私たちは普段、膝の円滑な動きにより、歩行や階段昇降などの日常的な動作をこなしています。変形性膝関節症は、膝の軟骨組織がすり減ることによって痛みが生じる病気で、特にご高齢の女性に多い病気です。変形性膝関節症は、進行すると日常生活にも影響が及ぶため、症状に対する予防や治療を行うことが重要です。
本記事では、変形性膝関節症にはどのような特徴があり、どのような原因によって起こるのか、また、変形性膝関節症は予防できる病気なのかについて解説します。
変形性膝関節症の主な症状は痛みです。
初期は歩行時に痛みを感じない方が多く、階段の昇り降り、正座などの動作を行った際に痛みが出るという特徴があります。さらに進行すると、就寝時や歩行時、椅子からの立ち上がりなどの動作でも痛みを感じるようになり、O脚に変形が起こったり、膝を完全に伸ばすことができなくなったりします。また、個人差はありますが、患者さんによっては夜間に痛みが現れたり、膝が腫れたりすることもあります。
変形性膝関節症は、その発症要因によって2つに分けられます。1つは、明確な要因がない加齢変化や、肥満が要因の一次性変形性膝関節症、もう1つは、けがや病気などの明確な要因がある二次性変形性膝関節症です。
一次性変形性膝関節症は、加齢や性別、体重、スポーツによる膝のオーバーユース*などのさまざまな因子が複雑に絡み合うことで発症すると考えられており、要因が単一ではありません。特に、高齢になるにつれ罹患率が高くなることから、発症要因として加齢が関与しているといわれています。また、軟骨は加齢により劣化することが確認されており、軟骨の擦り切れる量に対する修復能力が追いつかなくなることも要因の1つになりうると考えられています。
一方、二次性変形性膝関節症は、膝周辺の靱帯や半月板の損傷、関節炎、骨折、代謝性疾患などの明確な要因があり、骨粗鬆症も原因の1つになりうると考えられています。
*オーバーユース:使いすぎている状態
変形性膝関節症を予防するためには、発症の要因となるリスクファクター*を減らす必要があります。リスクファクターとしては、正座など膝関節に負担のかかる体勢をとることや筋力の低下、肥満、下肢のむくみなどが挙げられます。
変形性膝関節症を予防するためには、日常生活の中で対策を行うことが大切です。たとえば、正座や和式トイレでしゃがむといった膝に負担のかかる姿勢を避けることや、大腿四頭筋などの筋肉を鍛えること、温めて血流をよくしてから関節を動かすこと、肥満を指摘された方の場合には減量するといった方法があります。また、これらのリスクファクターへの対策を行うことに加え、水中歩行などの膝に負担の少ない運動を日常的に行い、筋力をつけることもよいとされています。
*リスクファクター:ある病気を発症させる確率を高めると考えられる要素
変形性膝関節症の病期の分類には、Kellgren-Lawrence grading(KL分類)が用いられています。KL分類は、国際的に使用されている変形性膝関節症に対する病期の分類で、患者さんのレントゲン画像をもとにして、骨棘*の形成と関節裂隙**の狭小化を中心に評価を行う分類です。以下のKL分類にもとづき、治療方針を選択していきます。
*骨棘:骨に与えられた何らかのストレスにより、骨が棘状になったもの
**関節裂隙:関節の隙間
変形性膝関節症の治療は、大きく保存治療と手術療法の2つに分かれます。保存治療を優先的に行い、効果や改善がみられない場合には、レントゲン画像で変形の程度を確認しながら、その後の治療方針を選択していきます。
保存治療には、薬物療法、運動療法、物理療法、装具療法などの治療法があり、患者さんの状態に合わせて選択されます。
薬物療法では、鎮痛剤の内服薬や関節内注射、炎症を抑える湿布などを用いた治療が行われます。
鎮痛剤には、さまざまな種類の非ステロイド性消炎鎮痛剤が販売されており、より患者さん一人ひとりのニーズに合わせた治療が選べるようになっています。湿布を用いた治療には消炎鎮痛剤などが用いられ、局所浸潤のため、初期の患者さんや症状の軽い患者さんへの効果が期待されています。
関節内注射には、ヒアルロン酸の注射とステロイドの注射があります。ヒアルロン酸の関節内注射は副作用の心配が少なく、安心して使えることが特徴です。一方、ステロイドの関節内注射は、急性期などの痛みが強い場合には効果的であるといわれていますが、繰り返し使用することにより軟骨が破壊されるなどの副作用が現れる可能性があるため、注意が必要です。
運動療法により、筋力がつくことで関節の不安定性が減り、膝の負担を軽減することができます。また、変形性膝関節症で発生する痛みからの脱却効果が期待できると考えられています。さらに、運動療法により体重の減量を行うことも、膝への負荷を軽減することにつながります。大腿四頭筋を鍛えるほか、自転車、水泳、水中歩行など、膝に負担のかからない運動が推奨されています。
物理療法は、温熱療法や電気刺激療法、光線療法などの物理的な手段を用いることで、運動機能の活性化を図る治療法です。痛みを緩和させたり、血流を改善させたりするだけでなく、関節の動きをスムーズにする効果も期待されています。
装具療法は、サポーターや楔形足底挿板、杖などの装具を用いることで膝の負担を軽減し、関節自体の安定化を図ります。それぞれの装具により患者さんの適応が異なるため、主治医と相談しながら決めていくことが大切です。
変形性膝関節症の手術療法には、人工膝関節置換術と高位脛骨骨切り術があります。
人工膝関節置換術は、膝の関節を人工膝関節に置換する手術です。一般的に、関節に重度の変形がある場合や、保存治療では痛みが改善されない場合、歩行などの動作が困難になった場合などに行われます。2024年6月現在は、人工膝関節インプラント自体の性能の向上や耐久性の増加、さらには手術手技の進歩により、10~15年で95%以上の耐久率があると報告されています。さらに、今後は30年以上再手術を必要としないケースも出てくることが期待されています。
高位脛骨骨切り術は、すねの骨(脛骨)の膝に近い位置に切り込みを入れ、楔形に広げて固定を行う術式です。高位脛骨骨切り術により、重度のO脚変形を調整します。また、高位脛骨骨切り術は膝関節を人工膝関節に置換する必要がなく、運動に制限などがないため、スポーツなどを盛んに行っている若い方のO脚変形でも受けることが可能です。
※次のページでは、「人工膝関節置換術」について、解説します。
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病院のリハビリ室に通っています。
そこで理学療法士にストレッチなど指導されています。今まで運動してないせいか筋肉が落ちてきていて膝の骨に負担がかかり痛みが出ているのではないかとの事で太ももの筋肉を鍛えるストレッチなど教わりました。太ももの筋肉の所をマッサージされただけで激痛だったのですが、痛みの少ないかつ筋肉が鍛えられる方法はありますか?太ももの筋肉を鍛える方法をネットで色々調べたのですがキツかったり痛そうだったりで長く続けられそうにありません。もっとゆるく手軽に出来そうなのはないですか?
右膝変形関節症
右膝変形関節症の為全置換術後に右膝の裏からふくらはぎにかけて、突っ張った感じのはりが強く痛みが有ります。 以前左膝変形関節症の為全置換術をしたんですが、その時は今回のような、症状はでてないので、術後の関係ででてるとしたら、どの位で症状が消失するのか心配です
3日位前から強い痛み
3年半前膝の隙間が少し狭いと言う事で変形性膝関節症と診断されました。 膝の注射と、水が溜まる事もあり6回程抜きました。 その後、痛みが少しましになった為1年半程病院には行っておりませんでした。 が、片方の膝にも痛みが出てきたので3ヶ月前、他の整形でレントゲンを撮って頂きましたら、膝関節は問題無くこれが原因で痛みは出ないと言われました。 原因は運動不足と肥満との事です。 ですので湿布だけを貰って帰ってきました。 3日前から膝全体が痛く、動くだけでも痛く歩くのはもっと辛いです。 正座をすると感覚的に、膝の上辺りが引っ張られると言うか突っ張った感じで痛くて出来ません。 全体的に腫れております。 今膝はどういう状況だと考えられますか? 運動不足でこの様な症状になりますか? 肥満もなのですが発症した時から8k程減量はしております。
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1か月ほど前に右膝が腫れて曲がらなくなり整形外科を受診しました。レントゲン撮影の結果 変形性膝関節症と診断と膝の水を抜く処置をしていただいたのですが水が溜まっていたのではなく血がシリンジ2本程溜まっていました。 その後MRIの撮影をして膝のクリーニング手術を進められたのですがクリーニング手術をするよりPRP治療をする方良いか迷っております。
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