くも膜下出血は突然発症するため、未然に防ぐことが難しいケースがほとんどです。しかし、血圧・喫煙・飲酒に気をつけること、くも膜下出血の前兆を見逃さないことで生命に関わる大きな出血を防ぐことができる場合があります。本記事では、くも膜下出血の原因と予防、破裂する前に動脈瘤が発見された場合の治療について、杏林大学 脳神経外科主任教授ならびに副院長の塩川芳昭(しおかわ よしあき)先生にお話しいただきました。
心臓から送り出された血液の通り道を動脈と呼びます。くも膜下出血は、脳の動脈にできたこぶ(動脈瘤)が破裂することが原因です。脳動脈瘤は血管のわかれる部分にできやすいのですが、その原因は明らかではありません。ただし、リスクと考えられるものがわかってきています。
くも膜下出血のリスクは次のものが考えられています。
くも膜下出血は脳動脈瘤が破裂することで起こります。脳動脈瘤の発生には強い遺伝性はありませんが、10%程度に家族内集積性(特定の家族に集中してみられる現象)があります。ですから、くも膜下出血を発症したり、脳動脈瘤が見つかったというご家族・親戚がいる場合は注意されるとよいでしょう。
くも膜下出血は突然発症するため、予防することが難しいケースがほとんどです。しかし先述したリスクを念頭に置き、それらを避けることは望ましいと考えます。高血圧であれば血圧のコントロールが重要です。また喫煙されている方は、副流煙によって喫煙者本人だけではなく周囲の方へも悪影響を与えていることを忘れないでほしいと思います。また、「くも膜下出血の症状-前兆を見逃さないことが重要!」でも述べますが、くも膜下出血の前兆を見逃さないことも重要です。そうすることで、大きな(重症)くも膜下出血を防ぐことができる場合があります。
先に、くも膜下出血は予防が難しいと述べました。しかし検査によって脳動脈瘤の存在を調べることができ、その出血リスクを予測することができます。それらの結果から、動脈瘤が破裂する前に手術を行うという選択をすることが可能です。次の項目に当てはまる方は、治療をお勧めする場合があります。
このなかでも非常に重要な点は、動脈瘤が発見されてから本人の生活の質がどれほど落ちているかということです。動脈瘤があるとわかったことで、これまで外出や運動をして活発に生活していた方が家に閉じこもってしまい、うつになってしまったということが実際に起こっています。また動脈瘤の治療によってうつが治ったという報告もあります。ですから、治療することでの危険性(治療したほうが危険な場合もある)と生活の質の低下を考慮して、最終的にはご自身の判断ですが治療を検討されるのがよいと考えています。
富士脳障害研究所附属病院 院長、杏林大学 名誉教授
関連の医療相談が17件あります
くも膜下出血の術後
20日前にくも膜下出血の脳動脈瘤のカテーテルの手術を 行いました。手足の痺れもなく頭痛もないのですが、目の痙攣がたまにあります。 脳に何か関係があるのでしょうか?
脳梗塞後のリハビリでどこまで回復しますか
今年7月くも膜下出血を発症し、2か月間入院後、9月リハビリ専門の病院へ転院しました。 現在の症状は、左脳の脳梗塞、失語症、右半身麻痺、意識障害、視力困難です。 1日3時間PT、OT、STによるリハビリを実施しています。 抱き抱えられながら車椅子へ移動したり、食事はスプーンを左手で持ちながら目が見えない状態で食べ物を頑張ってすくって食べています。 失語症の影響で、読む、書く、話すは出来ませんが、聞くは問題ないです。 脳血管疾患で入院出来る期間は、6か月間と言われています。 現在のリハビリでどこまで回復するかわかりませんが、退院後の生活がかなり不安です。 どうすれば良いでしょうか?
くも膜下出血 退院後の症状
くも膜下出血にて、カテーテル手術をうけました。一回目手術は発症した当日で、しばらくは回復していたのですが、再び頭痛と吐き気がひどくなり、検査したところ再手術が必要とのことで2回目の手術をうけました。それからCT検査等をうけ、異常なしとのことで退院しました。しかし、今、退院時にはなかった両足と左手のしびれがあり、不安をおぼえています。すぐに受診するべきでしょうか?
主人がくも膜下出血しコイル法でオペしました
オペして3日目です。軽かったと先生の診断でオペしたのですが 思ったより出血が多かったとの事でした。頭痛があって目の奥が痛いと言ってます。後遺症が心配です。 元どおりに普通に生活出来るでしょうか。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「くも膜下出血」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。