![大動脈弁狭窄症に対するTAVIとは? その概要と特徴](http://carbon-assets.medicalnote.jp/uploads/content/cover/10/10284/s397x212_52dd5b31-b769-4ca5-b724-983d28057217.png)
大動脈弁狭窄症とは、心臓にある大動脈弁の開きが悪くなることで、心臓から全身へ血液が流れにくくなる病気です。日本では65歳以上の2~3%が罹患しているとされ、65~100万人の潜在患者がいると推定されています。大動脈弁狭窄症は比較的身近な病気ですが、重度になると一般的に予後不良となり、突然死に至ることもある危険な病気でもあります。本記事では、大動脈弁狭窄症の病態と原因について解説します。
心臓は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれていて、血液は全身(大静脈)→右心房→右心室→肺→左心房→左心室→全身(大動脈)というルートで循環しています。弁は各部屋の区切りに計4つ存在し、血液が逆流しないよう、血液が流れるときに開いて流れ終わると閉まるようになっています。
大動脈弁は左心室の出口にある弁で、3枚の薄い膜(弁尖)によって構成され、この3枚の弁尖が開閉して血液が逆流しないよう機能していますが、何らかの理由で弁の開きが悪くなることがあります。これが大動脈弁狭窄症です。
大動脈弁の開きが悪くなると血液が通過する面積も狭くなるため、全身に流れる血液量が減少します。また、狭くなった大動脈弁の部分で抵抗が起こるため左心室に圧負荷がかかり、左心室が分厚くなっていき、全身に血液を送り出す心臓のポンプ機能が弱まっていきます。このような結果として、胸の圧迫感や痛み、失神、心不全症状(体動時の息切れ、疲労感、両足のむくみ)など、さまざまな症状が現れるようになるのです。
大動脈弁の開きが悪くなるのは弁が硬くなるためですが、その主な原因には、加齢、先天性二尖弁、リウマチ熱の後遺症があります。
動脈の血管が硬くなる動脈硬化と同じように大動脈弁が硬くなり、弁尖同士がくっついてしまうことで狭窄が起こります。これは長年使われ続けたことによる弁の自然老化と考えられていますが、高血圧や高コレステロール血症などの生活習慣病が関与しているのではないかともいわれています。この加齢性大動脈弁狭窄症は、近年高齢化に伴い増加傾向にあります。
大動脈弁を構成する弁尖は本来3枚ありますが、生まれつき2枚しかない人もいます。これを先天性二尖弁といい、およそ100人に1~2人が二尖弁だとされています。弁尖が2枚しかないと弁により大きな負担がかかるため、正常な弁よりも硬化や変性が起こりやすくなるといわれています。
先天性二尖弁は年齢が若いうちから狭窄が進行するとされ、若い人の中ではもっとも多い原因です。先天性二尖弁による大動脈弁狭窄症は、新生児や乳児に発症することもあります。
リウマチ熱とは溶連菌の感染後に発症する合併症の1つで、子どもに多く見られる病気です。子どものときにかかったリウマチ熱が原因で弁の変性が少しずつ進行していき、感染から何十年も経ってから狭窄が起こるようになります。かつてはリウマチ熱による大動脈弁狭窄症は多かったのですが、現在は抗生物質の普及によってリウマチ熱自体が減ったことで、リウマチ熱性大動脈弁狭窄症も少なくなっています。
このように大動脈弁狭窄症はさまざまな原因によって起こりますが、原因にかかわらず、狭窄は徐々に進行していきます。初期には無症状のこともめずらしくなく、体動時の胸の痛みや息切れ、失神、全身のむくみなどの症状が現れるようになると一般的に予後は悪いといわれています。また、かなり進行しても症状が出ないこともあります。
大動脈弁狭窄症は高齢者に多い病気です。特に気になる症状がなく元気な場合でも、定期的に健康診断や人間ドックを受けるようにしましょう。
川崎幸病院 副院長 川崎心臓病センター長 心臓外科主任部長
川崎幸病院 副院長 川崎心臓病センター長 心臓外科主任部長
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構 心臓血管外科専門医・心臓血管外科専門医修練指導者日本胸部外科学会 指導医日本外科学会 会員日本循環器学会 会員
1984年、愛媛大学医学部卒業。新東京病院心臓外科部長、榊原記念病院心臓血管外科部長を勤めた後、2019年川崎幸病院 副院長、心臓病センター長兼心臓外科部長に就任した。現在、帝京大、慶應大、東京医科歯科大、慈恵医大、大阪大、国際医療福祉大、各医学部の教授職も兼任、後進の指導にも力を注いでいる。“心臓血管外科医として、できる限り多くの患者さんの命を救いたい”という思いで研鑽に励み、日々患者さんの診療に尽力している。
高梨 秀一郎 先生の所属医療機関
周辺で大動脈弁狭窄症の実績がある医師
国立国際医療研究センター 心臓血管外科 元科長・非常勤、北里大学医学部 診療准教授
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科
東京都新宿区戸山1丁目21-1
都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分
東京都健康長寿医療センター 循環器内科 副院長
内科、血液内科、膠原病・リウマチ科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、整形・脊椎外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科
東京都板橋区栄町35-2
東武東上線「大山」南口および北口 徒歩4分
東京都健康長寿医療センター センター長
内科、血液内科、膠原病・リウマチ科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、整形・脊椎外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科
東京都板橋区栄町35-2
東武東上線「大山」南口および北口 徒歩4分
順天堂大学 心臓血管外科 主任教授、虎の門病院 循環器センター外科 特任部長
内科、血液内科、リウマチ膠原病科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、歯科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科
東京都港区虎ノ門2丁目2-2
東京メトロ銀座線「虎ノ門」出口3 徒歩5分、東京メトロ日比谷線「霞ケ関」丸ノ内線、千代田線も利用可 徒歩8分
慶應義塾大学医学部循環器内科 特任准教授/心臓カテーテル室主任
内科、血液内科、リウマチ・膠原病内科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産科、婦人科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、放射線診断科、放射線治療科、精神神経科、総合診療科、病理診断科
東京都新宿区信濃町35
JR中央・総武線「信濃町」 徒歩1分、都営大江戸線「国立競技場」A1出口 徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目」1番出口 徒歩15分、東京メトロ銀座線「青山一丁目」0番出口 徒歩15分
関連の医療相談が4件あります
TAVIについて情報をください
父が心不全を起こし、詳しい検査の結果で大動脈弁狭窄症と診断されました。現在72歳です。骨折で手術を受けたことはありますが、ほかに大きな病気もしたこともありません。医師からは弁の置換術を勧められました。開胸での手術になるそうです。 調べたところTAVIというのがあると知りました。この手術の方が父の体に負担が少ないのではないかと思っています。 千葉県内で出来る病院を教えてください。あと、開胸手術との差とかメリットやデメリットについても教えてください。
先天性弁膜症の大動脈狭窄症症候群大動脈弁不全閉鎖症
3年前から心電図にQT延長雑音エコー心電図脈が飛びました。胸部のレントゲンでは以上なしでした。この場合手術薬とかなるでしょうか?毎年引っ掛かかってて参ってます。血液検査は異常なしです。どうしてなんでしょうか?教えて頂けますか?動機息切れ胸がチクチク痛む。めまいもします。
繰り返す胸の違和感と不整脈
二年前に脈が飛ぶ感じと、胸の違和感が原因で病院を受診して、冠攣縮性狭心症の疑いがあると診断されました。その後三ヶ月おきくらいに、胸の息苦しさと脈が飛ぶ症状が一ヶ月から二ヶ月ほど続くサイクルを繰り返しています。 不整脈と胸の違和感以外は食欲もあり、よく眠ることも出来ますし、しびれ等はありません。毎日のウォーキングも続けています。 三ヶ月おきに繰り返す今の状況は、異常でしょうか?今の状況から命にかかわる状態になることはありますか?
心臓弁取り替え手術をしないといけないのか?
急いで手術をしないといつ死ぬかわからないので、早くと結論を急がれている。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「大動脈弁狭窄症」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。