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インタビュー

卵巣がんの治療-手術と抗がん剤治療がメインとなる

卵巣がんの治療-手術と抗がん剤治療がメインとなる
加藤 友康 先生

国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科 医師

加藤 友康 先生

この記事の最終更新は2016年04月19日です。

前の記事「卵巣がんの診断と検査-なぜ卵巣がんは確定診断に時間がかかるのか」では卵巣がんの診断と検査についてご説明しました。卵巣がんの治療は、診断によって得られた組織型やがんの広がり(転移)などを考慮して選択されます。本記事では、卵巣がんの治療と手術にともなう合併症について、国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科科長 加藤友康先生にお話しいただきました。

原則は、手術でがん部分を摘出します。ただし、手術では腫瘍の切除が難しい場合や手術で腫瘍が取りきれなかった場合には抗がん剤で治療することもあります。

腹水や胸水がたくさんある状態では、術前化学療法⇒手術⇒術後化学療法という流れを取る場合もあります。特に漿液性がんの場合は抗がん剤が効きやすいため、術前に腹水をなくし、腫瘍を小さくすることが可能です。「手術⇒術後化学療法」と「術前化学療法⇒手術⇒術後化学療法」どちらが有効であるか日本で臨床試験が行われ、治療後の生存期間や再発率の経過を2016年現在、検証している段階です。その結果がでてもどちらを選択するかは症状や患者さんの状態、がんの組織型、抗がん剤の治療効果の予測によって変わってきます。

卵巣がんの手術は次のとおりです。

①卵巣の切除

片側の卵巣や卵管だけを切除する場合と両側の卵巣・卵管・子宮・大網・リンパ節をすべて切除する方法があります。

②大網切除

大網とは胃から垂れ下がって、大腸や小腸をおおっている大きな網のような脂肪組織です。大網は組織のなかで最も卵巣がんの転移が起こる部位です。しかし、切除しても大きな影響はありません。

③後腹膜リンパ節郭清(かくせい)

後腹膜リンパ節はおなかの大血管周囲にあるリンパ節のことをいいます。卵巣がんの転移が起こりやすい部位のひとつです。転移が疑われる場合にはその部位のリンパ節とリンパ管を切除します。(リンパ節郭清)

④腸管などの合併切除

腹腔内(おなかのなか)に転移がある場合、その部位をできるだけ残さないために、大腸・小腸・脾臓などをがんと一緒に切除することがあります。

①手術全般に関するもの

  • 再出血
  • 感染
  • 腸管麻痺、腸閉塞
  • 深部静脈血栓、肺塞栓

②子宮全摘に関するもの

  • 膀胱、尿管損傷
  • 腸管損傷

③リンパ節郭清に関するもの

卵巣がんは腫瘍を完全に切除した場合でも、2〜3年で再発することが多いがんです。そのため、治療を行った後も再発の有無を確認するために定期的に通院が必要となります。卵巣がんでは、手術後2〜3年間は1〜4ヵ月ごと、その後は半年〜1年ごとが一般的です。問診・内診・直腸診・腫瘍マーカー、必要に応じて細胞診・CT検査を行います。通院の頻度は、再発の危険度に応じて変わります。

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