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インタビュー

卵巣がんについて

卵巣がんについて
牛嶋 公生 先生

久留米大学病院 産婦人科 主任教授

牛嶋 公生 先生

この記事の最終更新は2016年05月16日です。

早期発見が難しいといわれる卵巣がん。かなり進んだ状態で発見されることが少なくありません。久留米大学病院産婦人科主任教授の牛嶋公生先生に卵巣がんについてお話をうかがいました。

卵巣は、子宮の両側にある親指大の臓器で、閉経前の女性では毎月1個の成熟した卵子が卵巣から排出されます。卵巣は、生まれたときから持っている多数の未熟な卵(原始卵胞)の成長を促したり、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンを妊娠に備えて分泌したりする役割を担っています。

卵巣は薄い膜一枚で腹腔内にさらされた状態にあります。胃や大腸などでは、粘膜があって、筋層があってというようにいくつかの層で臓器が守られています。子宮にしても、子宮の内膜から筋層を経て漿膜といったバリアとなる層が何層かあるわけですが、卵巣は表面の上皮一枚だけで腹の中にあるのです。そのため卵巣の表面から発生した腫瘤が増大して破れると、がん性腹膜炎といってがん細胞が腹腔内に飛び散ってしまうわけです。

この30年で画像診断は格段に進歩しました。しかし、これだけ画像診断が進んだ現代においても卵巣がんは進行した状態で発見されることが少なくありません。病期1期、2期を早期がん、3期、4期を進行がんとすると、半数程度は3期、4期以内、50~60%程度が3期、4期で発見されているのです。その割合は、CT(コンピューター断層撮影)などが今ほど普及していなかった時代と比べてもそのステージ毎の発見時の比率に関しては30年前とほとんど変わっていないのが現状なのです。その背景にあるものとしては、いくつか考えられますが、まず卵巣がんは症状が現れにくいこと、腹腔内にある卵巣のバリアがないことなどが上げられます。

婦人科疾患はその多くが良性です。卵巣にできる腫瘍にも良性と悪性がありますが、75%が良性腫瘍といわれています。腫瘤をみつけるのに超音波は有効とされていますが、腫瘤があっても良性か悪性かの判別は困難です。

さらに、超音波検査で腫瘤を発見し、CT検査やMRI(磁気共鳴画像)検査を行ったとしても、良性なのか悪性なのかについては、あくまでも推定でしかありません。最終的には手術をしてみないと判断することはできないのです。というのも、前述したように卵巣は上皮一枚で腹腔内にさらされているため、生検で針を刺した場合、万が一悪性だったときには、がん細胞が腹腔内に飛び散ってしまうため生検が禁忌となっているからです。

このように卵巣がんは一般の検診としては成り立たたず早期発見が難しいのですが、腫瘤の有無の発見には婦人科的な診察が必要となります。そこで我々が勧めているのが施設検診で、子宮頸がん検診を受ける際に、卵巣の超音波検査を受けてもらうようにしています。卵巣がんは40代以降で増加し、好発年齢のピークは50代、60代です。子宮頸がん検診は20歳以上となっていますが、若い方でも卵巣がんに罹る方もおられるので、特に年齢は関係なく一緒に受けてもらうのがよいでしょう。

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