多摩センタークリニックみらい 院長
藤井 仁美 先生
医療法人社団 明芳会 イムス三芳総合病院 内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター センター長
貴田岡 正史 先生
かんの内科 院長
菅野 一男 先生
田園都市レディースクリニック 勤務、多摩センタークリニックみらい 非常勤
佐々木 博 先生
妊娠糖尿病とは、妊娠前に糖尿病の診断を受けていない女性で、妊娠中に血糖値が高くなり、妊娠して初めて血糖値が高い状態が発見された場合に診断される病気です。妊娠前から糖尿病の診断を受けている「糖尿病合併妊娠」とは異なるため、区別が必要です。また、血糖管理の基準が本人の健康と共に胎児の状態にも配慮する必要があるため、糖尿病よりも厳しい基準が設定されています。
2010年に診断基準が厳しくなったこともあり、妊娠糖尿病の頻度が上がりました。以前は3%程度といわれていましたが、今は12%程度といわれています。
通常食べものは消化・吸収され、ブドウ糖となり血液中に入ります。血液中のブドウ糖(血糖)はこのままではエネルギーになりませんが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンにより全身の細胞に取り込まれ、エネルギーに変えられます。
妊娠すると胎盤からインスリンのはたらきを抑えるようなホルモンが分泌されるため、インスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)が強まり、血糖値が上昇しやすくなります。
通常の妊婦さんの場合、膵臓からインスリンを多く分泌して血糖値を上げないように調節できますが、元々インスリン分泌が少ない方や、インスリン抵抗性が強い妊婦さんの場合は血糖が上昇してしまいます。
典型的な自覚症状はありません。さらに、妊娠中は体にさまざまな変化が起こるため、尿の回数が増えるなどの症状が出たとしても、気付きにくくなっています。そのため、尿検査や血液検査をすることにより、早期発見が大切になります。
妊娠糖尿病で怖いのは合併症です。妊娠中に血糖値が高い状態でいると、お母さんの血液中のブドウ糖は胎盤を通ってお腹の赤ちゃんに運ばれます。赤ちゃんは自分でインスリンを分泌しますが、インスリンは成長ホルモンでもあるため、多すぎると赤ちゃんが成長しすぎて巨大児になったり、さまざまな合併症の原因になります。
しかし、妊娠糖尿病は糖尿病合併妊娠とは異なり、比較的血糖コントロールを行いやすいため、適切な血糖コントロールを行えば、上記のような合併症を防ぐことができます。
なお、多くの妊娠糖尿病は器官形成期とよばれる先天奇形が発生しやすい時期以降に発症するため糖尿病合併妊婦と異なり先天奇形を生じることはまれです。
妊娠糖尿病になりやすいリスクファクター、危険因子として以下のようなことが知られています。
妊娠糖尿病は妊娠中の血糖管理が不十分だと、胎児にも自分にもいろいろな合併症を起こしてしまう可能性があります。一方で、きちんと診断して治療を行えば、決して怖い病気ではありません。
できるだけ早期に確実に見つけるために、妊娠初期(初診時または10週前後)と中期(妊娠24~28週)にスクリーニングの血糖検査を行い、陽性であれば75gブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施します。
75gブドウ糖負荷試験とは、朝食を抜いた空腹の状態でブドウ糖75gを水に溶かしたもの、またはでんぷん分解産物の相当量を溶かした水を飲み、採血をして血糖を測定する試験です。
の3点のうち、いずれか1点を満たすと妊娠糖尿病と診断されます。
妊娠糖尿病の治療法は主に食事療法で行われます。妊娠中の食事療法の特徴は、妊娠週数で変わる付加量と分割食です。妊娠中は非妊時よりも多くのエネルギーが必要になり、妊娠週数によって推奨エネルギー量が区別されています。また、妊娠中は血糖が急に上がりやすくなっているため、1日5~6食にわけてコントロールをするようにします。
食事療法では血糖がコントロールできない場合、インスリン注射を行います。通常の糖尿病に用いられる飲み薬は日本では使用してはいけないことになっているため、妊娠時は用いられません。インスリン製剤のうち、NPHヒトインスリン、レギュラー(速効型)ヒトインスリン、インスリン アスパルト、インスリン リスプロ、インスリン デテミルは、日本でも妊婦さんに使用されています。
出産をすると胎盤もなくなるため、インスリンのはたらきを抑えるホルモンが突然なくなり、血糖値が下がり、改善することが多いと知られています。しかし長期的にみると、妊娠中に糖尿病になった女性は、半数が20~30年後に糖尿病に移行したという報告もあるため、きちんとした管理が必要です。出産後も定期的に血糖を測定し、高血糖の早期発見、早期治療を心がけたほうがよいでしょう。
多摩センタークリニックみらい 院長
医療法人社団 明芳会 イムス三芳総合病院 内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター センター長
かんの内科 院長
田園都市レディースクリニック 勤務、多摩センタークリニックみらい 非常勤
関連の医療相談が11件あります
妊娠糖尿病
今日病院で糖負荷検査をして妊娠糖尿病と診断されました。 食生活で何を食べたらいいのか正直わからないので知りたいです
口腔内の強い乾燥について
この1〜2カ月、毎日、口の中が非常に乾燥しています。 寝ている時に夜中トイレに目覚めた際、朝起きた際、うたた寝して目が覚めたとき(食後にソファでうたた寝はほぼ毎晩)に起こります。 目覚めると唾液はなく、口の中が乾燥でパサパサして上顎が貼り付いて、開きづらい状態です。 乾燥した時に舌を観察しても、色や形、白色状態は以前と変わりません。 これまで経験したことのない状態です。 家屋の環境(乾燥、換気等)は何も変わりはありません。 独り暮らしなので、寝ている状態は自分では観察出来ません。 目が覚めた際、夜中であってもお湯を飲んでいますが、再び目覚めると乾燥状態は変わりません。 何か病気の前兆やサインなのでしょうか? 何かの栄養素が不足しているのでしょうか? この数カ月、野菜不足は否めません。 治療が必要でしたらどの診療科を受診すればよいでしょうか? 耳鼻咽喉科でしょうか? 以上、ご教示頂けますよう何卒よろしくお願いいたします。
立ちくらみ
仕事中、掃除をしている時に、急に立ち上がった時に、目の前が暗くなって見えたり、気が遠のいたり、立っている時にふらついたりします。原因として上げられる病名は何ですか?
右足がつる
1ヶ月程前から、夜中に毎日と言って良いほど、ふくらはぎがつって、驚いて起きます。 放っておけば良い位に考えてますが、何か悪い病があるのですか? 昨日は久しぶりに、朝まで、足がつりません。 毎日筋トレで、大腿四頭筋を鍛える運動をしてますが、ただの足の上げ下げです。何か、それと関係ありますか?その運動は3週間程やってるだけです。
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