インタビュー

2型糖尿病とは?

2型糖尿病とは?
杉山 徹 先生

武蔵野赤十字病院 内分泌代謝科部長

杉山 徹 先生

菅野 一男 先生

かんの内科 院長

菅野 一男 先生

貴田岡 正史 先生

医療法人社団 明芳会 イムス三芳総合病院 内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター センター長

貴田岡 正史 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年03月15日です。

国内で糖尿病の9割以上を占める2型糖尿病。その症状、原因、診断、治療法など基本的なことを、糖尿病に詳しい杉山徹先生に訊きました。

糖尿病とは、ブドウ糖を血液中から細胞の中に取り込む(血糖を下げてくれる)インスリンというホルモンの働きが不足したり、インスリンが不足することにより、血液中のブドウ糖(血糖)が増えすぎてしまい、血糖値が高くなってしまう病気です。

2型糖尿病では、インスリンが分泌されても、

・インスリンの量が不十分であること

・インスリン効き目が悪くなっていること(インスリン抵抗性)

によって、血糖値が高くなります。1型糖尿病との違いとしては、2型糖尿病ではインスリンの分泌がある程度は保たれているということがあげられます。

2型糖尿病は、国内の糖尿病患者さんの90%以上を占めています。

2型糖尿病は、遺伝的な要因に加えて、普段の食生活や運動習慣などの生活習慣の乱れが原因で発症します。

糖尿病は基本的に無症状のことが大部分です。ただ、血糖が非常に高くなると次のような症状が見られるようになります。

  • のどが異常に渇くようになり、異常に水を飲みたくなる
  • 尿の回数が多くなる
  • 食欲が増える
  • 疲れやすい
  • 体重が減ってくる

などの症状がみられます。

高血糖を放置すると、合併症が出現し、次のような症状が見られるようになります。

  • 視力の低下(糖尿病網膜症
  • 足のしびれ(糖尿病神経障害)
  • 尿の泡立ち(糖尿病腎症)
  • 手足のむくみ
  • 傷の治りが遅い
  • 吹き出物が出やすい
  • 性欲減退・勃起不全

糖尿病をスクリーニングするため血液検査には以下の3つがあります。特に、血糖値HbAc1の2つの値が重要視されます。

1. 血糖値

血糖値は「空腹時血糖」と「随時血糖」に分けられます。空腹時血糖126 mg/ml以上、随時血糖200 mg/ml以上が糖尿病と診断される条件の1つです。正常値は空腹時血糖110 mg/ml未満かつ食後(糖負荷後)2時間140 mg/dl未満です。

2. HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)

過去1-2ヶ月の血糖の平均を表すものです。6.2 %以下が正常値です。

3. 75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)

75gのブドウ糖もしくはそれに相当する負荷をかけてから、その後の血糖値と血中インスリンの推移をみる検査です。

糖尿病」として診断されるのは、以下のような場合です。

  1. 空腹時血糖値 126 mg/dl以上
  2. 75 gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)で2時間値200 mg/dl以上
  3. 随時血糖値(食事をしていても構わない) 200 mg/dl以上
  4. HbA1c(過去1-2か月の血糖値の平均をあらわす)6.5 %以上
  • 1~3のいずれかと、4が確認されたとき
  • 1~3のいずれかと、「のどの渇き、水をよく飲む、尿がよくでる、体重減少」などの糖尿病の典型的な症状が出たとき
  • 1~3のいずれかと、「糖尿病による眼(網膜)の合併症」があるとき
  • 1~4のいずれかに、別々の日に行った検査で両日ともにあてはまるとき

2型糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法です。しかし、これで改善が不十分な場合は薬物療法が行われます。薬物療法には経口薬療法と注射薬療法があります。

2型糖尿病の予防は日常的に運動をすることや食物を過剰摂取しないことなどが大切になってきます。

糖尿病であることを気付かずに放置していると、高い血糖が全身の血管に徐々にダメージを与え、結果として脳梗塞心筋梗塞など様々な病気の危険性を高めることにつながります。

最近は健診の普及によって、症状が出ていないような早期の段階で気づき、受診する方も多いようです。また糖尿病では「遺産効果」と言って、症状が出ていない段階でも、なるべく早く治療を開始することで、より合併症を予防できるという研究結果がでています。

予防のためにも、早期に治療を開始するためにも、健康診断や定期健診をしっかりと受診することが大切です。

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