
この記事では、胃がんに対する治療法について解説します。胃がんはステージ別に推奨されている治療法が異なるため、それぞれの特徴を把握することが大切です。
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胃がん治療は、検査・診断→治療方針決定→入院・治療→退院→経過観察→社会復帰という流れで進みます。
まずは診断から治療、そして治療後の道のりを把握しましょう。一般的に胃がんの治療は以下のような流れで進んでいきます。ただし、具体的な治療の流れは患者さん自身の希望や体の状態などに応じて決定するため、主治医によく相談することが重要です。

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胃がんの治療方針を決定するうえで指標となるのが、“ステージ(病期)”です。これは、がんの進行度を示すもので、がんの深さや転移の有無によって分類されています。早期胃がん(ステージI)の場合は主に内視鏡治療が行われ、がんの進行度に応じて手術や薬物療法を組み合わせます。
ステージとは、以下の3つの要素(TNM分類)を組み合わせて決まる、がんの進行度の指標です。
胃がんのステージは画像検査などによってがんの広がりを推測する臨床分類と、切除された胃からがんの広がりを調べる病理分類に分けられます。臨床分類ではI、IIA、IIB、III、IVA、IVBまで、病理分類ではIA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IIIC、IVまであります。いずれの分類でも、数字が大きくなるほど進行していることを意味します。
胃がんの治療では、ステージごとに標準治療*が定められています。ステージごとの標準治療について、以下に例を挙げます。
早期の胃がんであるほど、体への負担が少ない治療法を選べる可能性が高くなるため、早期発見・早期治療が重要です。
*標準治療:医学的根拠に基づいた、現時点で最良とされる治療法。複数の専門家などの合意のうえ決定される。
**胃がんのステージIB:がんが粘膜層や粘膜下層にあり、リンパ節転移が1~2個の場合。あるいは、がんが固有筋層にあり、リンパ節転移がない場合。
***胃がんのステージIIIC:がんが漿膜下層や胃の外側の表面に広がり、リンパ節転移が16個以上の場合。あるいは、がんが胃の外側の表面に出て周囲の臓器にも広がっており、リンパ節転移が7~15個の場合。
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リンパ節に転移している可能性が極めて低い早期の胃がんであれば、一般的に内視鏡治療(内視鏡的切除)が選択されます。体への負担が少なく、入院期間も1週間程度と短いことが一般的です。
内視鏡治療(内視鏡的切除)とは、口から入れた内視鏡(胃カメラ)の中に特殊な電気メスを通し、内視鏡の先端から出して、胃の粘膜からがんを薄く剥ぎ取るように切除する方法です。電気メスではなく、細いワイヤーによってがんを切除する方法もあります。いずれの方法もお腹を切る必要がないため、体への負担が少ないことが特徴です。
内視鏡治療のメリットは、胃を残せることです。胃の機能が残ることにより治療後も今までと同様の生活を送ることができます。手術後の体力の回復も早く、入院期間は1週間程度で済むことがほとんどです。
内視鏡治療ができれば望ましいですが、内視鏡治療は切除できるがんの大きさや深さに限界があります。内視鏡治療を行いがんが取りきれなかった可能性がある場合や、治療後にリンパ節転移の可能性がある程度高いと分かった場合などには、追加で手術が必要になる可能性もあります。
内視鏡治療が選択肢となるのは、主にがんが粘膜内にあり、リンパ節に転移している可能性が極めて低く、一度の治療で切除可能である、といった基準を満たす場合です。
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胃がんの手術は、胃へのアプローチ方法によって、“開腹手術”と“腹腔鏡下手術”に分かれます。ステージIAでがんが粘膜下層にある場合およびステージIB~IIICの場合では、一般的に手術が検討されます。
胃がんの手術の目的は、がんを完全に取り除くこと(根治)です。現在、胃へのアプローチの違いで主に2つの方法があります。手術の方法はがんの進行度や場所、そして患者さんの体の状態によって総合的に判断されます。
お腹に数か所小さな穴を開け、そこからカメラ(腹腔鏡)や手術器具を挿入して行う手術です。傷が小さく、術後の痛みが少ない傾向にあります。近年では、ロボットアームを使用するロボット支援下手術を行っている病院もあります。
みぞおちからおへその辺りまで、お腹を縦に大きく切開して行う従来からの手術です。利点は、がんを直接見て、触ることができる点です。
手術では、がんのある場所に応じて、胃の一部または全てを切除します。代表的なものに、出口側(幽門側)の2/3以上を切除する“幽門側胃切除術”や、胃を全て取り除く“胃全摘術”があります。
ステージIAでがんが粘膜下層にある場合およびステージIB~IIICの場合では、一般的に手術が検討されます。
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薬物療法(化学療法)では、主に抗がん薬が用いられます。手術の補助や、切除が難しいがんに対して行われますが、副作用が生じる場合もあります。
薬物療法(化学療法)は、抗がん薬を用いて、がん細胞の増殖を抑えたり症状を軽くしたりする治療法です。薬物療法(化学療法)が行われる目的は、主に2つあります。
手術で目に見えるがんを取り除いた後、目に見えないがんによる再発を防ぐために行います。
手術で取り切れないほど進行した場合や、再発した場合に、がんを縮小させたり、症状を軽くしたりするために行います。
そのほか、リンパ節転移が多い胃がんの場合では、手術前に薬物治療を行う“術前補助化学療法”が行われることもあります。
近年では、特定のタンパク質を標的とする“分子標的薬”や、自身の免疫力を利用してがんと戦う“免疫チェックポイント阻害薬”など、新しい薬も登場し、治療の選択肢が広がっています。
薬物療法では、吐き気やだるさ、口内炎、脱毛といった副作用が起こることがあります。どのような副作用が生じるかは個人差がありますが、薬によって起こりやすい副作用は異なります。現在では、支持療法*を行うことで副作用をコントロールすることができる場合もあるため、治療開始前に起こりやすい副作用とその対処法について医師に確認しましょう。たとえば吐き気に対しては予防薬、口内炎に対してはうがい薬や塗り薬を用いることがあります。
また、胃がんと診断された時点から患者さんの体や心のつらさを和らげる緩和ケアが行われることもあります。つらさを感じたときは1人で我慢せず、遠慮なく医療スタッフに伝えましょう。
*支持療法:がんの症状、がん治療で生じる副作用などに対する予防、ケア、治療。生活の質の低下を防ぎ、治療を続けるために行う。
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胃がんのステージIの5年生存率は高く、ほかのがんと同様に、早期発見・治療が重要とされています。
がん治療における生存率は、がんと診断された方が、診断から一定期間後に生存している割合を示す指標で、治療の効果を測る目安となります。
胃がんのステージ別の5年生存率(ネット・サバイバル*)は以下のとおりです。この数字は、あくまで過去の統計データであり、患者さんにより状況は異なります。現状を把握するための、1つの目安として理解するとよいでしょう。
国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計(2014~2015年5年生存率)より
ステージIの5年生存率は高く、早期に発見し、適切な治療を受けることが重要であることを示しています。
*ネット・サバイバル:がんが原因での死亡のみを考慮した生存率。がん以外の原因による死亡(他の病気や事故など)は除外して算出される。
A. 治療法や入院期間により大きく異なりますが、標準的な治療の場合は健康保険が適用されます。なお、医療費の自己負担額が一定の上限を超える場合に、その超過分が払い戻される“高額療養費制度”が利用できる場合があります。詳細はご加入の健康保険組合や、病院の相談窓口にご確認ください。
A. 内視鏡治療であれば1週間程度、腹腔鏡下手術(胃切除)で1~2週間前後、開腹手術(胃切除)で2~3週間程度が一般的な目安ですが、回復の状況などによる個人差があります。
A. 胃を切除した後、しばらくはおかゆなど消化のよいものを少量から始めますが、時間をかけて段階的に普通の食事に戻していくことができます。詳細な食事の進め方については、管理栄養士に相談しましょう。
A.内視鏡治療が選択可能な早期がん以外では、一般的に手術による切除が選択されます。しかし、がんの状態や患者さんの全身状態などによって手術が難しい場合は、手術以外の治療法(薬物療法など)を選択したり、症状を和らげる緩和ケアに専念したりすることもあります。どのような治療法でもメリット・デメリットがあるため、医師と共に検討しながら治療方針が決定されます。
A. 迷いや不安がある場合、主治医以外の医師の意見を聞くことで、提示されている治療法への理解が深まったり、別の選択肢が見つかったりすることがあります。ただし、セカンドオピニオンはあくまでも意見を聞くのみで、基本的には検査や治療を受けることはできません。また、全額自費負担となります。
もし主治医以外の医師の助言を受けたい場合は、主治医に「セカンドオピニオンを受けたい」と伝えましょう。
この記事では、胃がんの治療について解説しました。どのような治療法があるのか、それぞれの治療法の特徴などを把握して、治療法を選択する際の参考にしましょう。また、質問リストを参考に、納得のいく治療を受けることができるよう、医師とよく相談するとよいでしょう。
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