院長インタビュー

地域から信頼される病院を目指し、診療科としての特色を生かす新潟臨港病院

地域から信頼される病院を目指し、診療科としての特色を生かす新潟臨港病院
湊 泉 先生

社会医療法人 新潟臨港保健会 新潟臨港病院 院長、社会医療法人 新潟臨港保健会 理事長

湊 泉 先生

目次
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社会医療法人 新潟臨港保健会 新潟臨港病院(以下、新潟臨港病院)は、新潟県新潟市の東区に位置しています。海と工場に囲まれ住宅が少ない中で地域に根ざした病院づくりに励んできた同院は、特に内科、外科、整形外科、泌尿器科に注力していて、常によりよい医療が提供できるように努めています。

今回は、新潟臨港病院の病院長である湊泉先生に、病院の特色や今後の展望について、お話を伺いました。

新潟臨港病院の外観
新潟臨港病院の外観

1951年に、新潟臨港開発株式会社の企業立診療所として医療法人新潟臨港保健会が創立されました。その後、1954年に前身である新潟診療所から改称する形で当院が開院、同時に内科、外科、産婦人科などの診療科を設置しました。また、1965年には整形外科の新設を行いました。さらに、1985年には腎透析センターを新設して、人工透析治療を開始しています。2004年4月には病院を新築し、199床のケアミックス型の病院になりました(2019年5月現在)。2014年には医療グループ(新仁会)に加入し経営基盤の安定化と専門化を目指し、へき地医療を担う病院として社会医療法人となっています。

2015年には旧新潟逓信病院を譲り受け、新潟万代病院を開設し、院内診療部門として設置した「関節再建センター」を中心に新潟市中心部の医療に貢献しています。

2016年から経済連携協定(EPA)に基づくベトナム人看護師候補の受け入れを開始し、2019年春までに5名が看護師国家資格に合格しています。

内科では、呼吸器内科・消化器内科・腎臓内科の分野を中心とした総合的な診療を行っています。

いきいきウォーキングの様子
いきいきウォーキングの様子

呼吸器内科の分野では、喘息COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)など呼吸器に発症する病気を中心に対応しています。当院は睡眠時無呼吸症候群の診療にも注力しており、1泊2日での睡眠時無呼吸症候群の検査を実施しています。睡眠時無呼吸症候群には、高血圧糖尿病脳卒中などの生活習慣病の原因となる危険性があることも指摘されています。睡眠時のいびき、日中の眠気や倦怠感などがある場合には、ぜひご相談いただければと思います。

リウマチ科・膠原病の分野は週1回の診察でしたが、2019年4月から医師が赴任したことにより、月曜日・水曜日の午前中に外来診療枠を設けることが可能になりました。診断・治療に専門的な知識を要する分野であり、院内外から頼られる存在となるものと期待しています。

消化器内科の分野では、下部内視鏡を用いた検査および治療が柱でしたが、診療機能を集中させるために内視鏡センターを開設しました。内視鏡センターで胃がん大腸がんなどの早期発見と治療を一貫して行うことにより、患者さんにスムーズな診療の提供を可能としています。

腎臓内科の分野では、腎炎腎不全ネフローゼ症候群などの診療を行っています。透析治療を必要とする患者さんに対し、血液透析・腹膜透析治療を提供しています。地域の医療機関と密に連携を取り、病状が安定している場合には、歩行を困難とする患者さんや学生・社会人などの平日に来院が不可能な方へ向けた治療の継続をサポートしています。

外科では、消化器外科・肛門外科の分野を中心に診療していて、患者さんに常に現状よりもよい医療が提供できるように、スタッフが一丸となりチーム医療に励んでいます。またクリニカルパスを作成して患者さんの治療スケジュールを明確にすることで、スタッフ間で共有できるだけでなく、入院期間の短縮にもつなげています。

消化器外科の分野では、胃がんや大腸がんを始めとした消化管のがん胆石症、急性虫垂炎などの消化器外科の病気に対応しています。さらに肝臓がんや胆管がん膵臓がんに対しての治療も行っています。患者さんに少しでも早く社会へ復帰していただけるよう、可能な限り内視鏡を使用した負担の少ない治療を提案しています。

肛門外科の分野では、核・痔瘻裂肛直腸脱の肛門科の病気に対応しています。当科では診断を行ったうえで、患者さんごとに適した治療の提案や選択を行います。

また、便失禁外来の設置も行っています。便失禁は加齢が原因だと思われがちですが、他にも出産や肛門周辺部位の手術、ときには原因が判明しない場合もあります。当院では、治療法のひとつとして仙骨電位刺激療法も取り入れています。仙骨刺激療法とは、排便に関係する仙骨神経に対して電気刺激を行うことで、便失禁の改善をねらう治療法です。仙骨電位刺激療法は、他の方法では治療効果が得られず、かつ試験刺激の段階で効果がみられた患者さんに対し、心臓のペースメーカーのような医療機器を皮膚の下に埋め込みます。

当院では、胃から肛門まで消化器内科や消火器外科、肛門外科で連携した治療を行なっています。

リハビリテーション室の様子
リハビリテーション室の様子

整形外科では、関節外科や外傷、手・上肢外科の分野を中心として診療を行っています。

関節外科の分野では、変形性股関節症を中心に治療を行っています。人工股関節手術が主ですが、当科が開発に参加した3次元下肢アライメント評価システム、人工関節を適確に設置するための術中支援器械を用いて、患者さん一人ひとりに適した人工股関節置換術を目指しています。患者さんの状態に合わせた手術方法を選択することで、早い段階からのリハビリ開始、あるいは退院につながると期待しています。

外傷治療では高齢者の脆弱性骨折はもちろんのこと、創外固定器を用いた骨折治療にも取り組んでいます。

手・上肢外科の分野では、腕神経損傷や手根管症候群テニス肘、指切断などに対応しています。整形外科領域でも特に手・上肢の分野は非常に複雑であるため、当院では日本手外科学会が認定する手外科専門医の資格を取得した医師が中心となって医療の提供に努めています。

泌尿器科においては、この地域の泌尿器科としての役割も担っています。当科では尿路や男性生殖器、副腎などに生じる病気にも対応しています。高齢化社会では男女問わず排尿障害が増えておりますが、尿失禁に対しては電気刺激療法にも取り組んでいます。

当院は、医師間の垣根が低く、また、医療スタッフとの関係も良好でチーム医療ができていると思っています。患者さんの病状検討が他職種で気軽にしやすく、医師にとっても患者さんにとっても大きな利点であると思います。これからも、患者さんに適した医療の提供を目指し、地域に根ざした診療科を構築していきます。

当院では、これからも地域の方々により安心していただける医療の提供を行っていくために、医師の研修、増員を検討していきたいと考えています。当院にない診療科の新規開設も魅力的ですが医師数の少ない新潟県の現状では困難であり、すでにある診療科の強化に努めることが今後重要な課題になると思います。

地域の医療機関との連携もさらに取りながら、お互いの特徴を活かし、地域内で完結できる連携を行い、地域に信頼される病院を目指して尽力していきます。

2019年2月には当院と近隣病院である社会医療法人桑名恵風会 桑名病院、当院同一法人の新潟万代病院(新潟市中央区)、新潟市医師会の共催により「病診連携事業学術講演会」を開催しました。55名もの医師の参加の下、新潟大学医歯学総合病院の医師による特別講演、また共催各病院の医師からは自院の特徴的な診療について講演され、大学病院と地域の病院、診療所との連携による地域完結型医療について思いを新たにする機会となりました。また各診療分野でも個々の先生方が積極的に地域研究会を催すなどしており、さまざまな取り組みを通じ、face to faceの関係を大切にしながら、連携の質の向上や地域に信頼される病院づくりに取り組んでいるところです。

近隣病院共催の病診連携講演会の様子
近隣病院共催の病診連携講演会の様子

当院では、患者さんに病状や生活環境などを伺いながら、一人ひとりに適したオーダーメイド型の医療が提供できる病院を目指しています。そのためにも、少子高齢化社会に向けた診療科の充実や、患者さんがフランクに意見を発言できる環境づくりを行っていきたいと考えています。

これからも、常に現状よりもよい医療を提供できるよう、地域の皆さんや患者さんから信頼される病院づくりに努めて参ります。

これからの医療を担う若手の医師の皆さんには、患者さんやスタッフと積極的にコミュニケーションを図ることのできる医師であることを期待しています。不安を抱えている患者さんにとって、話しやすい医師であるかどうかは、その後の診療に大きく関わってくると思います。そのため、全ての基本である挨拶をすることから心掛け、人との付き合いを大切にできる医師を目指してほしいと思います。

また、若いうちに基礎研究などを積極的に取り組むことで、多種多様な知識や思考を身につけておくことも非常に重要であると考えます。たとえば、インターネットやテレビで見るだけでなく、違う施設への見学や経験など、自分から違う世界に飛び込むことで学べることも多くあると思います。若いうちにたくさんの経験を積み、発見した課題点に真剣に向き合いながら頑張ってほしいです。

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  • 社会医療法人 新潟臨港保健会 新潟臨港病院 院長、社会医療法人 新潟臨港保健会 理事長

    湊 泉 先生

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