インタビュー

子宮筋腫とは・多発性子宮筋腫とは? 子宮に良性腫瘍が発生する疾患

子宮筋腫とは・多発性子宮筋腫とは? 子宮に良性腫瘍が発生する疾患
渡邊 良嗣 先生

福岡山王病院 産婦人科部長

渡邊 良嗣 先生

この記事の最終更新は2016年03月27日です。

子宮筋腫は30代以上の女性の2~3割にみられる病気で、子宮の中に複数個の筋腫ができることも少なくありません。筋腫は良性の婦人科疾患ですが、これから子どもを持ちたいという若い女性にとっては深刻な問題となってしまいます。福岡山王病院 産婦人科部長の渡邊良嗣先生に、子宮筋腫と多発性子宮筋腫についてお話を伺いました。

子宮が大きくなる病気には、子宮の中にコブができる子宮筋腫と、子宮の壁が厚くなっていく子宮腺筋症(せんきんしょう)のふたつがあります。どちらも子宮の肥大とともに、過多月経月経痛などの症状が現れますが、子宮筋腫によるものが大部分です。

子宮筋腫は子宮の中に発生する良性の腫瘍で、できる場所によって「漿膜下筋腫」「筋層内筋腫」「粘膜下筋腫」の3つのタイプに分けられます。筋腫ができた場所、大きさによって症状の強弱があります。

子宮筋腫の三つのタイプ
 

子宮筋腫は、月経がある間は増大していきます。大きいものになると、ひとつの筋腫が直径10cm以上になることもあります。また、ひとつの子宮の中に複数個の筋腫ができることもあり、漿膜下筋腫や粘膜下筋腫など異なるタイプの筋腫が重複してできていることも少なくありません。子宮の中に複数個の筋腫ができるものを多発性子宮筋腫(たはつせいしきゅうきんしゅ)といい、多い場合は30~40個以上になることもあります。

そもそも筋腫は非常によくある病気で、30代~40代の女性であれば10人に3人程度は大なり小なりの筋腫を持っています。筋腫が大きくなったり、複数個できたりして子宮が増大してくると、月経量が多くなったり、子宮の前方にある膀胱が圧迫されて頻尿になったり(逆に尿が出にくくなったり)、腰痛が起こったりして、日常生活に支障がでてきます。 

しかし、筋腫があるからといって必ず治療が必要というわけではありません。治療が検討されるのは、筋腫によって起こる症状で困っている場合になります。その中でも多くみられるのが、月経時の経血量が増える月経過多です。なかなか妊娠しない、お腹が肥大してくるため美容的な観点から見かけが悪いということも治療を考える要因になりえます。あくまでも患者さん本人の主観的な部分が大きく、困っているが我慢するということであれば治療を行う必要はありません。

筋腫は閉経を迎えると多少小さくはなりますが、子宮が元の大きさに戻るわけではありません。大きな子宮をお腹にかかえていると、40~50代のまだ体力がある年代では特に問題は起きないとしても、60~70代になってくると、お腹の痛みや頻尿といった症状が強く現れる場合も出てきます。そのようなことを考えると、やはりある程度の大きさになれば治療を行ったほうがよいのではないかと考えます。

筋腫の手術治療として、筋腫のみを摘出して子宮を温存する筋腫核出術と、筋腫と一緒に子宮も摘出する子宮全摘術があります。ふたつの手術方法には長所と弱点があり、それぞれの状況に応じて使い分ける必要があります。

近年の傾向である晩婚化や晩産化を背景にして、複数個の筋腫があっても子宮全摘出ではなく子宮温存を希望される女性も増えてきています。福岡山王病院には、他の施設で「筋腫核出は難しく、子宮全摘しかできません」といわれた女性が、「何とか子宮を残したい」と希望して受診されることも少なくありません。福岡山王病院では、若い女性に限らず、例えば40歳を過ぎていても子宮を残したいという希望があれば、子宮を温存する治療を行っています。

筋腫が複数個あったり巨大化していたりすると、子宮温存術である筋腫核出術を行うときに、子宮全摘術と比べて出血などのリスクが高くなるため、高度な技術が必要となります。福岡山王病院では手術時の出血リスクに備えて、術前に患者さん自身の血液を保存する自己血保存も導入しています。

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