前の記事「卵巣がんの診断と検査-なぜ卵巣がんは確定診断に時間がかかるのか」では卵巣がんの診断と検査についてご説明しました。卵巣がんの治療は、診断によって得られた組織型やがんの広がり(転移)などを考慮して選択されます。本記事では、卵巣がんの治療と手術にともなう合併症について、国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科科長 加藤友康先生にお話しいただきました。
原則は、手術でがん部分を摘出します。ただし、手術では腫瘍の切除が難しい場合や手術で腫瘍が取りきれなかった場合には抗がん剤で治療することもあります。
腹水や胸水がたくさんある状態では、術前化学療法⇒手術⇒術後化学療法という流れを取る場合もあります。特に漿液性がんの場合は抗がん剤が効きやすいため、術前に腹水をなくし、腫瘍を小さくすることが可能です。「手術⇒術後化学療法」と「術前化学療法⇒手術⇒術後化学療法」どちらが有効であるか日本で臨床試験が行われ、治療後の生存期間や再発率の経過を2016年現在、検証している段階です。その結果がでてもどちらを選択するかは症状や患者さんの状態、がんの組織型、抗がん剤の治療効果の予測によって変わってきます。
卵巣がんの手術は次のとおりです。
片側の卵巣や卵管だけを切除する場合と両側の卵巣・卵管・子宮・大網・リンパ節をすべて切除する方法があります。
大網とは胃から垂れ下がって、大腸や小腸をおおっている大きな網のような脂肪組織です。大網は組織のなかで最も卵巣がんの転移が起こる部位です。しかし、切除しても大きな影響はありません。
後腹膜リンパ節はおなかの大血管周囲にあるリンパ節のことをいいます。卵巣がんの転移が起こりやすい部位のひとつです。転移が疑われる場合にはその部位のリンパ節とリンパ管を切除します。(リンパ節郭清)
腹腔内(おなかのなか)に転移がある場合、その部位をできるだけ残さないために、大腸・小腸・脾臓などをがんと一緒に切除することがあります。
卵巣がんは腫瘍を完全に切除した場合でも、2〜3年で再発することが多いがんです。そのため、治療を行った後も再発の有無を確認するために定期的に通院が必要となります。卵巣がんでは、手術後2〜3年間は1〜4ヵ月ごと、その後は半年〜1年ごとが一般的です。問診・内診・直腸診・腫瘍マーカー、必要に応じて細胞診・CT検査を行います。通院の頻度は、再発の危険度に応じて変わります。
国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科 医師
関連の医療相談が13件あります
卵管切除による卵巣癌予防
ご丁寧な回答をいただきいつもありがとうございます。 追加の相談で申し訳ないですが 子宮、卵管切除にて 卵巣癌のリスクが下がると聞いたことがあります。 特に卵管。 一部の卵巣癌かもしれませんが これは本当ですか? 卵巣癌予防のために卵巣残して卵管は取りましょうと言われて手術された人もいるようです。 私は50代,手術中も卵巣綺麗と言われて卵巣残したそうですが、(子宮内膜症もないです) 卵巣癌になる確率は 卵管を取っても一般の方と変わらないですか?
化学療法中の急性腎不全における透析療法の保険適用外について
卵巣癌肉腫ステージⅳとして診断を受け、手術後抗がん剤治療を受けています。 現在、イリノテカン単剤療法を行っていましつが、腎機能の低下によって現在入院しています。 クレアチニン値が5.6を超え腎不全と診断されましたが、抗がん剤治療中のため透析療法は保険適用外だからできないと言われました。 行なっている治療はカリウムを除いた輸液とラシックスを1日に4回投与して尿を排泄しています。 尿量は1日1000ml程出ていますが、クレアチニン値の上昇が止まりません。 画像診断、尿検査はしていません。 本当に透析が出来ずにこのまま尿毒症で死ぬのを待つだけなのでしょうか。
卵巣摘出後の妊娠について
右の卵巣に腫瘍があると診断されました。良性の可能性が高いと言われましたが、手術でとらなければならないのでしょうか?結婚して3年になりますが、不妊治療をはじめようと考えていた矢先だったのでショックを受けています。
右脇腹、右側の背中、左脇腹の痛み
今年の1月に人間ドック受診後をし、胆嚢がん疑いで要精密検査となりました。 その後定期的にエコー検査をしており、先生からはおそらく大丈夫だと思うと言われていました。 しかし、6月ごろの検査後、数週間後から右脇腹に痛みが出てきたため、再度病院を受診しました。その際に腹部CTをしましたが特に異常はないとのことでした。 今月の6日にエコー検査をしたところ、胆石と9ミリほどのポリープがあるとのことでした。 先生がおっしゃるには胆石による痛みかもしれないということでしたが、最近左脇腹にも痛みが出てきており、胆嚢がんと膵臓がんではと心配しております。 画像などはなく分からないことが多いと思いますが、痛みの原因として考えられる病気はどのようなものがあるのでしょうか。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「卵巣がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。