インタビュー

鍵穴手術についての質問

鍵穴手術についての質問
森 健太郎 先生

総合東京病院 脳神経外科 脳卒中センター長

森 健太郎 先生

この記事の最終更新は2016年01月26日です。

ここまでは総合東京病院 脳神経外科 脳卒中センター長の森 健太郎先生に、「鍵穴手術」の詳しい治療方法と手術に対する信念をお聞きしました。この記事では、患者さんが手術に際し不安に思われる点について先生にお伺いします。

A:術前に必要な薬はありませんし、術後も抗てんかん剤の内服の必要はありません。

A:現在までの268例中、再手術(クリッピング術)を必要としたのは1例のみです。

A:「ベックうつ病調査テスト」と「ハミルトンうつ病評価尺度」でうつ病のチェックをしています。特に高齢者の方の場合、うつ状態が有意(偶然ではない)に改善しました。「いつ破裂するかわからない」といった漠然とした不安から解消され、ご飯がおいしく食べられる、旅行にも行きたくなった、という方も多いです。

A:麻酔などの影響で吐き気を来すことはあります。しかし創部が小さいので、通常開頭より痛みや障害は少ないです。

A:今までに鍵穴手術を受けた患者さんの92%の方が術後3日以内に退院していますので、回復は早いといえます。

私の鍵穴手術に対するポリシーは「鍵穴手術の方法」内の「鍵穴手術の重要なポイント」で述べたとおりです。特に、術前に3D-CTとCGを用いて徹底的にシミュレーションすること、術中によけいな出血させないことには心血を注いでいます。

客観的な長期の治療成績を提示することで、「鍵穴手術」が未破裂脳動脈瘤(比較的小さく単純で前方循環にある脳動脈瘤)に対しては治療成績がよく、永続性が高いことを今後も発表していきたいと思っています。日本ではなかなか受け入れ難い「鍵穴手術」をさらに広めていきたいと考えています。

「鍵穴手術」は体への影響も少なく、かつクリッピング術の長所も十分に生かしうる治療法です。将来、日本でも「鍵穴出術」の執刀を行う脳外科医が増えることを期待しています。

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