緑内障の診断のためには検査が必要ですが、経過をみていくためにも定期的にさまざまな検査を行っていきます。なぜなら、緑内障は完全に治ることはなく、これらの検査は生涯にわたって継続していく必要があるからです。
この記事では緑内障の検査について、緑内障の診療、研究ともに日本の第一人者である東京大学眼科学教授の相原一先生にお聞きしました。
「緑内障の原因―眼圧が上がる理由とは」でも説明しましたが、緑内障は眼圧が上がることが原因となって起こります。そのため、眼圧を測定する必要があります。よく使われている機器には2種類あります。
目に測定機器を接触させることにより眼圧を測定します
目に圧縮した空気をあてることにより眼圧を測定します
これらの2つの眼圧計は、ともに「圧平式」の眼圧計になります。つまり「眼球を一定面積押し込んでいくためにどれだけの圧力がいるか?」という観点で眼圧を計測するのです。
しかし、この検査は完璧なものではありません。目の構造によって出てくる数値が変わってしまうからです。たとえば、角膜の「厚み」と「剛性」には大きく影響されます。厚みとは文字通りの意味であり、剛性とはかたさ・やわらかさのことです。つまり、髪の毛のかたさが一人ひとり違うように眼を作っている組織も同じかたさではないため、一定の正しい数字が出ているかは分からないということです。
また、角膜が薄いと眼圧は低く出ることが知られています。つまり、レーシックの手術を受けている方は眼圧が低く出てしまい、眼圧検査の意味がうすれてしまいます。レーシックの手術を受ける方は、ほとんどが近視の方です。そして近視の方は元々視神経がダメージを受けやすく、緑内障のリスクがあります。それにもかかわらず実際の眼圧が上がっていても、低く出てしまいますから緑内障の危険性を把握しにくくなります。従ってレーシックを受けた人は、眼圧検査だけをしていると緑内障が見逃される可能性があります。
これらの理由から、眼圧の異常値があるかないかという要素だけでは緑内障とは判定しない、ということが現在の基本的な考え方となっています。
専用のコンタクトレンズを目に押し当てて隅角を観察します。痛みをなくすために点眼麻酔をして行います。
「緑内障の種類とそのリスク」でもご説明しましたが、隅角検査はどのような病型か判断するために行う必須の検査です。隅角が開いているのか閉じているのかを確認することができます。
視神経がどの程度障害されているのかをみるために行う検査です。眼底には視神経乳頭と言われるくぼみがあります。ここに視神経がつながっています。そのため、視神経乳頭の構造に異常があるのかないのかを確認することにより、視神経の障害度を知ることができます。緑内障になるとこのくぼみが拡大することが知られていますが極めて個人差が多い構造異常で、くぼみが拡大しているだけでは緑内障だとは言えません。検診では乳頭陥凹という用語で判定されます。
三次元画像解析装置により視神経乳頭をみるための検査です。視神経乳頭だけでなく網膜の神経線維の厚みを測定することもできます。これにより、緑内障がより適確に診断できるようになりました。
しかし、この検査は「偽陽性」が多いのが弱点です。つまり、異常を拾いすぎてしまい、たとえば緑内障でない強度の近視の人であっても異常としてしまうことがあります。異常であると分かったとしても、そのすべてのケースが緑内障とは限りません。また、検査機器が高額であるのもひとつの問題点です。
その名のとおり、視野を調べる検査です。機械の前に座り、小さな光を見ます。それが見えるか、見えないかによって異なるボタンを押していきます。短い時間ですむ「スクリーニングモード」という検査なら5分程度、長くても15分で行えます。これも必須の検査です。
この検査は、暗室さえあれば簡易的に行うことができます。しかし、これは「自覚検査」である点が難しいところです。検査がうまく行えるかどうかが患者さん任せになる部分がありますし、また心理状態にも影響されます。
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