「続発性骨粗しょう症」という言葉をご存知でしょうか。広く一般に認識されている骨粗しょう症は「原発性骨粗しょう症」と呼ばれるもので、遺伝的な素因に加齢や生活習慣が加わった複合的な原因によって起こります。一方、これらの要因以外に特定の原因があるものを「続発性骨粗しょう症」といいます。原発性骨粗しょう症と続発性骨粗しょう症、それぞれの特徴について、山王メディカルセンター・女性医療センター長の太田博明先生にお話をうかがいました。
原発性骨粗しょう症とは、原因となる明らかな疾患などがなく、主にエストロゲン欠乏や加齢によって引き起こされるもので、骨粗しょう症全体の約90%を占めています。発症に関係する主な要因は以下の通りです。
女性ホルモン(エストロゲン)は、骨の代謝に大きな関わりを持っています。閉経や加齢、病気などによってエストロゲンの分泌が低下すると、骨の形成が吸収に追いつかなくなり、骨量が減ってしまいます。また、活性型ビタミンDや副甲状腺ホルモンなども骨の代謝に重要な役割を果たしています。
女性では閉経後に年々骨粗しょう症が増加します。これは先に述べたように、閉経後には女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下に加えて、加齢によるビタミンDや副甲状腺ホルモンの働きの変化によるためですが、男性でも性ホルモンの変化や栄養バランスの偏り、運動不足などによりビタミンDや副甲状腺ホルモンの働きの変化が加齢とともに進むため、年齢が高くなるほど骨粗しょう症が増えると考えられます。
無理なダイエットや偏食によってカルシウム・タンパク質・ビタミンD・ビタミンKなどの栄養素が不足したり、加齢や病気などのために腸から栄養を吸収する力が落ちると、骨量が減りやすくなります。また、やせ過ぎも栄養不足のため骨量低下の大きなリスク要因のひとつです。
骨粗しょう症の発症には遺伝的な要因が関わっていることが分かっています。血縁者に太もものつけ根(大腿骨近位部)を骨折したことがある方や骨粗しょう症の方がいると、骨粗しょう症になり、やがては骨折する危険性が高いと考えられます。
続発性骨粗しょう症は、原因となる特定の病気や薬の影響によって二次的に起こるものをいいます。その原因には以下のようなものがあります。
前の記事「骨粗しょう症の原因。骨密度の低下には複数の理由がある」でお示ししたように、骨の強度は骨密度と骨質の2つの要因から成り立っています。なぜ骨質という要因の存在が分かったかというと、糖尿病の人は骨密度が低下しなくても骨が折れるということがあったからです。それ以前にも、たとえば50歳代と80歳代では同じ骨密度でも骨折リスクが5倍にもなることから、何か骨密度以外の素因が関わっているのではないかと考えられていました。このようなことがいわば「状況証拠」として、骨質の存在を物語っていたのです。
同じ骨密度でも糖尿病の人は骨折リスクが高いということから始まり、上記のように多くの生活習慣病が続発性骨粗しょう症の原因となることが明らかになっています。骨粗しょう症では男性の患者さんは割合として少ないですが、男性で骨粗しょう症を発症した人は生活習慣病が要因となっていることが多く、症状が重篤で余命も短いとされています。
続発性骨粗しょう症には、他の病気の治療に使われる薬が原因となっているものがあります。中でも注目されているのはステロイド性骨粗しょう症(glucocorticoid-induced osteoporosis: GIO)です。長期間ステロイド薬を服用している人の30〜50%に骨折がみられるという報告もあります。ステロイド性骨粗しょう症は子どもからお年寄りまで、閉経前の女性や男性にも幅広く起こるため注意が必要です。
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