小さな動脈瘤の破裂リスクは、私たちが考えるよりもずっと小さいことがわかりました。しかし、形や動脈瘤のできた場所によって、治療をしたほうがよいケースもあります。破裂のリスク、拡大のリスク、治療のリスクを知ったうえで、ドクターとどんなことを相談すればいいのか、日本医科大学脳神経外科 大学院教授 森田明夫先生にお話をうかがいます。
動脈瘤の治療をするかしないかは、7㎜というサイズを基準に考えます。通常、脳の血管は4㎜以下です。動脈瘤が7㎜以上ある場合、血管のおよそ2倍程度またはそれ以上の大きさがあるということになります。脳のどこの血管のサイズと比較しても、血管の2倍あるということは相当大きい動脈瘤だと考えたほうがよいでしょう。ですから、7㎜以上の動脈瘤については、健康な患者さんであれば、治療することを前提に考えていきます。
しかし、7㎜以下だったからといって治療が必要ないわけではありません。たとえば6㎜だった場合でも、ある一定の確率で拡大する可能性がありますから、7㎜以下でも治療したほうがよいケースもあります。また、3㎜~4㎜の小さい動脈瘤でも、破れやすい場所にできた場合は治療したほうがよいケースもあります。7㎜という「目安」はあるにしても、治療に踏み切るかどうかの診断は非常に難しく、注意が必要です。
ただし、7㎜以下の動脈瘤の破裂率はぐんと低くなりますから、その点を踏まえて主治医とよく相談し、慎重にお考えいただきたいです。
反対に、10㎜以上という明らかに7㎜を超える動脈瘤が見つかった場合でも、ただちに手術をすると判断できるわけではありません。動脈瘤が10㎜以上になると、治療の際にまわりの血管も巻き込んでしまうリスクも考慮する必要があります。手術などでほかの血管に脳梗塞を起こしやすくしてしまうケースもあり、合併症率が高くなってしまうのです。
大きな動脈瘤の場合、治療のリスクは高いのですが、破裂率ももちろん高いため、多くは治療が検討されます。ですから現在は、合併症を可能な限り減らせるように、手術中の異変をすぐに検知できるようモニタリングも発展していますし、血管内治療やその器具などもずいぶん発展しています。破裂リスクの高い大きな動脈瘤に対して安全に治療が行えるよう、治療リスクを減らすような治療法の研究が日々行われています。
もし脳動脈瘤が見つかった場合、選択肢は3つです。1つめの選択肢は慎重な経過観察、2つめの選択肢はクリッピング手術(開頭して行う外科手術)、3つめの選択肢は血管内治療(血管内にカテーテルを通して行う手術)です。欧米では、治療を行う場合は血管内治療のほうがはるかに治療成績がよいという評価がなされていますが、日本ではそれほど差はありません。ですから、「治療をする」と決まった場合、外科手術と血管内治療のどちらを選択するかは非常に難しい問題です。また、どちらの選択肢も選べる場合、医師はさらに難しい選択を迫られることになります。
治療の選択が難しい疾患について、治療選択の補助になるように、RCT(ランダム化比較試験)という研究手法があります。RCTとは、ある一定量の同じ症例を同じ条件で比較し、安全性や治療予後などを比較する研究です。しかし、未破裂動脈瘤においてはまだRCT研究の結果が存在しません。
ですから、できる限り早い段階でRCTが実施されることが望ましいのですが、日本の場合、外科手術、血管内治療とエキスパートが別々の施設で治療にあたっていることが多い傾向にあります。そのため、両方のデータを一ヶ所に集めて検証することが難しいという問題を抱えています。ですから今後は、大きい病院に限らず、地域の連携や病院間の協力などでデータ共有を果たし、「未破裂動脈瘤」のRCTを確立していくことが求められるかもしれません。
東京労災病院 院長
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めまいで受診したところ脳動脈瘤が見つかり、経過観察と言われた
半年ぐらい前からめまいがひどく、横から殴られたようにぐらついたり、視界が揺れたりしていたため、 耳鼻咽喉科を受診したところ、異常なしと診断を受けたが、脳神経外科の受診を勧められた。 その後、脳神経外科を受診したところ、脳動脈瘤という診断を受けたが、めまいの直接的な原因ではないと言われた。 脳動脈瘤の方はまだ大きくはないので経過観察だが、若いので念のため半年おきにMRIを撮るという流れになった。 この場合、めまいに対しては何科を受診したらよいのか。 また、脳動脈瘤に関しては引き続き同じ脳神経外科でMRIを撮りに行った方が良いのか。それとも一度別の病院にかかった方が良いのか。
未破裂脳動脈瘤の治療に関して
10年ほど前に脳底動脈に脳動脈瘤を指摘され、高血圧、高脂血症の薬を内服中でございます。頸部の動脈狭窄もあるため、抗凝固剤も内服しております。 ここ数年で動脈瘤の大きさが2倍くらいになり、現在の大きさは5~6mmです。大きさはさほど問題は無いようなのですが、瘤の形が突き出ている角?のようなものが数カ所あり、それも大きくなっているとのことで、何らかの治療を勧められました。 しかし、動脈瘤の位置が開頭では確認しにくい位置にある為クリッピングは難しく、コイリングが最も良いだろうと言われました。コイリングに関しても、これ以上ネックが大きくなったら難しくなるとのことです。 一番問題なのが、ヨード過敏症があると言うことです。 40年以上前の腎結石の際の造影で、全身に湿疹が出来、ヨード過敏を指摘されました。そのため、どこの病院に行っても治療は出来ないと言われてしまいます。 何か良い方法はないものかと悩んでおります。 私の叔母が40歳代でくも膜下出血で、母が脳出血で亡くなっていること、高血圧の持病もあり、時々血圧が220以上まで跳ね上がる事もあるため、何とか治療できたらと願っております。 何か良い方法があればご教授頂きたく、ご相談させて頂きました。 よろしくお願いいたします。
クモ膜下出血はどのような人がなるのでしょうか?
先日、友人のお母さんがクモ膜下出血で亡くなったという話を聞きました。発見が遅く、発見されたときにはすでに亡くなっていたそうです。私には一人暮らしの母が地元にいるのですが、この話を聞いてから母が突然、倒れるのではないかと心配になることがあります。クモ膜下出血って、そもそもどのような人がなるのでしょうか?ならないように気を付けることができるのでしょうか?
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