新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら
インタビュー

卵巣がんの分子標的治療

卵巣がんの分子標的治療
大和田 倫孝 先生

国際医療福祉大学病院 院長/ 産婦人科部長、国際医療福祉大学 教授

大和田 倫孝 先生

婦人科がん領域の分子標的薬は、乳がん消化器がん等に比べてまだ普及していません。分子標的薬について国際医療福祉大学病院産婦人科の大和田倫孝先生にお話をうかがいます。

がん治療は、本来がんの組織全体を直接ピンポイントで破壊することがもっとも望ましいゴールです。しかし、がん細胞を直接狙い撃ちして破壊することは簡単なことではありません。そのため、現在最も多く用いられている分子標的薬は、がん病巣に送られる栄養路(血管新生)を絶とうとするものです

抗がん剤はがん細胞も正常細胞も攻撃してしまうため、たとえば正常細胞の中で増殖が盛んな髪の毛や消化器の細胞なども影響を受けてしまいます。それがよく抗がん剤治療で挙げられる脱毛や吐き気など副作用の原因です。分子標的治療は、がん細胞、がん病巣だけをねらい撃ちしてがんの発育を抑える方法です。

分子標的薬は、理論上は副作用の少ない薬剤ですが、現実には抗がん剤と同様に重篤な合併症の発生も報告されていますので、使用に当たっては十分な注意が必要です。現時点ではまだ完全に安全性が確保された治療薬とはいえません。

現在、婦人科がん領域で保険適用になっている分子標的薬は、卵巣がんにおけるベバシズマブ(アバスチン)のみです。このベバシズマブにTC療法など通常の抗がん剤を組み合わせる方法で治療が行われていますが、無病生存期間(がんが治って再発するまでの期間)は延びているものの、全生存期間(亡くなるまでの生涯の期間)は変わらないという研究結果も出ています。今後は全生存期間の延長を目指したさらなる研究が急がれます。

現在、卵巣がんに限らずがんの治療にはかなりの医療費がかかります。参考までに卵巣がんの治療費を項目別にみると、手術料が約60万円(麻酔料を除く)、TC 療法1回分が約10万円、ベバシズマブ1回分が約40万円で、分子標的薬がかなり高額です。日本の現状では医療費の抑制が重要な課題であり、どのような治療を行うべきかを倫理面のみではなく医療経済面からも厳しく評価され、近い将来、確実に有効性が見出せない治療は制限される時代が来るかもしれません。

 

受診について相談する
  • 国際医療福祉大学病院 院長/ 産婦人科部長、国際医療福祉大学 教授

    大和田 倫孝 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    関連記事

  • もっと見る

    関連の医療相談が13件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しておりますが、アプリからは初回のみ無料でご利用頂けます。初回利用後も、自動で課金される事はありません。

    「卵巣がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。