インタビュー

てんかんの助成制度3――障害年金で生活費をサポート

てんかんの助成制度3――障害年金で生活費をサポート
中里 信和 先生

東北大学大学院医学系研究科 てんかん学分野教授

中里 信和 先生

この記事の最終更新は2015年06月07日です。

てんかんのある方が受けられる福祉制度の3つ目は「障害年金」です。障害によって十分に働くことができない方の生活費をサポートするための制度です。

病気やけがなどによる障害によって、社会的、経済的に困難な状況にある人に対して支給される年金が障害年金です。障害年金を受給できるのは、下記のような方です。

  • 初診日から1年6か月以上経っている
  • 初診日の時点で、公的年金(国民年金・厚生年金・共済年金)に加入している
  • 初診日以前の一定期間、保険料を納めている
  • 一定以上の障害がある
  • 原則として20歳以上65歳未満

支給される年金は、初診日の時点でどの年金に加入しているかによって異なります(表A参照)。また、障害の重さ(表B、C参照)によっても異なります。原則どおりではなくても障害年金をもらえる場合があるので、窓口で相談してみることをおすすめします。

表A:障害年金の種類と支給額
参考文献:渡辺裕貴(2014)『てんかんのある人が利用できる福祉制度 3つのサポート』

 

表B:国民年金または厚生年金保険に加入していた場合の障害認定基準
参考文献:渡辺裕貴(2014)『てんかんのある人が利用できる福祉制度 3つのサポート』
参考:てんかん発作のタイプ
参考:てんかん発作のタイプ
表C:発作のタイプと頻度
参考文献:渡辺裕貴(2014)『てんかんのある人が利用できる福祉制度 3つのサポート』

 

障害年金の申請窓口は、年金の種類によって異なります。障害基礎年金は、居住している市町村の国民年金の担当課、障害厚生年金は、勤務先を所轄する社会保険事務所、障害共済年金の場合は加入している共済組合です。

手続きに必要な基本的なものは下記になります。そのほか、子どもの有無や本人の状況によってほかの書類が必要になることもありますので、担当の窓口で確認してください。

  • 診断書

障害認定日より3か月以内に医師が記入した診断書です。

  • 年金請求書

市町村役場や年金事務所などでもらえるので、記入して提出しましょう。

  • 加入している年金の年金手帳(基礎年金番号通知書)、被保険者証
  • 病歴・就労状況等申立書

発病から今までの経緯を記載します。障害の状況を確認するための資料になります。

  • 受診状況等証明書

診断書を書いてもらったところと、初診時の医療機関が異なる場合は、初診時の医療機関から提供してもらいます。

  • 戸籍謄本

3か月以内に発行されたものが必要です。

  • すでに年金を受給しているときの年金証書
  • 年金の振込先の銀行の通帳のコピー

本人名義の通帳である必要があります。

  • 印鑑

障害年金には「有期認定」と「永久認定」があります。永久認定の場合は一生年金をもらい続けることができます。一方、有期認定の場合は、定期的に診断書など現状を報告する書類を提出する必要があります。てんかんは有期認定です。障害の状態に変化がある場合、等級が変わったり、支給が停止になる場合もあります。報告のスパンは個々で異なりますが、1~5年ごとにする必要があります。

また、等級は前回紹介した、精神障害保健福祉手帳の等級とは審査基準が異なりますので気をつけましょう。

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