インタビュー

脳動脈瘤クリッピング術―症例パターン2 部分血栓化動脈瘤

脳動脈瘤クリッピング術―症例パターン2 部分血栓化動脈瘤
水谷 徹 先生

昭和大学 医学部脳神経外科学講座 教授

水谷 徹 先生

この記事の最終更新は2016年08月15日です。

部分血栓化動脈瘤は、瘤の内部に血栓が形成されて硬くなっているためクリップで挟むのが難しい動脈瘤です。また血管内治療でも血栓以外のところにしかコイルが入らず、このようなコイルの方法では多くの場合に再発するため、開頭術が選択されることが多い動脈瘤です。ただ、単純な開頭クリッピング術が可能かどうかは、内部の血栓の状態や分布次第であり、動脈瘤部分の母動脈を閉塞させて、バイパス術を行う場合も多い動脈瘤です。開頭術が選択される場合、どのようにして治療を行うのでしょうか。実際の症例をもとに昭和大学脳神経外科学教授水谷徹先生に解説していただきます。

 

<部分血栓化巨大動脈瘤の症例130代女性 右前大脳動脈部分血栓化巨大動脈瘤 25mm

部分血栓化巨大動脈瘤の症例1:30代女性 右前大脳動脈部分血栓化巨大動脈瘤 25mm

 

部分血栓化巨大動脈瘤の症例1:30代女性 右前大脳動脈部分血栓化巨大動脈瘤 25mm 術後

 

●動脈瘤の特徴と血管内ではなく開頭手術が適応となった理由

もともと頭痛もちで近医にてCTを施行し前頭葉に腫瘤を指摘された患者さんです。頭痛も強くなり2か月で2倍に増大したため他施設脳神経外科にて精査し、血管内治療も開頭手術も困難ということで紹介いただきました。血管内治療はできないと判断し、開頭手術なら直達クリップはできないものの動脈瘤の両端(母動脈)をクリップし、バイパスを置くことで治療が可能と判断しました。

●手術時間や実際にクリップした方法(本数や挟んだ場所、時間など含む)

大脳半球間裂アプローチで、動脈瘤の近位、遠位の前大脳動脈を確保し、トラッピング+バイパス術を施行しました(※術後のイラストを参照)。また動脈瘤トラップ後に、動脈瘤を切開し血栓を取り除き、前頭葉への圧迫を解除しました。

●開頭手術の術後など(腫れ、痛み、予後、術後合併症など含む)

頭痛も消失し特に合併症や症状もなく、術後経過良好で自宅に退院されました。

 

<血栓化動脈瘤の症例260代男性 左内頚動脈部分血栓化巨大動脈 26.5mm

血栓化動脈瘤の症例2:60代男性左内頚動脈部分血栓化巨大動脈 26.5mm

 

 

血栓化動脈瘤の症例2:60代男性 左内頚動脈部分血栓化巨大動脈 26.5mm  術後

●動脈瘤の特徴と血管内ではなく開頭手術が適応となった理由

進行性に増大する巨大動脈瘤で、治療困難例として他施設脳神経外科から紹介されました。

●手術時間や実際にクリップした方法(本数や挟んだ場所、時間など含む)

母動脈閉塞に備えて頚動脈バルーン閉塞テストを施行しましたが非耐性であることがわかりました。また、血栓部分も含めてフュージョン画像を作成してシミュレーションを行った結果、ネッククリッピングができる可能性が高かったのですが、バイパスを準備した手術となりました。手術では動脈瘤の状態をよく観察した結果、ネッククリッピングすることができました。

●開頭手術の術後など(腫れ、痛み、予後、術後合併症など含む)

特に合併症や症状もなく術後経過良好で、術後10日に自宅に退院されました。

 
 
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