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インタビュー

未破裂脳動脈瘤が発見されたときの注意点

未破裂脳動脈瘤が発見されたときの注意点
太田 貴裕 先生

東京都立多摩総合医療センター 脳神経外科 医長

太田 貴裕 先生

脳動脈瘤とは、脳の動脈の一部がこぶのように膨らんだ状態をいいます。脳ドックなどの検査でまだ破裂していない脳動脈瘤が見つかったら、すぐに治療しなければならないのでしょうか。将来破裂するリスクや治療に対する考え方について、東京都立多摩総合医療センター脳神経外科医長の太田貴裕先生にお話をうかがいました。

UCAS Japan(Unruptured Cerebral Aneurysm Study in Japan:日本未破裂脳動脈瘤悉皆調査)では、未破裂脳動脈瘤ができる血管の場所とその大きさによって、破裂率が大きく異なるということを日本人のデータで示しています。これは2012年に、有名な英文医学誌The New England Journal of Medicineにも掲載されました。(N Engl J Med 2012; 366:2474-2482

たとえば内頸動脈(ないけいどうみゃく)にできた未破裂脳動脈瘤は比較的破れにくく、5〜6mmの大きさでは年間破裂率が0%ですが、前交通動脈(ぜんこうつうどうみゃく)の場合は同じ大きさでも0.75%です。破れやすいのは前交通動脈と内頸動脈後交通動脈分岐部ですが、もっとも破裂率が高いのは前交通動脈で、大きさが3〜4mmでも年間破裂率0.9%と高くなっています。脳動脈瘤全体の年間破裂率の平均は0.95%、つまり約1%とされていますが、10mm以上になると年間破裂率は5〜6%台とさらに上昇します。

とはいえ、小さいものはやはり破れにくいといえます。年間破裂率0.9%というのは逆にいえば1年で99.1%破裂しないということです。外来で患者さんにお伝えするときに「1年経っても99%破れません」と説明するのか、「1年経つと1%の確率で破裂します」と説明するのかによって患者さんのとらえ方は大きく変わります。

つまり、どういうニュアンスでお話しするかによって、患者さんの受け止め方はまったく異なるということです。脅かすというと語弊がありますが「危ないから早く手術したほうがよいですよ」という病院は今でも少なくありません。しかし、あくまでも確率からいえば100人に1人です。

また40〜50歳代の若い方と80〜90歳代のご高齢の方とでは話が違ってきます。残りの人生が30〜40年と長い場合には、年間破裂率1%といってもそれなりにリスクはあります。しかし80歳の方に年間破裂率1%の脳動脈瘤が見つかって、手術をするかというと、多くの方はしないでしょう。

上記のことを含めて、未破裂脳動脈瘤が見つかった患者さんには年間出血率などの正しい情報を示したうえでインフォームドコンセントを行うことが勧められています。また、未破裂脳動脈瘤が見つかることで患者さんが不安になることがあり、なかには心配で夜も眠れず、食事が喉を通らなくなる方もおられます。そこで、必要な方にはカウンセリングを行ったり、患者さんが納得できない場合にはセカンドオピニオンも考慮したりすることがガイドラインにも記載されています。

外来に初めて来られたとき、患者さんは実際の手術を見ているわけではありません。初対面で話をした印象だけで、頭を開けて手術するという決断をされるというのは、私たち医師をよほど信頼していただかなくてはできないことだと考えています。そこは患者さんとの間にいかに信頼関係を築いていくかにかかっていますし、医師と患者さんの相性というものも関わってきます。

未破裂脳動脈瘤は基本的に症状がなく、治療を急ぐ必要はありませんので、私は1回で治療方針を決めることはしていません。他の病院から紹介された患者さんの場合でも、先に述べたようなことをお話しして、様子をみるのか治療を受けるのかを考えてきてくださいとお伝えします。そのうえで治療を希望される場合には一緒に治療を進めていきます。

外来に来られる方はご本人だけであったり、ご夫婦2人でいらっしゃる場合がありますので、お子さんなども含めてご家族皆さんの意見がひとつになるように話し合っていただく時間を必ず作るようにします。また、他の病院で意見を聞きたいという患者さんにはそうしていただき、納得できるところで治療を受けていただければよいと考えています。

治療をするかしないかはさておき、未破裂脳動脈瘤が見つかったときには、動脈瘤の大きさや形にかかわらず、破裂のリスクが高くならないように注意する必要があります。

脳動脈瘤破裂のリスクを高めないための注意点】

  1. 薬物治療による血圧コントロール
  2. 喫煙者は禁煙する
  3. いきむ、力む動作を避ける(無理な排便・力仕事など)
  4. 寒い場所での更衣など、急激な温度差による血圧の上昇を避ける

 

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