
胃がん検診では、問診とともに内視鏡検査(胃カメラ)と胃X線検査(バリウム検査)のどちらかを受けるようすすめられています。
この記事では、胃がんの検査として広く行われている内視鏡検査について、胃X線検査との違いや内視鏡検査を楽に受けるポイント、費用、そして検査の流れまで解説します。
👉 このパートをまとめると
内視鏡検査は精度と確定診断まで行うことのできる拡張性で優れ、胃X線検査は手軽さで勝ります。ここでは、2つの検査の違い(メリット・デメリット)を比較します。
内視鏡検査のメリットは、胃X線検査では発見が難しい早期がんを見つけられる可能性があることです。内視鏡検査では、先端に小型カメラが付いた細いスコープを口または鼻から挿入します。胃の粘膜を目で見て観察するため、微細な色の変化や凹凸も詳細に確認することが可能です。また、疑わしい部分が見つかった場合、その場で組織の一部を採取して検査する“生検”ができるため、一度の検査で確定診断まで進むことができる場合があります。
デメリットは、胃X線検査に比べて検査時に苦しさを感じる方が多いことです。喉の奥をカメラが通過する際の嘔吐反射(えづくような感じ)が代表的です。まれに鼻や喉から出血することもあります。また、抗凝固薬を内服中の方は、生検を伴う場合に休薬が必要となることがあります。休薬すべきかどうかは薬や基礎疾患によって異なるため、事前に医療機関に確認してください。
胃X線検査のメリットは、苦痛が少ないことです。また、胃全体の形や粘膜の凸凹の異常を捉えることに長けています。
一方でデメリットは、早期がんの発見精度は内視鏡検査のほうが高いこと、わずかではありますが放射線をあびることです。さらに、胃X線検査で何らかの異常が見つかった場合、診断確定のために改めて内視鏡検査が必要になることがあります。また、検査後に便秘になりやすいことや、バリウムを排出するために下剤を飲む必要があることを負担に感じる方もいます。
胃がん検診において、内視鏡検査と胃X線検査はどちらも胃がん死亡率を減少させる効果(死亡率減少効果)を示す報告があります。そのうえでそれぞれの特徴を理解し、状況や希望に合わせてどちらを選択するかを判断することが重要です。
👉 このパートをまとめると
施設によっては鎮静剤を用いて眠っている間に内視鏡検査を行うことができます。また、鼻から入れる細いカメラを選ぶことや、経験豊富な医師に検査してもらうことでも、苦痛を軽減できる可能性があります。
内視鏡検査では、施設によっては意識をぼんやりさせる薬(鎮静剤)を使うことができます。鎮静剤の注射あるいは点滴によって、眠っているようなリラックスした状態になるため、検査中の苦しさや緊張を軽減できます。ただし、“胃がん検診(自治体の検診)”では鎮静剤が使えない場合があります。鎮静剤を用いた検診を希望する方は、医療機関に相談してみましょう。
鎮静剤によって呼吸回数の減少や血圧の低下がみられることがあります。そのため、検査中から検査終了後しばらくは血中酸素飽和度や血圧などの状態が観察されます。また、検査当日は自動車や自転車の運転を控える必要があります。
内視鏡検査には、口からカメラを挿入する“経口”タイプと、鼻から挿入する“経鼻”タイプがあります。経鼻内視鏡はスコープが細く、舌の付け根を通らないため、嘔吐反射が起きにくいとされています。検査中の苦しみを感じにくいため、通常は鎮静剤を使わずに検査します。ただし、鼻腔の形状によっては経鼻内視鏡が通らず、検査できないことがあります。
経鼻内視鏡は、多くの機種では拡大機能がありません。そのほかは経口内視鏡と遜色ない検査が可能です。
“消化器内視鏡専門医”あるいは“指導医”の資格が内視鏡検査の経験の目安になります。これは、内視鏡に関する十分な知識と経験を持つ医師であることを示しています。日本消化器内視鏡学会や医療機関のウェブサイトなどで確認できますので、もし内視鏡検査の経験と知識が豊富な医師の検査を受けたい場合は、参考にしてみましょう。
👉 このパートをまとめると
胃がん検診の場合の自己負担は無料~数千円です。症状があって検査を受ける場合は保険適用で5,000円~15,000円程度となり、人間ドックは全額自己負担で20,000円前後が目安です。
内視鏡検査の費用は、どの制度を利用するかで大きく変わります。ご自身がどのパターンに当てはまるか確認してみましょう。
対象年齢*であれば、市区町村が実施する胃がん検診を利用して内視鏡検査を受けることができます。費用は自治体によって異なりますが、多くの場合、無料~数千円程度の自己負担で受けることが可能です。ただし、胃がん検診では内視鏡検査時に鎮静剤を使用できない場合があります。
まずはお住まいの市区町村のウェブサイトや自宅に届いたお知らせを確認してみましょう。
*胃がん検診で行う内視鏡検査の対象年齢:厚生労働省の定める指針では50歳以上。自治体によっては40歳以上としている場合もある。
胃痛や胸やけなどの症状があり、医師が必要と判断した場合は、健康保険が適用されます。自己負担3割の場合、診察料などを含めた全体の費用の目安は5,000円~15,000円程度です。生検を行ったり鎮静剤を使用したりする場合は追加で費用がかかるため、詳細な費用は医療機関に確認しましょう。
人間ドックのオプションなどで内視鏡検査を受ける場合は、全額自己負担となります。費用は医療機関によってさまざまですが、20,000円前後が1つの目安となるでしょう。
👉 このパートをまとめると
ここでは、受診する医療機関の決定から検査後までの一般的な流れを解説します。
鎮静剤の使用や経鼻内視鏡検査の希望がある場合は、ウェブサイトなどを確認し、対応可能な医療機関を探しましょう。専門医や指導医であるかどうかは、ウェブサイトの医師紹介ページなどで確認できることが多いです。
電話またはウェブサイトなどから予約します。
食事制限など、検査前の注意点について説明を受けます。服用中の薬がある場合は医師に相談しましょう。
検査当日に胃の中に食べ物が残っていないよう、医療機関の指示にしたがって食事をすませます。脂質や繊維質の多い食べ物は控えましょう。
午前中に検査をする場合は、朝食を食べてはいけません。多くの施設では、脱水にならないよう水やお茶、スポーツドリンクなどの飲み物の摂取がすすめられます。
来院し、着替えや前処置の後、検査室へ行きます。胃がん検診による受診の場合は、受診券やマイナンバーカードなどの証明書が必要となる場合があります。検査自体は5~15分程度です。
鎮静剤を使用した場合は、15分~1時間ほどリカバリールームで休みます。
多くの施設では、医師から検査当日に画像を見ながら結果の説明を受けることができます。
A. 厚生労働省の指針では、50歳以上の方を対象に、2年に1回の胃内視鏡検査が推奨されています。ただし、胃がんの治療を受けたことがあるなど、リスクが高い場合は、より頻繁な検査がすすめられることもあります。主治医と相談しましょう。
A.検査前日の夕食は早め(21時頃まで)にすませましょう。一般的に、脂質や繊維質の多い食べ物は控え、消化のよいものを摂取します。午前中に検査がある場合は、当日の朝から絶食です。水やお茶などの透明な飲み物は飲んでもよいことが多いですが、医療機関の指示にしたがってください。
A. 施設によっては、内視鏡検査でピロリ菌の有無も調べることが可能です。内視鏡検査中にピロリ菌感染が疑われた場合、胃の粘膜を少し採取してピロリ菌の有無を調べます。また、ピロリ菌感染の有無は、血液検査でも調べることができます。内視鏡検査でピロリ菌感染を疑う所見があった際に、その確認のために血液中のピロリ菌抗体価の測定をすすめられることがあります。
この記事では、胃がんの検査における内視鏡検査のメリット・デメリットなどについて解説してきました。胃がんを早期に発見するためには、内視鏡検査などによる定期的な検査を行うことが重要です。特に胃の不調を感じていない場合でも、胃がん検診などを利用して検査を受けましょう。
北里大学医学部 上部消化管外科学 診療教授
北里大学医学部 上部消化管外科学 診療教授
日本外科学会 外科専門医・指導医日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器外科指導医日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(消化器・一般外科領域)・ロボット支援手術認定プロクター(消化器・一般外科)
慶應義塾大学 一般・消化器外科、がん研有明病院で研鑽を積み、スウェーデンのカロリンスカ大学病院、ノルウェーのハウケランド大学病院での手術指導を経て、北里大学 上部消化管外科学診療教授を務める。胃がん手術のスペシャリストである。胃がんを治すためにはどのような治療法が適切であるか、患者さんへのわかりやすい説明を常に心がけ、日々の診療に尽力している。
熊谷 厚志 先生の所属医療機関
様々な学会と連携し、日々の診療・研究に役立つ医師向けウェビナーを定期配信しています。
情報アップデートの場としてぜひご視聴ください。
「胃がん」に関連する病院の紹介記事
特定の医療機関について紹介する情報が掲載されています。
関連の医療相談が30件あります
胃がんの手術
ピロリ菌感染による がん化で胃を全摘の可能性と言われました。セカンドオピニオンを受けるにはどうすれば良いでしょうか?
治療の状況の確認方法等
XELOX治療を受けているのですが、ここ二回白血球値をみて問題ないですね。と言われるだけで、状態がどのような状態なのか分からなくて不安です。今後のリスクについての説明も聞いて良いのやら、治療方針についても説明と変更の選択肢など本当は説明して欲しいのですが、どのような治療が選択肢があって適正治療を見出すなど相談したいです。
抗癌治療について
今年5月28日に胃癌により胃を3分2ほど切除しました。その後S-1抗癌治療を進められたのですが、B型肝炎キャリアの為S-1抗癌治療を行う事が出来ませんと言われて未だに抗癌治療が行われずにいます、S-1抗癌治療の他に抗癌治療はございませんか?B型肝炎キャリアでもできる抗がん治療が有りましたら教えていたたけませんか。よろしくお願いします
体重の復旧がみられません
4年程前に胃がんの手術を行いました。1/3の除去でした。63kgの体重が手術後50kgとなりました。その後、体重の増加は見られません。 現在も50kgです。胃カメラ・CT検査も定期的に行っていますが良好です。体重の事だけが気になります。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「胃がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。