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耳・鼻・喉の「低侵襲手術」は高度な技術や論文が蓄積―鼻は日帰り手術可能な施設も増加

公開日

2024年08月27日

更新日

2024年08月27日

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2024年08月27日

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心とからだへの負担が小さな手術

近年、内視鏡技術の進化により、さまざまな分野で体への負担が小さい「低侵襲手術」が普及しています。中でも耳・鼻・喉の低侵襲手術の歴史は古く、低侵襲手術になくてはならない内視鏡を早期から導入し、幅広く活用してきたのが耳鼻咽喉科です。すでに高度な技術や論文報告が豊富に蓄積されています。

また、耳鼻咽喉科分野では、身体への負担が小さいだけでなく、聴く・(においを)嗅ぐ・食べる(飲み込む)といった機能をそこなわないことに留意して技術が進歩しており、とくに鼻の場合、日帰りで低侵襲手術ができる地域の専門施設も増えています。

低侵襲手術のメリット

メリット1:傷が小さい

外見上分るような傷痕がない。そのため、術後の痛みも軽微です。

メリット2:回復が早い

傷が小さいため、術後の回復も早く、短期間で退院でき、スムーズに日常生活に復帰できます。

メリット3:機能を損なわない

今では聴く・嗅ぐ・飲み込むといった機能を損なわない手術が一般的。むしろ機能改善を目指す手術が中心になりつつあります。

鼻づまりの手術 日帰りや短期入院で対応可能な場合も

低侵襲手術の中でも、もっとも症例が多いのが「鼻」です。

1985年にMesserklingerが鼻の穴を利用する内視鏡下副鼻腔手術(FESS)を報告して以来、多くの鼻の外科手術が内視鏡下に行う低侵襲手術に置き換えられてきました。

鼻は、呼吸をしたり、においを感じたりするだけでなく、空気中のゴミやウイルスなどが体の中に入るのを防いだり、エアコンや加湿器のように湿度や温度を調節するはたらきも担っている大切な器官です。そのため、鼻づまりを抱えていると、生活の質が著しく低下し、睡眠時無呼吸の原因にもなります。正常な鼻呼吸は健康長寿の条件のひとつといってもいいでしょう。

ところが、2019年に行われた鼻アレルギーの有病率調査によれば、日本人の約5割がアレルギー性鼻炎と答えています。

低侵襲手術は、鼻づまりをともなう、さまざまな鼻の疾患に適用されています。

一般に、内視鏡を用いた鼻の低侵襲手術の手術時間は1~2時間。鼻粘膜を温存して機能を損なうことなく鼻の通りをよくすることが期待できます。

耳も数日で退院可能

耳の手術には顕微鏡手術と内視鏡手術(内視鏡下耳科手術:TEES)の2つに大きく分けられます。顕微鏡手術は耳の後ろを切開し、骨を削って行われますが、内視鏡を用いた低侵襲手術は耳の穴から内視鏡を入れるため、身体への負担が少なく、日帰り、あるいは、短期の入院で日常生活に戻れます。耳の低侵襲手術(TEES)は傷痕の残らない痛みが少ない手術で、術後から眼鏡をかけることができます。

耳の低侵襲手術(TEES)は、聞こえの改善が目的となり、さまざまな耳の疾患に適用されています。鼓膜に穴があいた慢性中耳炎や、鼓膜の奥に水がたまる滲出性中耳炎、骨を破壊しいろいろな合併症を引き起こす中耳真珠腫、音を伝える耳小骨が硬くなる耳硬化症など、これまで顕微鏡手術が行われていたほとんどの疾患が対象となります。

中咽頭がんはロボット支援手術も

近年、口腔がんや咽頭がんなどの頭頸部がんが世界的に増えています。がん全体の中では約5%に過ぎませんが、年間の罹患(りかん)者数は1万5000~2万人。とくに口腔がん・咽頭がんの場合、男性では50代後半から、女性では70歳から死亡率が増加します。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のウェブサイトより転載

とくに咽頭は話す・食べる・飲み込むといった日常生活を営む上で大切な部分のため、低侵襲手術に対する期待がますます高まっています。たとえば、咽頭の中でも喉の奧に当たる「下咽頭がん」の場合、初期段階であれば、機能を温存したまま患部を切除することが可能なため、術後早期に食事が再開できます。

近年では、中咽頭がんに対して内視鏡が付いたロボットアームを遠隔操作して手術をする手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いて低侵襲手術を行う医療機関もあります。※1

この場合、口からロボットアームを挿入して手術を行うため、身体への負担が少ないうえ、より高度かつ安全性の高い手術が行えます。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のウェブサイトより転載

頭頸部がんは、健康診断や人間ドックの検査項目に入っていません。また、初期段階では自覚症状が乏しいため、見落とされやすい傾向にあります。気になる人は、ためらわずに耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診してください。

※1進行度等に応じてはロボット手術の保険適応となる場合があります。詳しくは専門医にお尋ねください。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「健康寿命への挑戦」より引用
 

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