インタビュー

発達障害への精神科治療――カウンセリングと薬物療法

発達障害への精神科治療――カウンセリングと薬物療法
本田 秀夫 先生

信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授

本田 秀夫 先生

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この記事の最終更新は2015年07月08日です。

発達障害は、人口の10%の方が当てはまるともいわれるものです。しかし、社会生活に悪影響がない限り、特に治療をする必要はありません。ただし、日常生活に深刻な影響がある場合には治療が必要です。そのとき一部では薬物療法を含めた精神科治療をすることもあります。発達障害のオピニオンリーダーでありこの分野の臨床経験において世界的なトップクラスにおられる、信州大学診療教授の本田秀夫先生にお話をお聞きしました。

発達障害の治療においては、心理療法や認知行動療法、カウンセリングを用いていくこともあります。「誰かに相談したい」「何とか今の自分の状況を変えていきたい」という意欲がある人にとっては、カウンセリングが有効です。

しかし、カウンセリングが有効ではないこともあります。何より難しいのは、「病院に来るからには相談しに来る人ばかり」というわけではないからです。つまり、「病院には来ているけれども、周りに無理に連れてこられているなどして、本当はあまり相談する気がない」という方もいるということです。こうした場合には、いきなりカウンセリングを始めてもあまり効果はありません。

自閉症スペクトラム(広汎性発達障害)に対する薬物療法はまだ存在しません。我が国では未認可ですが、 自閉症スペクトラムの方たちの一部にみられる易興奮性(すぐに興奮したり、カッとなってしまう)の改善を目的として、海外ではごく少量からリスペリドンやアリピプラゾールなどの非定型抗精神病薬が用いられることもあります。

ADHD(注意欠如・多動性障害)ではメチルフェニデートやアトモキセチンなどのADHD治療薬が用いられます。

発達障害の方には、併存障害としてさまざまな精神障害(うつ病適応障害パーソナリティ障害など)を引き起こしてしまうことがあります。このようなときには、それぞれの症状に応じた薬物療法を行っていきます。背景に発達障害がある場合の精神障害は少量でも効果があることが多くなります。また、普通の用量では副作用(眠気・ふらつきなど)が出現してしまうことも多くあります。

これらの理由から、発達障害の併存障害としての精神障害に対しては、少量から薬物療法を開始します。

自閉症スペクトラム

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