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インタビュー

スクリーニング検査が必要なとき、必要でないとき

スクリーニング検査が必要なとき、必要でないとき
徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、獨協大学 特任教授、東邦大学 客員...

徳田 安春 先生

Choosing Wisely

スクリーニング検査は具体的な症状がないとき、医師が疾病を探す際に役立っています。検査をすることによって、治療が行いやすい早期に問題を発見できます。時には、健康状態を増進させ、長寿に役立てることが可能です。

ただし大切なことは、どのような検査が必要で、どのくらいの頻度で行うかを知ることです。スクリーニング検査には、リスクが伴うのです。

スクリーニング検査は、重大な問題を発見するかわりに誤って“警告”を発することがあります。これは、特に検査で調査中の病気に罹患している可能性が低い時ほど言えることです。警告が出されると余計な検査や、生検(生きた組織を採取して検査すること)などの処置を受ける結果となります。これによって患者さんは余計な心配事が増えてしまいます。

たとえばがんのスクリーニング検査では、健康上問題にならないほどの小さな腫瘍が発見されることがあります。そうすると、本来受けなくてもいい治療を受けることになります。この治療は、体にとって有害で高額なものかもしれません。

  • 前立腺癌を調べるためのPSAの血中検査では、ゆっくりと進行するがんで、人間が生きている間には害にならないものが発見されることがあります。それにもかかわらず、だいたいの人が手術を受けたり放射線治療を受けたりしています。これらの治療によって、インポテンツや尿失禁、もしくはその両方を患うこともあります。
  • 大腸内視鏡検査では、時として大量出血や結腸内に穴を開けてしまったりすることがあります。
  • CTスキャンのような画像検査では多量の放射線を使用します。放射線を浴びれば浴びるほど、がんにかかる可能性が高くなります。

このChoosing Wisely「賢い選択」のシリーズでは、医療機関が挙げた、受ける必要がない・あるいはよく行われている検査をリストにしています。これらの検査は時に体へ害を及ぼすものです。

ある病気のリスク・ファクター(危険因子)がある場合、その病気についての検査を受ける必要性が高くなります。たとえば糖尿病高血圧肥満は心臓病のリスク・ファクターとなります。

受けるスクリーニング検査が本当に自分に適しているかどうかを主治医と相談してください。検査は、以下に基づいています。

  • 年齢・性別・全体的な健康状態・家族歴
  • 特定の病気に対するリスク・ファクター
  • 個人の嗜好

(米国家庭医学会、米国内科学会による)

心電図は、電極を胸につけて心臓の活動の様子を記録します。運動負荷試験の場合は、被検者がランニングマシーンで歩いているのを心電図で測定します。これらふたつの検査で、心臓の拍動や働きが正常かどうかわかります。

下記に該当する場合、上記のどちらかひとつの検査が必要です。

  • 心臓疾患の徴候である胸の痛み・息切れ・不整脈がある場合。
  • 糖尿病や心臓の問題を併発するような他の病気をもっているが、運動を始めたい場合。

下記の場合は、検査は必要ありません。

  • 具体的な症状がなく、心臓発作をおこすリスクが低い場合。リスクについては、主治医に相談してください。

(米国心臓学会、米国心臓核医学会による)

これらの検査では、心臓が激しく動いている際の心臓の画像を撮ります。これにより、心臓へ送られる血流が低下しているかどうかがわかります。負荷心臓超音波検査では超音波を使用します。負荷心筋シンチグラフィー検査は少量の放射性物質を使用します。

下記に該当する場合、検査が必要です。

  • 心臓病の症状がある場合。
  • 例えば糖尿病や末梢動脈疾患など、心臓発作を起こす可能性が高い健康上の問題がある場合。

下記の場合は、検査は必要ありません。

  • 心臓病の症状がなく、高いリスクもない場合。

(心臓血管CT学会による)

CTスキャンで、心臓の冠動脈が石灰化していないかどうかを調べます。冠動脈の石灰化は、初期の冠動脈狭窄の徴候です。石灰化数値は、症状がない方が心臓発作を起こすリスクを予見するのに役立ちます。

下記に該当する場合は、検査が必要です。

  • 症状はないが、中程度の心臓発作のリスクがある場合―主治医が、そのリスクに対してどの程度まで治療すべきかわからない場合。
  • 血の繋がった家族に初期の心臓病患者がいる場合。

下記の場合は、必要がありません。

  • 症状がなく、リスクが低い場合。

(心臓血管CT学会による)

冠動脈造影CT(CCTA)は、CTスキャンの一種です。造影剤を血管に注入して、心臓の冠動脈が狭くなっていないか、閉塞していないかを診ます。

下記に該当する場合は、検査が必要です。

  • 症状があると同時に心臓病の中程度のリスク・ファクターがある場合。
  • 心臓病の症状があるが、リスク・ファクターが低い。しかし、一般的な運動負荷試験を受けることができない場合。

下記の場合は、必要ありません。

  • 心臓病の症状がない場合。

(米国家庭医学会による)

この検査で首の頸動脈が狭くなっていないか、閉塞していないかがわかります。頸動脈の閉塞によって、脳卒中が引き起こされることがあります。

下記に該当する場合は、検査が必要です。

  • 既に脳卒中を起こしたことがある。あるいは、小さな発作(一過性脳虚血発作、TIA)を起こしたことがある場合。
  • 現在、体の片側で急に力が弱くなったり、しびれたりしている場合、もしくは、急に言語・会話・視覚に問題が起きる脳卒中の徴候が出ている場合。これらの場合は救急車を呼んでください。

下記の場合は、検査の必要はありません。

  • 過去に脳卒中や一過性の発作もなく、症状もない場合。

(米国家庭医学会による)

骨粗しょう症によって骨が脆くなり、骨折する可能性があります。テストはDEXAスキャンというもので、X線を使用して骨の強さをチェックします。

下記に該当する場合は、検査が必要です。

  • 女性で、65歳以上の場合。
  • 男性で、70歳以上の場合。主治医に検査について相談しましょう。
  • それよりも若いが、骨が弱くなる以下のようなリスクを伴う場合。      
  • 軽い事故で骨折した・関節リウマチ・両親のどちらかが大腿骨頚部を骨折している・小さくて痩せている・喫煙者である・大量飲酒者である・プレドニゾロンなどのステロイド薬を長期間使用しているなど。

次の場合は、検査は必要ないでしょう。

  • 若年者で、症状がない場合。

(米国リウマチ学会による)

DEXAスキャンを受けるときは、直近から少なくとも2年空けてください。

下記の場合は、検査の回数を増やす必要があります。

  • 急速な骨密度の変化が起こっている場合。

下記の場合は、検査の回数を減らす必要があります。

  • 最初のスキャンで正常、もしくはほぼ正常な結果だった場合。主治医に追跡検査が必要か相談してください。

(米国臨床病理学会による)

ビタミンDの値が低いと骨折や他の健康上の問題が出てくるリスクが高まります。

下記の場合、検査が必要です。

  • 骨粗しょう症の場合。
  • 体内のビタミンD代謝が低下する病気の場合。具体的には深刻な慢性疾患であるセリアック病・炎症性腸疾患・腎臓病・肝臓病・また膵炎など。

下記の場合、検査は必要ありません。

  • 健康体であり、リスク・ファクターがない場合。

(米国家庭医学会による)

パップテストは、子宮内で子宮頚がんを引き起こすかもしれない異常な細胞を調べるために行います。子宮頚がんは、通常10年から20年かけて発症するので、毎年検査を受ける必要はありません。

下記に該当する場合は、検査を受けてください。

  • 21歳以上の女性は、3年ごとにパップテストを受けてください。
  • 30歳から65歳の場合。HPVテストを同時に受けているならパップテストも5年ごとに受けてください。
  • 子宮頚がんだった、また前がん病変が見つかったことがある場合。回数を増やして検査をしてください。いずれの場合も主治医に確認してください。
  • 免疫力が弱い場合。回数を増やして検査をしてください。当てはまるかどうかは主治医に確認してください。

下記の場合は、検査を受ける必要がありません。

  • 21歳以下の女性、また男性。
  • 65歳以上で通常のスクリーニング検査結果が正常である場合。
  • 子宮筋腫のようながんでない病気のために子宮摘出術で子宮頚部を切除している場合。

(米国消化器協会による)

この検査の過程で、医師はポリープ(良性の腫瘍)を発見して切除できます。これらの小さなポリープが、時としてがんになることがあります。検査では、細くて自在に曲がるチューブを使って大腸や直腸の内側を診ます。

下記に該当する場合は、検査を受けてください。

  • 50歳~75歳の場合。
  • 若年でも、リスク・ファクターがある場合。当てはまるかどうかは主治医に確認してください。リスク・ファクターとは、炎症性腸疾患である・腺種が見つかったことがある・近い血縁者に大腸がんや腺腫を指摘された方がいる場合です。腺腫は、がん化するポリープです。
  • 大腸内視鏡検査で腺腫やがんが発見されなかった、またほかのリスク・ファクターがない場合。次の内視鏡検査は、10年後に受けてください。
  • ひとつかふたつの小さくてリスクの低い腺腫を切除したことがある場合。次の検査は、5年から10年後に受けてください。
  • もっと大きくて深刻な腺腫がある場合。検査の回数を増やしてください。
  • 75歳以上の男性で、大腸内視鏡検査を適度に受けていない場合。主治医に確認してください。

(米国家庭医学会による)

血液検査で、前立腺で作られる物質であるPSA値のレベルがわかります。高いレベルは、前立腺がんの徴候です。定期的にこの検査を受ける必要はありません。50歳~74歳の男性は、主治医にこの検査のリスクとメリットについて相談して下さい。

下記の場合は、医師に相談してください。

  • 著しい体重の減少・リンパ節の腫大・尿習慣に変化がみられる・血尿が出る・骨盤部や直腸に痛みがあるなどの徴候がある場合。

下記の場合は、恐らく検査の必要はありません。

  • リスクが高いとしても、75歳以上である場合。
  • リスクが高いとしても、50歳以下である場合。

(米国胸部専門医学会と米国胸部疾患学会による)

CTスキャンで高危険因子の喫煙者における肺がんの初期の徴候を調べます。

下記の場合は、検査が必要です。

  • 55歳から80歳で、長年の間ヘビースモーカーだった場合。ヘビースモーカーとは、
  1. 30年間1日に1箱の煙草を吸っていた。もしくは、15年間以上1日に2箱の煙草を吸っていた場合。
  2. 更に、いまなお喫煙している場合。あるいは過去15年以内に禁煙した場合。

下記の場合、検査は必要ではありません。

  • 煙草をたしなむ程度の場合。
  • 55歳以下あるいは80歳以上の場合。

(米国核医学・分子イメージング協会による)

PET-CTでは、一回のテストで体の隅々までがん検査ができます。

下記の場合は、検査が必要です。

  • がんと診断された、あるいはそのための治療を始めた場合。PETスキャンで、どのくらいがんが進行しているか、どのように治療に反応するか、治療後に再発していないかを診ることができます。

下記の場合、検査は必要ではありません。

  • がん治療を行っていない場合。アメリカにおいてPET-CTスキャンは、病気のスクリーニング検査には推奨されていません。

必要がないのに多くのスクリーニング検査を行うことは、百害あって一利なしです。主治医に何が適切な検査かを相談してください。

(米国婦人科腫瘍学会、アメリカ産科婦人科学会による)
CA-125という項目を血液検査で調べるため、そして超音波が卵巣のガンを発見するために使用されています。

下記の場合、検査が必要です。

  • 血縁者に卵巣がん乳がん、子宮がん、大腸がんの病歴がある場合。
  • 遺伝的なリスクがある場合。BRCA1やBRCA2の遺伝子変異もしくは、リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)の場合。
  • 卵巣がんの徴候は、腹部や腰部の痛みや圧迫感、膨張または食後早く訪れる膨満感、吐き気、消化不良、疲労感、また不正出血などです。症状が新しく、2週間以上続く場合は、主治医にご相談ください。

下記の場合、検査は必要ありません。

  • 症状がなく、リスク・ファクターがない場合。

(米国家族医学会による)

脊柱側弯症は、脊柱が異常に曲がる病気です。医師または看護師が、子どもの背中を診て脊柱側弯症の徴候を調べます。検査は、通常の健康診断または学校の検診プログラムで行います。

ほとんどの子どもは、この検査を受ける必要はありません。なお検査はかなり正確であるというわけではありません。多くの脊柱側弯症は症状がおだやかで、問題がおこったり、治療が必要になったりもしません。むしろスクリーニング検査によって、結果的に不必要な放射線の使用や背中の矯正装具、また心理的ストレスをもたらすことになります。

下記の場合、お子さんは検査の必要があります。

  • 背中が著しく曲がっている場合。主治医は病歴をとって診察を行い、背中の歪みを計測します。主治医から整形外科医を紹介されるでしょう。

(米国小児眼科・斜視協会による)

これらの検査は、眼科測定師や小児眼科医のようなスペシャリストが行う統合的な眼と視覚検査です。

検査が必要な子ども

  • プライマリケア(総合診療)の医師による視覚スクリーニング検査を行わなかった場合。
  • 視覚の問題があると診断された場合。
  • 家族に、視覚か眼に著しい問題がある方がいる場合。

検査が必要でない子ども

  • 視覚に問題がない場合。

(米国小児眼科・斜視協会による)

網膜像検査は、光を感じる部分である網膜の画像を撮るものです。

検査の必要がある子ども

  • 網膜や視神経に問題があると診断された場合。
  • 糖尿病である場合。糖尿病は網膜にダメージを与えることがあります。
  • 視力が弱く、医療用の眼鏡で視力が上がらない場合。

検査が必要でない子ども

  • 眼の症状がない場合。ただし将来問題が出てきたとき、比較をするために“基本的な”検査は必要です。

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。

翻訳:Choosing Wisely翻訳チーム 学生メンバー・大阪医科大学 荘子万能

監修:小林裕貴、徳田安春先生

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  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、獨協大学 特任教授、東邦大学 客員教授、聖マリアンナ医大 客員教授、慶應義塾大学 非常勤講師、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表

    徳田 安春 先生

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