筋を痛めたとかで、時間がたてば直るのなら良いのですが、病気の予兆なのではと不安です。 何か悪い病気の可能性はあるのでしょうか。 宜しくお願い致します。
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