インタビュー

一般的な不妊治療とは?−薬物療法、タイミング療法などを解説

一般的な不妊治療とは?−薬物療法、タイミング療法などを解説
河村 和弘 先生

順天堂大学医学部附属順天堂医院 産科・婦人科 教授、ローズレディースクリニック 医師、国際医療...

河村 和弘 先生

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国際医療福祉大学医学部産婦人科 教授を務める河村和弘先生は、早発閉経の患者さんご自身の卵子を使った新しい治療法「卵胞活性化療法」を開発し、2013年に世界で初めて妊娠・分娩に成功しました。薬物療法やタイミング療法など、一般的な不妊治療には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ホルモン剤などにより強い副作用が出た場合のアドバイスなども織り交ぜながら、河村先生にご解説いただきました。

不妊治療における一般的な薬物療法は排卵誘発剤(経口薬)と高プロラクチン血症に対する薬剤となります。ホルモン剤は早発閉経の治療には用いますが、どちらかというと避妊目的や不妊治療ではない月経不順の治療などに使います。薬物療法は人工授精や体外受精と併用することもあります。

一般的な不妊治療は、薬を服用する薬物療法、タイミング療法、人工授精や体外受精があり、妊娠の妨げとなっているような疾患(子宮内膜症など)がある場合は手術治療を行います。

薬物療法は、不妊の原因となっているホルモンの値を下げる薬剤や不足している女性ホルモンを補う薬剤などを用いて、体を妊娠可能な状態へと整えていくものです。

しかし、不妊治療中の患者さんには、「薬剤を服用することで日常生活や仕事に支障が出るほど気持ちが悪くなってしまう」と悩まれる方もいらっしゃいます。そのため、本項では副作用が出ることの多い薬剤との付き合い方に焦点を当ててお話しします。

  • カベルゴリン錠:不妊の原因となる高プロラクチン血症の治療薬です。第1世代、第2世代の薬剤は副作用が強く出ることで知られていましたが、新しい薬剤であるカベルゴリン錠は1週間に1度の内服で済み、大きな副作用もほとんどみられません。

【ホルモン製剤】

  • 結合型エストロゲン製剤、エストラジオールなどのエストロゲン製剤:不足したエストロゲンを補うためのエストロゲン単剤です。
  • ノルエチステロン・メストラノール錠、ノルゲストレル・エチニルエストラジオールなど、エストロゲンとプロゲステロンの配合剤:ホルモンバランスの崩れや不足を改善する作用があり、生理不順や無月経などの治療にも使用されます。
  • ジドロゲステロン:黄体ホルモンを補充する薬であり、黄体機能不全の治療などに使用されます。子宮内膜を充実させることで、受精卵が着床しやすくなります。

上述した薬の副作用には吐き気や嘔気、めまいや乳房のはりなどがあり、実際に続けられないという患者さんも多数おられます。

しかし、これらの薬剤は構造やホルモンの含有量などがそれぞれ微妙に異なっているため、「すべて合わない」という方は、実はあまりおられません。

いずれかの薬剤で一度、気持ちが悪くなる経験をしてしまうことで、すべての薬剤に対し抵抗感を持たれる方もいらっしゃいますが、まずは、副作用が出ない薬剤もあるということを知っていただきたいです。

ただし、副作用が出た場合には無理をして続けず、すぐに主治医に相談して薬を変えてもらいましょう。

タイミング療法では、基礎体温表や経腟超音波により卵胞を計測し、頸管粘液検査で排卵のタイミングを予測して性交渉のタイミングを指導します。タイミング療法は、精子の状態が問題なく、卵管がきちんと卵子と精子が通る方に対して行います。

人工授精は、タイミング療法である一定期間妊娠しない場合や精子の状態が悪い方に行います。タイミング療法と同じように排卵日を予測し、性交渉ではなく射精された精液を調整して細い管で子宮の中に注入します。

タイミング療法や人工授精などによる治療で自然妊娠に至らない場合や、卵管が詰まっていたり、精子の状態が極端に悪かったりする場合は、体外受精、顕微授精などの「高度生殖医療補助技術」を用いた治療を行うことがあります。

記事4『早発閉経に対する「卵胞活性化療法」とは』では、早発閉経に対する「卵胞活性化療法」について詳しくご説明します。

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  • 順天堂大学医学部附属順天堂医院 産科・婦人科 教授、ローズレディースクリニック 医師、国際医療福祉大学 医学部 産婦人科 教授、 国際医療福祉大学 高度生殖医療リサーチセンター センター長

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