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がん検診の知識:目的、種類、年齢

がん検診の知識:目的、種類、年齢
小林 正明 先生

新潟県立がんセンター新潟病院 副院長

小林 正明 先生【監修】

目次
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がん検診について、何歳から、どの検査を受ければよいのかという疑問があるかもしれません。この記事では、がん検診の目的や種類、受けるべき年齢、期待できる効果まで解説します。

👉 このパートをまとめると
がん検診は、集団の死亡リスクを下げる目的の“対策型”と、個人が任意で受ける“任意型”に大別されます。全身を調べる健康診断とは目的がやや異なります。

まず検診とは、特定の病気(がんや肝炎ウイルスなど)を発見するために行われる検査や診察を指します。中でもがん検診の目的はがんを早く発見し、治療につなげることで、がんで死亡するリスクを減らすこと(死亡率減少効果)です。

日本のがん検診は、主に対策型検診と任意型検診という2つの種類に分けられます。

対策型検診

市区町村などが主体となり、公的なサービスとして提供される検診です。国が科学的根拠に基づいて、死亡率減少効果があると判断した検査法のみが採用されます。がん検診の推奨開始年齢は、がんの発生率が急激に上昇する年齢(年齢階級別罹患率)に基づいて、がんの種類ごとに個別に設定されています。また、企業によっては福利厚生の一環として、独自にがん検診(職域検診)を行っている場合もあります。

任意型検診

個人が自身の判断で受診する検診で、人間ドックなどが該当します。対策型検診に含まれない検査(PET検査、腫瘍(しゅよう)マーカー検査など)を受けることも可能ですが、それらは現時点でがんを発見するために有効だと判断されていない場合があります。

がん検診は、特定の臓器のがんによる死亡リスクを減らすという目的により実施されていますが、健康診断や人間ドックはそれぞれ異なる目的があります。

  • 健康診断……全身の健康状態を広く浅くチェックすることで、高血圧糖尿病といった生活習慣病などの病気を発見し、早期に治療を開始することが目的
  • 人間ドック……任意型検診の一種であり、希望に応じてさまざまな検査を組み合わせることによって、個人の死亡リスクを減らすことが目的

ご自身の状態や年齢などに応じて、どのような検診を受けたほうがよいかを検討しましょう。

👉 このパートをまとめると
対策型のがん検診は死亡率減少効果というメリットがあります。一方、偽陽性や偽陰性などのデメリットも存在します。

対策型のがん検診で採用される検査は、その有効性が“がんの発見率”ではなく“対象となる集団のがんによる死亡率をどの程度減らせるか”という科学的な指標で評価されています。対策型のがん検診を受けることによる死亡率減少効果が、最大のメリットです。

がん検診では、自覚症状が現れる前の早期のがんを発見しやすいといわれています。早期のがんでは、体への負担が少ない治療が選択肢となる可能性があります。また、子宮頸(しきゅうけい)がん検診や大腸がん検診では、がんになる前に発見して治療を行うことができる場合もあります。

がん検診を受けた結果、“異常なし”と診断された場合は、安心して生活を続けることが可能です。

がん検診にはデメリットとなる側面も存在します。その1つが偽陽性です。これは、がんがないにもかかわらず、検診で“がんの疑いあり(要精密検査)”と判定されることを指します。要精密検査の通知を受け取ってから最終的な診断が確定するまでの期間は、精神的負担となる可能性があります。

治療しなくても生命に影響を及ぼすことのない、進行の遅いがん(おとなしいがん)まで発見することを過剰診断と呼びます。発見されたがんが治療不要かどうかを現時点の技術で正確に見分けることは困難なため、結果的に不要な手術や治療が行われ、身体的・経済的な負担につながる可能性があります。

がん検診で非常に小さながんや見つけにくいがんを見逃すことを偽陰性といいます。しかし、定期的にがん検診を受けることで、がんを発見できる可能性が高くなります。

検診や精密検査中、偶発症が起こる可能性があります。たとえば、胃や大腸の内視鏡検査では、ごくまれに出血や穿孔(せんこう)(消化管などに穴が開くこと)が起こる場合があります。また、X線検査やCT検査では放射線被ばくが伴います。

ただし、これらのデメリットは最小限になるよう取り組まれています。また、対策型のがん検診は、死亡率減少効果というメリットがデメリットを上回るよう、対象年齢や頻度が決められています。

偶発症:検診や精密検査中に生じる合併症。

👉 このパートをまとめると
国が推奨するがん検診は、現在、胃がん大腸がん肺がん乳がん子宮頸がんの5つです。これらの検診では、推奨される検査方法や対象年齢などがそれぞれ異なっています。

50歳以上の方を対象に、2年に1回の問診、胃X線検査(バリウム検査)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれかを受けることが推奨されています。なお2025年時点では、胃X線検査は40歳以上、年1回の実施が可能となっています。

40歳以上の方を対象に、1年に1回の問診、便潜血検査が推奨されています。これは、便に混じった微量の血液を検出する検査です。この検査で「陽性」と判定された場合は、精密検査として大腸内視鏡検査を受ける必要があります。

肺がん検診は、原則として40歳以上の方を対象に、1年に1回の質問(問診)、胸部X線検査および喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)が推奨されています。なお2025年現在、喀痰細胞診の推奨は50歳以上の重喫煙者(喫煙指数600以上)のみとなっています。

重喫煙者(喫煙指数600以上):喫煙指数=1日の喫煙本数×喫煙年数として計算。600以上を重喫煙者、600未満を軽喫煙者と分類。

40歳以上の女性を対象に、2年に1回の質問(問診)、乳房X線検査(マンモグラフィ)が推奨されています。視触診を単独で行う検診は、死亡率減少効果が不明確なため推奨されていません。マンモグラフィは年齢が高くなるにつれ、過剰診断のリスクが上昇するといわれています。

20歳以上の女性を対象とした、2年に1回の問診、視診、細胞診、内診が基本となります。これに加え、30歳以上の女性では、細胞診と内診の代わりにHPV検査の選択も可能です。HPV検査を選択する場合、通常では5年に1回の検査間隔が推奨されています。

HPV検査は、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を直接調べるもので、細胞診よりも感度が高いとされています。一方で、一過性の感染も検出するため偽陽性率が上昇するという側面もあります。

Q.がん検診の費用はどのくらいかかりますか?

A.対策型検診は、お住まいの市区町村によって異なりますが、多くの場合で無料または一部自己負担(数千円程度)で受診可能です。年齢によっては無料クーポンが配布される自治体もあるため、自治体webサイトやお手元に届いた郵送物を確認しましょう。任意型検診(人間ドックなど)は全額自己負担となり、検査項目によって数万円から数十万円かかることもありますが、健康保険組合の補助を受けられる場合があります。

Q.がん検診はどこで受けることができますか?

A.対策型検診は、お住まいの市区町村が指定する医療機関や検診センターで受けることができます。お勤めの職場や、加入する健康保険組合等でも職域検診を実施している場合があります。任意型検診は、人間ドックなどを実施している医療機関で受けることができます。

Q.“要精密検査”と通知が来たら、がんですか?

A.“要精密検査”は、“がんの疑いがある”という意味であり、がんと確定したわけではありません。精密検査の結果によっては、がんと診断されない場合もあります。しかし、精密検査を受けないことによって、がんの診断や治療が遅れる可能性があるため、まずは精密検査を受けましょう。

この記事では、がん検診の目的や種類と、国が推奨する5つのがん検診の具体的な内容について解説しました。がん検診の目的はがんによる死亡率の減少であり、メリットとデメリットの両方を理解することが重要です。また、国が推奨する5つのがん検診には、それぞれ対象年齢や頻度などが定められています。お住まいの市区町村からがん検診の通知が届いている場合は、受診を検討しましょう。

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