インタビュー

巨大脳動脈瘤の血管内治療、複雑なステント留置によるコイル塞栓術

巨大脳動脈瘤の血管内治療、複雑なステント留置によるコイル塞栓術
寺田 友昭 先生

昭和大学藤が丘病院脳神経外科 教授

寺田 友昭 先生

この記事の最終更新は2016年04月21日です。

脳動脈瘤は、形、大きさ、場所などの特徴によって治療法が検討されますが、一般的に動脈瘤の入口部の大きさが4ミリ以上のものを広頚動脈瘤と呼んでおり、通常のコイルのみの塞栓が困難な症例として分類されています。そのなかでも瘤が25ミリ以上で、「ワイドネック」と呼ばれる入口の広い脳動脈瘤は治療が非常に難しいといわれます。昭和大学藤が丘病院脳神経外科教授の寺田友昭先生に動脈瘤の特徴と治療法についてお話をうかがいます。

脳動脈瘤には様々な種類があります。通常、治療の適応になるかどうかは、形、大きさ、場所などを考慮して決めますが、なかでも25ミリ以上の巨大動脈瘤と呼ばれる大きな動脈瘤は破裂リスクが高く、瘤の根元の「ネック」と呼ばれる部分が広いため血流も流れ込みやすいという特徴があります。そのため、「ステント」と呼ばれる筒状になった細かい編み目状の金属の筒を瘤の入口部を塞ぐように置いて、コイルが正常な血管に出てこないようにして、動脈瘤を塞栓していきます。また、ステントにより血管の走行を変えたり、ステントの網目の大きさにより、瘤に流れ込む血流を減少させることにより、瘤の再発を予防できます。

Y型に置いたステント(イラスト:寺田先生ご提供)
T型に置いたステント(イラスト:寺田先生ご提供)
H型に置いたステント(イラスト:寺田先生ご提供)

ステントは動脈瘤の特徴によって組み合わせや置き方を変えるため、方法は無数に存在します。ここで挙げた例はステントの置き方のごく一部です。

ステントを入れると血流の流れが変わり、動脈瘤に直接血液が流れ込むのを防ぐことができます。昭和大学藤が丘病院では、河野医師が中心となって治療の前にこのような血流の流れをシミュレーションする「CFD解析」を行っています。動脈瘤の増大のしかたや破裂予測をするシステムとして現在はまだ研究段階ですが、ステントを入れる前と入れた後でどのような流れに変わるか、どんなステントを入れるのが最適かをシミュレーションするために役立っています。

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