人間ドックや医療機関の検査などで「動脈瘤がある」と言われ不安になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。動脈瘤とは、動脈壁の弱くなっている部分に発生する「こぶ」のことをいい、脳・心臓・大動脈などの部位に発生します。今回取り上げるのは「脳動脈瘤」。これが破裂してしまうと「くも膜下出血」を引き起こします。一方破裂しない「未破裂脳動脈瘤」もあり、MRIなどの診断技術の進歩・普及に伴い、近年発見される方が増加しています。この「未破裂脳動脈瘤」を手術で治療するべきか、経過観察するべきか。総合東京病院 脳神経外科 脳卒中センター長の森 健太郎先生にお伺いしました。
そもそも「未破裂脳動脈瘤」には自覚症状がありません。ですから手術をしてもさらに自覚する症状として(実感できることとして)何かかがよくなるわけではありません。現状維持です。患者さんの中には「見つかってしまい困った」とおっしゃる方もいます。他の症状で診察を受けて偶然見つかる場合もあるのです。
私は「未破裂脳動脈瘤」があると指摘されても慌てることはないとお伝えしています。脳動脈瘤の中には、破裂しやすいもの・破裂しにくいものがあります。手術のリスク・効果・合併症そして破裂のリスクと比較して、治療するかどうか、またどのような治療を受けるかを、専門医の説明を参考にして、ご家族とじっくりと決めてください。
また「未破裂脳動脈瘤」が破裂して「くも膜下出血」にならないよう、予防のためにも高血圧の治療と禁煙、飲酒制限は行っていただいています。
治療法の選択肢には ①経過観察 ②開頭術(脳動脈瘤クリッピング術)③血管内手術(脳動脈瘤コイル塞栓術)の3つがあります。
動脈瘤の形態や大きさの変化を一定期間ごとに外来で診察します。
長い歴史がある治療法で、コイル塞栓術が発達した現在でも、最も確実な脳動脈瘤の出血予防方法です。全身麻酔で頭の骨を開けて脳動脈瘤の根元にクリップをかけ、脳動脈瘤への血流を遮断します。クリッピングをすることで動脈瘤は完全に閉塞され、基本的には半永久的に安心です。ただし脳を触るのでリスクがあります。傷の痛みもありますし、治療に要する入院期間も長くなります。
脳血管撮影装置の進歩に伴い、近年急速に発達してきた治療法です。大腿から挿入したカテーテルを脳動脈瘤内に誘導して、脳動脈瘤の内部にカテーテルからプラチナ製のコイルを送り込むことで、脳動脈瘤内の血流を遮断します。開頭しないので入院期間は短く、体への負担も小さくてすみますが、手術後は抗血栓剤の内服が必要になります。
治療のリスクは開頭手術と比較して低いとはいえず、長期の成績がわかっていないことも含め、出血予防効果は開頭クリッピングよりも低い状況です。また再発する可能性があるので検査を定期的に行い、経過を見る必要があります。
部位や形状によっては開頭手術より治療の安全性が落ちることもありますが、開頭手術では困難な場所の動脈瘤でも処置が可能な手術です。
総合東京病院 脳神経外科 脳卒中センター長
関連の医療相談が13件あります
未破壊脳動脈瘤の予防処置について
開頭クリッピング術とカテーテルによるコイル術の違いを教えてください
めまいで受診したところ脳動脈瘤が見つかり、経過観察と言われた
半年ぐらい前からめまいがひどく、横から殴られたようにぐらついたり、視界が揺れたりしていたため、 耳鼻咽喉科を受診したところ、異常なしと診断を受けたが、脳神経外科の受診を勧められた。 その後、脳神経外科を受診したところ、脳動脈瘤という診断を受けたが、めまいの直接的な原因ではないと言われた。 脳動脈瘤の方はまだ大きくはないので経過観察だが、若いので念のため半年おきにMRIを撮るという流れになった。 この場合、めまいに対しては何科を受診したらよいのか。 また、脳動脈瘤に関しては引き続き同じ脳神経外科でMRIを撮りに行った方が良いのか。それとも一度別の病院にかかった方が良いのか。
未破裂脳動脈瘤の治療に関して
10年ほど前に脳底動脈に脳動脈瘤を指摘され、高血圧、高脂血症の薬を内服中でございます。頸部の動脈狭窄もあるため、抗凝固剤も内服しております。 ここ数年で動脈瘤の大きさが2倍くらいになり、現在の大きさは5~6mmです。大きさはさほど問題は無いようなのですが、瘤の形が突き出ている角?のようなものが数カ所あり、それも大きくなっているとのことで、何らかの治療を勧められました。 しかし、動脈瘤の位置が開頭では確認しにくい位置にある為クリッピングは難しく、コイリングが最も良いだろうと言われました。コイリングに関しても、これ以上ネックが大きくなったら難しくなるとのことです。 一番問題なのが、ヨード過敏症があると言うことです。 40年以上前の腎結石の際の造影で、全身に湿疹が出来、ヨード過敏を指摘されました。そのため、どこの病院に行っても治療は出来ないと言われてしまいます。 何か良い方法はないものかと悩んでおります。 私の叔母が40歳代でくも膜下出血で、母が脳出血で亡くなっていること、高血圧の持病もあり、時々血圧が220以上まで跳ね上がる事もあるため、何とか治療できたらと願っております。 何か良い方法があればご教授頂きたく、ご相談させて頂きました。 よろしくお願いいたします。
クモ膜下出血はどのような人がなるのでしょうか?
先日、友人のお母さんがクモ膜下出血で亡くなったという話を聞きました。発見が遅く、発見されたときにはすでに亡くなっていたそうです。私には一人暮らしの母が地元にいるのですが、この話を聞いてから母が突然、倒れるのではないかと心配になることがあります。クモ膜下出血って、そもそもどのような人がなるのでしょうか?ならないように気を付けることができるのでしょうか?
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