
重度の変形性膝関節症に対しては、人工膝関節置換術が適応となることがあります。近年は、MIS(Minimum Invasive Surgery:最小侵襲手術)人工膝関節置換術という新しい術式が登場し、より患者さんに負担の少ない治療を目指せるようになってきました。
MIS人工膝関節置換術とは、従来の人工膝関節置換術と比較して、どのような点が異なるのでしょうか。本記事ではMIS人工膝関節置換術について解説します。
従来の人工膝関節置換術は、実施する施設や医師により多少異なりますが、手術の際に切開する皮膚の大きさが15〜25cmでした。また、皮膚の切開に加えて、筋肉や腱などの組織も同様に切開する必要がありました。
MIS人工膝関節置換術では、従来の人工膝関節置換術よりも小さい切開での手術が可能です。筋肉や腱などの切開も可能な限りなくす、あるいは小さくすることで、患者さんが感じる痛みや負担が軽減され、術後のリハビリテーションを早く開始することにつながります。
人工膝関節置換術には、膝関節の一部を人工物に置き換える人工膝関節単顆置換術(UKA)と膝関節の全体を置き換える人工膝関節全置換術(TKA)の2つの種類があります。これらはMIS人工膝関節置換術でも対応可能であり、患者さんの病気の進行具合や生活環境によって患者さんに適した術式が選択されます。
人工膝関節単顆置換術は、膝の関節の内側か外側、どちらか1か所を人工膝関節に置き換える手術です。一部のみを人工膝関節に置き換えるため、自らの関節を温存することができるだけでなく、前十字靱帯や後十字靱帯といった膝の靱帯も温存できるため、人工膝関節全置換術に比べて、より自然な動きが可能です。
人工膝関節全置換術は、膝関節全体を人工膝関節に置き換える手術です。膝の関節全体を置き換えるため、痛みや強い変形が改善され、QOLの向上につながります。しかし、動作や姿勢などが制限されることもあるため、日常生活のなかで注意が必要になる場合があります。
人工膝関節置換術の耐用年数は、一般的に10~15年程度であるといわれています。しかし、人工膝関節の部品の改良も進んできていることから、2024年現在では15年以上維持することも期待されています。
人工膝関節置換術は、患者さんの生活環境や動作により人工膝関節の状態が大きく異なるため、より長持ちするように意識して生活することが大切です。たとえば、変形性膝関節症の発症要因になりうる過度な運動や、コンタクトスポーツを控える必要があります。また、体重なども大きく関わるため、患者さんに見合った体重を維持したり、重いものを持ち上げる動作を控えたりすることも、人工膝関節を長持ちさせるポイントになります。
MIS人工膝関節置換術のメリットは、手術に伴い痛みが取れるほか、手術の傷が小さいことや入院期間の短縮、リハビリテーションの早期開始などがあります。従来の人工膝関節置換術よりも早く社会へ復帰することが期待できます。
ただし、MIS人工膝関節置換術には、感染症や深部静脈血栓症*、関節可動域の制限などの合併症を生じてしまう恐れがあるため、徹底した管理の下で手術を行っていくことが大切です。
このように、MIS人工膝関節置換術には様子を見ながら進めていくべきこともありますが、上記のメリットから患者さんの状態やニーズに応じて適応可能かどうか判断されます。しかし、手術後に激しい動きを伴うスポーツへの復帰を望む患者さんへの適応は難しくなります。
*深部静脈血栓症:足や骨盤内などの深部静脈に血栓が生じた状態
人工膝関節置換術における今後の課題は、人工膝関節がどこまで正常な膝関節に近い状態まで性能を上げられるのかという点です。
手術自体は、ある程度患者さんの負担を軽減することができるようになりました。しかし、人工膝関節を入れたことにより、手術後、患者さんが違和感を覚えることがあります。その違和感は、人工膝関節が健康な膝に可能な限り近い動きができるようになることで解消される可能性があると考えられます。
手術後は、膝を動かさないことで筋肉や腱が弱まったり、拘縮*が起こったりする可能性があるため、患者さんの状態に合わせて、手術の翌日から、車いすに乗る訓練、平行棒を使用した起立訓練、歩行器を使った歩行訓練などのリハビリテーションが必要です。人工膝関節置換術の手術後の注意点としては、人工膝関節置換術は耐久性の問題があるため、正座やコンタクトスポーツを避けたりするなど、関節に大きな負担のかかる動作や姿勢を避ける必要があります。また、手術に伴い、血栓症、感染症、長期的には無理な動作による人工膝関節の緩みなどの合併症やリスクは一定の確率で発生するため、納得がいくまで主治医と相談したうえで、日常生活の注意点を考慮しながら継続的なチェックをすることが大切です。
*拘縮:関節周辺の組織が、何らかの原因によって収縮し、第三者や器具などの外力による動きが制限された状態
周辺で変形性膝関節症の実績がある医師
北里整形外科クリニック 院長
生活スタイルや希望を考慮し、痛みに悩む一人ひとりに合わせた治療を提供
北里整形外科クリニック(東京都新宿区水道町4-13 スーパーマルエツ内クリニックモール:東京メトロ有楽町線「江戸川橋」4番出口 徒歩3分)の病院ページ。
リウマチ科、整形外科、リハビリテーション科
東京都新宿区水道町4-13 スーパーマルエツ内クリニックモール
東京メトロ有楽町線「江戸川橋」4番出口 徒歩3分、東京メトロ東西線「神楽坂」1番出口 徒歩8分、「」「石切橋」下車 徒歩1分 「江戸川橋駅」下車 徒歩4分 「文教総合福祉センター」下車 徒歩5分 バス
地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立大塚病院 院長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、神経科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、脳神経内科、老年内科、児童精神科、病理診断科
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学校法人聖路加国際大学 聖路加国際病院 副院長、整形外科部長、スポーツ総合医療センター長、リハビリセンター長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、放射線治療科、病理診断科
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国立国際医療センター 整形外科 診療科長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科
東京都新宿区戸山1丁目21-1
都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分
北里大学北里研究所病院 整形外科 スポーツクリニック 医長
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東京都港区白金5丁目9-1
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病院のリハビリ室に通っています。
そこで理学療法士にストレッチなど指導されています。今まで運動してないせいか筋肉が落ちてきていて膝の骨に負担がかかり痛みが出ているのではないかとの事で太ももの筋肉を鍛えるストレッチなど教わりました。太ももの筋肉の所をマッサージされただけで激痛だったのですが、痛みの少ないかつ筋肉が鍛えられる方法はありますか?太ももの筋肉を鍛える方法をネットで色々調べたのですがキツかったり痛そうだったりで長く続けられそうにありません。もっとゆるく手軽に出来そうなのはないですか?
右膝変形関節症
右膝変形関節症の為全置換術後に右膝の裏からふくらはぎにかけて、突っ張った感じのはりが強く痛みが有ります。 以前左膝変形関節症の為全置換術をしたんですが、その時は今回のような、症状はでてないので、術後の関係ででてるとしたら、どの位で症状が消失するのか心配です
3日位前から強い痛み
3年半前膝の隙間が少し狭いと言う事で変形性膝関節症と診断されました。 膝の注射と、水が溜まる事もあり6回程抜きました。 その後、痛みが少しましになった為1年半程病院には行っておりませんでした。 が、片方の膝にも痛みが出てきたので3ヶ月前、他の整形でレントゲンを撮って頂きましたら、膝関節は問題無くこれが原因で痛みは出ないと言われました。 原因は運動不足と肥満との事です。 ですので湿布だけを貰って帰ってきました。 3日前から膝全体が痛く、動くだけでも痛く歩くのはもっと辛いです。 正座をすると感覚的に、膝の上辺りが引っ張られると言うか突っ張った感じで痛くて出来ません。 全体的に腫れております。 今膝はどういう状況だと考えられますか? 運動不足でこの様な症状になりますか? 肥満もなのですが発症した時から8k程減量はしております。
膝のクリーニング手術かPRP治療かの選択
1か月ほど前に右膝が腫れて曲がらなくなり整形外科を受診しました。レントゲン撮影の結果 変形性膝関節症と診断と膝の水を抜く処置をしていただいたのですが水が溜まっていたのではなく血がシリンジ2本程溜まっていました。 その後MRIの撮影をして膝のクリーニング手術を進められたのですがクリーニング手術をするよりPRP治療をする方良いか迷っております。
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