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聖隷浜松病院とやらまいか精神-堺常雄先生が取り組まれてきたこと

聖隷浜松病院とやらまいか精神-堺常雄先生が取り組まれてきたこと
堺 常雄 先生

株式会社日本病院共済会 代表取締役、日本病院会 前会長 、聖隷浜松病院 元総長

堺 常雄 先生

この記事の最終更新は2017年03月02日です。

急性期医療や周産期医療に力を入れている聖隷浜松病院は、静岡県西部における医療の中心的存在といわれています。堺常雄先生は、日本病院会会長として日本の病院をけん引するかたわら、静岡県内における医療のトップを走り続けるある聖隷浜松病院の総長としてもご活躍されています。

この記事では、聖隷浜松病院で堺先生がこれまで取り組まれてきたことについて伺いました。

 

※日本病院会の取り組みについて伺った記事はこちら

『病院における医療と経営の質向上を目指して-日本病院会の取り組み』

戦前、結核は治療方法が確立していなかったことから不治の病として恐れられており、結核患者に対する偏見と迫害が強い時代でした。この状況を見かねたクリスチャン青年達が、隣人愛の精神から結核患者とともに生活し、食事や身の回りの世話などを行なうようになりました。これが現在の聖隷三方原病院と聖隷福祉事業団の礎になりました。

1930年に創立した聖隷事業団による取り組みは広がりをみせ、時代にニーズに合わせた変化をとげ、現在に至ります。「隣人愛の精神」と「困っている人を助ける」は、現在でも聖隷福祉事業団(※)の大きなミッションです。

※聖隷福祉事業団‥聖隷浜松病院をはじめ、全国各地で病院や医療福祉施設等を運営する、日本有数の社会福祉法人

抗生物質が開発されたことですでに結核は治る病気になりましたが、今度は社会や産業構造の変化により、交通事故などによる頭部外傷や心臓血管系疾患が急増しました。また工場などが多い土地柄、手指等を怪我する方が多くいらっしゃったこともあり、聖隷浜松病院は地域に生じたキュア(治療)ニーズにこたえる病院となるべく、1962年に開院しました。

堺常雄先生

聖隷浜松病院は、聖隷福祉事業団が持つ「隣人愛の精神」と「困っている人を助ける精神」に加え、病院全体に地域の医療ニーズを積極的に先取りしていこうという意欲があります。

聖隷浜松病院が近隣地域の方だけでなく、全国的にも知名度のある病院に成長することができたのは、これまで多くのスタッフが地域のニーズを先取りし、これに応えるべく懸命に努力してきてくれたおかげです。

手の外科とは、マイクロサージャリーと呼ばれる特殊な顕微鏡を使用して血管や神経などをつなぐ、より精密な手術などを中心に行う診療科のことです。当院では診療以外にも学会発表や執筆活動なども積極的に実施しており、手の外科・マイクロサージャリーの技術発展に貢献しています。

当院は総合周産期母子医療センターの指定を受けており、各診療科との連携により母親と赤ちゃんの健康を24時間体制で守っています。全国でも珍しい新生児救急車を保有しており、妊娠中の合併症や胎児・新生児の疾患などに幅広く対応できるセンターとして、近隣地域の方々から信頼されています。

聖隷浜松病院はてんかんセンターを併設しており、てんかん治療に力を入れている日本有数の病院としても知られています。

日本のてんかん治療は世界から大きく遅れをとっており、今でも多くのてんかん患者さんやそのご家族が苦しんでいます。当院ではてんかん治療先進国であるアメリカやカナダなどでスキルを身に着けた医師を中心に、最先端のてんかん治療やケアを行っています。

世界地図

聖隷浜松病院は2012年に国際医療機能評価機関(JCI)による認証を取得しました。これは、世界的に通用する医療を提供する病院であると認めていただいたことを意味しています。また、Medical Excellence Japan(MEJ)より日本国際病院として推奨されました。

聖隷浜松病院は今後海外、特に東南アジアなどの地域に対する医療支援を実施したいと考えています。

たとえばてんかんの場合、てんかんを疑われても治療されることなく放置されていることが多いです。海外の患者さんを日本に呼んで治療をすることは簡単ですが、それでは患者さんの国のてんかん治療は成長しません。仮に当院の医師を現地に派遣したとしても、治療できる人数に限りがありますから、当院に現地の先生を招待して治療など多くのことを学んで母国へ持ち帰ってほしいと考えています。

聖隷浜松病院が周辺地域にとどまらず、全国的、世界的に信頼される病院に成長できたのは、病院で働くスタッフの皆さんの能力の高さと、「やらまいか精神」に秘訣があると考えています。

やらまいか精神とは、とにかくやってみようという精神のことです。聖隷浜松病院には頭と手を同時に動かしながら次のことを考えようというスタンスの方が多く、これは病院にとって大きな財産といえるでしょう。

私が聖隷浜松病院の院長として働いていたとき、レジデント(後期臨床研究医)として働くスタッフに大中小3つの目標を持っていただきたいと伝えてきました。

大きな目標

専門医になる・婦長になるなど、多くの積み重ねが必要なこと

中くらいの目標

手術を任されるようになるといった、達成するまでに数ヶ月~数年かかるもの

小さい目標

点滴や採血をうまくなるなど、今日からでも取り組めること

堺常雄先生

たとえ毎日が目の回るような忙しさであっても、ほんの少し意識するだけでできるようになることはたくさんあります。他の人からすると些細なことでも、小さい目標の達成はスタッフの自信につながり、もっといろんなことに取り組んでみようと、さらに前向きな意識を持つようになります。

意識は行動を変え、行動が変われば結果も変化します。大病院としての立場に甘えることなく、困っている人を医療の力で助けたいという心と、常に前進を続ける気概、そしてスタッフが目標を持ち続けることで、聖隷浜松病院はさらなる発展を続けていくと考えています。

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