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卵巣がんの予後 ~予後が悪くなりがちな理由や5年生存率の目安~

卵巣がんの予後 ~予後が悪くなりがちな理由や5年生存率の目安~
岡田 智志 先生

国際医療福祉大学成田病院 産科・婦人科

岡田 智志 先生

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“予後”とは病気や治療などの医学的な経過についての見通しのことです。つまり、“予後がよい”といえば“これから病気がよくなる可能性が高い”、“予後が悪い”といえば“これから病気が悪くなる可能性が高い”ということを意味します。

本記事では、卵巣がんの予後はどのようなものなのか、また影響を与える因子について解説していきます。

卵巣がんは一般的に予後が悪いといわれています。その理由としては、卵巣がんは初期症状が少なく気付かないうちに進行してしまい、発見時には進行がんであることが多いことが挙げられます。

初回診断の時点でがんが卵巣のみに存在している割合は30%ほどで、それ以外はすでにリンパ節転移や隣接臓器浸潤を起こしているというデータもあります。そのため、罹患者は年間13,000人程度であるのに対して死亡数は年間4,700人を超えており、ほかのがんと比較して死亡率が高めであることから“サイレントキラー”とも呼ばれます。

5年相対生存率とは、がんと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標のことです。がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表します。つまり、100%に近いほど治療で生命を救えるがん、0%に近いほど治療で生命を救うのが難しいがんであることを意味します。

国立がん研究センターの統計によると卵巣がんの5年相対生存率は約60%であり、同じ婦人科腫瘍である子宮がんの80%弱と比較すると低いように感じるかもしれません。ただし、これはあくまでも率であるため、全ての人に当てはまるわけではないことに注意が必要です。

卵巣がんの治療には手術と化学療法がありますが、根治的治療である手術においては、がんを取り切れるほど予後がよいと多く報告されています。もちろん全ての病巣(卵巣がんに加えて転移した病変部分)を完全摘出することが望まれますが、進行がんで広く転移してしまっている場合、全てを完璧に取り除くのは難しくなります。

その場合は病変をできるだけ取り除く手術を行った後に化学療法を3~4回行い、再手術を行います。再手術で病変を完全に取り除いてから、さらに化学療法を追加します。この手段の代替としては、手術の前に化学療法を行って病変を小さくしてから完全に病変を取り除く手術を行うというものがあります。

“転移”とは、がん細胞が最初に発生した場所から血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官へ移動し、そこで増えることをいいます。

一方、“再発”とは、治療がうまくいったように見えても手術で取り切れなかった目に見えない小さながんが再び現れたり、化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療で一度縮小したがんが再び大きくなったり、別の場所に同じがんが出現したりすることをいいます。したがって、“転移”としてがんが見つかった場合も再発と呼ばれます。

卵巣がんは初回の治療によりうまく治ったように見えることが多いですが、半数以上で再発してしまいます。再発する時期は治療後2年以内が多く、特に進行がんでは2年以内には約半数が、5年以内には70%以上が再発するとされています。

また、再発後の生存期間の中央値はおよそ2年であり、再発後は根治が困難であることからも再発後の予後は悪いといわれています。

再発がんは根治が難しいことから、延命や症状緩和を目的に化学療法を行うことが主な治療法となります。初回治療後から再発までの期間が半年以内かどうかで使用する治療薬は異なり、半年以内に再発した場合は初回治療とは異なる薬剤を、半年以降に再発した場合は初回治療で使用したプラチナ製剤を含む多剤併用療法(複数の薬剤を同時に投与する薬剤療法)が行われます。初回治療から半年以上たって再発した患者さんに対しては、分子標的薬を使用できる場合もあります。

再発がんに対して手術が可能なケースは限られますが、再発した場所によっては手術による摘出が可能なので担当医とよく相談してみるとよいでしょう。ただし、手術で切除できた場合でも術後に化学療法が必要です。放射線療法も行われますが、がんの縮小ではなく症状の緩和が主な目的です。

卵巣がんは発見時にすでに進行がんであることが多く、進行がんは再発のリスクが高いうえに根治が難しいため、一般的に予後はよくないとされています。予後を改善させるためには、手術で卵巣がんによる病巣を最大限取り切ることや、その後の再発・転移を防ぐために、特に初回治療後2年間の定期的なフォローアップ(問診・内診、各種検査)が重要になります。

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