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胃がん検診:2年に1回受ける理由

胃がん検診:2年に1回受ける理由
豊島 治 先生

とよしま内視鏡クリニック 院長

豊島 治 先生【監修】

目次
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胃がん検診はなぜ2年に1回なのでしょうか?この記事では、2025年現在の胃がん検診の指針から2年に1回である理由、検査方法の違い、検査にまつわる不安への対処法まで分かりやすく解説します。

👉 このパートをまとめると
胃がん検診の間隔は、後述するメリット・デメリットが考慮されたうえで、厚生労働省のがん検診の指針によって、2年に1回と定められています。

厚生労働省は、科学的根拠に基づき、日本における効果的ながん検診の方針を『がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針』として定めています。この指針の中で、胃がん検診については次のように示されています。

👉 このパートをまとめると
2025年時点で、胃がん検診の検査のメリットがデメリットを上回る検診間隔は2年に1回といわれています。そのため、厚生労働省の指針で検診間隔が2年に1回と定められているのです。

胃がん検診には、“胃がんによって亡くなる方を減らす効果(死亡率減少効果)”があるとされています。

胃がん検診によって無症状のうちにがんを早期発見できれば、負担の少ない治療(内視鏡治療)でがんを切除できる可能性が高まります。

一方で、検診にはデメリットも存在します。主に以下の4つが挙げられます。

偽陰性

がんは見逃されることがあり、それを偽陰性といいます。非常に小さながんなど見つけにくいがんは偽陰性となりやすいです。

偽陽性

偽陽性とは、がんではない良性の変化を、がんの疑いがあるものとして診断してしまうことです。これにより、不要な精密検査を受けたり、結果が分かるまで精神的に大きな不安を抱えたりする可能性があります。

過剰診断

治療の必要がない微小ながんを発見することを過剰診断といいます。現在の技術では、発見された微小ながんが治療不要かどうかを正確に見分けることは難しく、不要な治療が行われる可能性があります。

偶発症

非常にまれではありますが、内視鏡検査によって出血や穿孔(せんこう)(胃に穴が開くこと)が生じる可能性があります。

胃がん検診で行われる胃X線検査は1~3年以内の検診受診で、内視鏡検査は2~3年以内の検診受診で死亡率減少効果を認めたという報告があります。もし間隔を毎年にすれば、がんの発見率はわずかに上がるかもしれません。しかし、その分毎年偽陽性になるリスクがあり、また過剰診断や偶発症によって不要な不安や負担を経験する人が増える可能性があります。

逆に間隔を3年、5年と延ばせば、デメリットは減りますが、今度は発見が遅れるがんが増えてしまい、死亡率減少効果が薄れてしまいます。現時点では、メリットがデメリットを上回る検診間隔は“2年に1回”といわれています。

👉 このパートをまとめると
胃がん検診では、“内視鏡検査”と“胃X線検査”の2つの検査のうち、どちらかが行われます。それぞれの特徴を理解し、医師と相談して選ぶことが大切です。

内視鏡検査とは、先端に小型カメラが付いた細いスコープを口または鼻から挿入し、胃の粘膜を目で見て観察する検査です。疑わしい部分があればその場で組織を採取し、顕微鏡で調べる検査(生検)を行って確定診断することも可能です。モニターで粘膜の色や凹凸を詳細に確認できるため、早期のがんを発見できる場合もあります。

ただし、抗凝固薬を内服中の方やアレルギーがある方は、内視鏡検査を行うことができない場合があります。事前に医師に相談しましょう。

胃X線検査とは、発泡剤で胃を膨らませた後、バリウム(造影剤)を飲んで胃の粘膜に付着させ、X線写真を撮影する検査です。胃の形や粘膜の凹凸を把握しやすく、それらを観察して異常がないか調べることができます。

しかし、平坦な病変や色の変化しかないごく早期のがんを見つけることは難しい場合があります。胃X線検査で異常が指摘された場合は、精密検査として内視鏡検査が行われることになります。

両者の違いを一覧表にまとめました。どちらの検査を受けるか考える際の参考にしてください。

👉 このパートをまとめると
定期的に胃がん検診を受けていても、気になる症状があれば病院で検査を受けましょう。また、ご自身の状況に合わせた検診計画を医師と相談しましょう。

全ての方にとって、2年に1回の頻度での胃がん検診が絶対というわけではありません。

  • ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染歴がある、あるいは除菌治療を受けたことがある
  • 胃がんの治療を受けたことがある
  • 慢性的な胃の痛みや不快感などがある

上記のように、個別のリスクが高いと判断される場合は、医師と相談のうえで、より短い間隔の検診、または検診ではなく詳細な検査が推奨されることもあります。ご自身の状況に合わせて、医師に検診計画を相談しましょう。

Q. 50歳未満ですが、胃がん検診は受けなくてよいですか?

A. 国の指針が推奨する胃がん検診は50歳以上が対象です。これは、40歳代で胃がんになる方が減り、検診によるメリット(死亡率減少効果)が小さくなったためです。ただし、胃の症状がある場合や、ピロリ菌に感染したことのある方などは、年齢にかかわらず消化器内科への受診と検査を検討したほうがよいでしょう。

Q. ピロリ菌を除菌しましたが、検診間隔は変わりませんか?

A. ピロリ菌を除菌すると、将来の胃がんリスクは低下しますが、除菌後も胃がんが発生する可能性がなくなるわけではありません。定期的な胃がん検診を継続しましょう。検診間隔については、除菌時の胃の粘膜の状態などによって個々で異なりますので、医師の指示に従いましょう。

この記事では、胃がん検診が“2年に1回”である理由や検査の種類を解説しました。胃がん検診の間隔はメリットとデメリットを比較した結果、現在は2年に1回となっています。胃がんの早期発見には、定期的に胃がん検診を受け、気になる症状があればすぐに医師に相談することが重要です。

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