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川崎麻世、井上順両氏が語る「発声障害」「加齢性難聴」体験―イヤホン難聴特設サイトも

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2022年04月07日

更新日

2022年04月07日

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2022年04月07日

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耳鼻咽喉科月間新コンテンツ公開

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、耳鼻咽喉科月間(3月1~31日)のイベントとして行われた芸能人と専門医による特別対談を収録した「発声障害」「加齢性難聴」に関する動画や、多くの若者がリスクにさらされている「イヤホン難聴(音響外傷)」の予防促進サイトを公開した。発声障害の動画には歌手・俳優の川崎麻世さん(59)が、加齢性難聴は歌手・俳優・タレントの井上順さん(75)が出演。病気に気付いたきっかけや治療などについて、興味深い話を披露している。

発声障害公表「同じ悩み持つ人のために」―川崎麻世さん

川崎さんは約20年前に受けたストレスでめまいを感じるなどし、その後声が出にくくなった。また、過換気症候群(過呼吸)を発症することもあったという。治療を受けたが、処方された精神安定剤(抗不安薬)は眠くなるだけで効果を感じられず、自分で工夫しながら仕事を続けてきた。

対談相手の新宿ボイスクリニックの渡嘉敷亮二院長と出会って2カ月ほどたった2021年3月、自身が発声障害であることを公表した。きっかけは、ある歌手が痙攣(けいれん)性発声障害を公表したのを「勇気ある決断」と感じたこと。「公表が同じ悩みを持つ人のためになると思った。公表して気持ちが楽になった」と話す。

渡嘉敷院長から、発声障害という病気の原因や治療法などについて説明を聞き、川崎さんは「全国でたくさんの人が悩んでいることをあらためて認識した。諦めずに明るく先を見据え、一緒に発声障害と闘おう」と呼びかけた。これを受けて渡嘉敷院長は「耳鼻咽喉科には、こうした声の問題に詳しい医師がいる。また、最近は声の病気を専門にするクリニックや、専門の外来を設置している病院もある。声の不調を感じたら受診を」と結んだ。

補聴器で「一緒に“難聴の星”に」―井上順さん

井上さんは20年ほど前から補聴器を使っている。グループサウンズ全盛期に「ザ・スパイダース」のメンバーとして活躍する際にステージ上で大音量にさらされるなど、耳を酷使してきた。ある時、周りの人が小さな声で話しているので「元気出しましょうよ」と言ったところ、「皆聞こえているよ。耳の検査を受けたほうがいい」と指摘され、受診して感音難聴と診断されたという。

感音難聴は、音を電気信号に換える内耳、音の信号を脳に伝える蝸牛(かぎゅう)神経、脳――の問題で音が聞こえにくくなる病気で、高齢者の耳が聞こえにくくなる加齢性難聴も含まれる。

オトクリニック東京の小川郁院長(慶應義塾大学名誉教授)は、加齢による難聴は30歳代から始まっていること、男性のほうが悪化しやすいこと、生活習慣病なども原因になること、感音難聴になりやすい遺伝子が見つかっていること――などを説明した。

井上さんは「補聴器をつけた時に『こんなに聞こえるんだ』という喜びを感じた。(難聴になり)落ち込みそうになったが、補聴器と出合うことで解決し、素晴らしい毎日を送ることができている。聞こえで悩んでいる人は、うれしいこと、楽しいことが待っているので、補聴器をつけて私と一緒に“難聴の星”になろう」と、“同士”にエールを送った。

大学生がデザイン―イヤホン難聴予防促進サイト

WHO(世界保健機関)は、音楽プレーヤーやスマートフォンを危険な音量で使用したり、イベントなどで大音量にさらされたりすることによって、世界で11億人の若者が難聴のリスクに直面していると警告している。イヤホン難聴の予防促進サイトは若者にそのリスクを知ってもらい、難聴を予防する目的で設置された。

最初に「よく電車の中で音楽を聴く」「大音量で音楽を聴くのが好き」などのチェックリストがあり、1項目でも該当する人は「難聴になるかも」と警告。上記リストの項目がなぜ危険かを解説している。また、予防のための「簡単な4つの方法」、疑問を解決する「Q&A」のページもある。

スマートフォンでも見やすいデザインは、愛知県立芸術大学美術学部デザイン専攻の青山めいさんの卒業制作作品を基に作成。内容は藤田医科大学病院の吉岡哲志准教授が監修した。
 

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