
CT検査は、胃がんの診断を受けた後に行われ、今後の治療方針を決めるために行う重要な検査です。この記事では、CT検査の目的と、検査結果を理解するためのポイントを解説します。
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CT検査は胃がんの存在が確定した後に行われます。胃がんにおけるCT検査の目的は、がんのリンパ節やほかの臓器への転移を評価することです。また深さ(深達度)に関してもある程度の情報が得られます。
がんの“ステージ(病期)”は、がんの進行度を示し、治療方針を決めるうえで重要な指標です。ステージは、主に以下の3つの要素(TNM分類)を組み合わせて決定されます。CT検査は、これらの要素を評価するために用いられます。
がんが胃の壁のどの深さまで達しているかを示します。主に内視鏡検査で評価されます。壁の浅い層(粘膜や粘膜下層)に留まっているのか、それとも胃の筋層や漿膜*に入り込んでいるのか、壁を突き破って外側(ほかの臓器)まで及んでいるのかを評価します。
胃の周りにあるリンパ節に、がんが転移していないかを評価します。
がんが胃から離れたほかの臓器(肝臓、肺など)に転移していないかを評価します。
これらのT・N・Mの組み合わせによって、胃がんは大きくステージIからステージIVまでに分類されます。がんが胃の粘膜・粘膜下層にとどまり、転移がなければステージIです。リンパ節転移や遠隔転移がある場合は、ステージが進んでいきます。
胃がんが転移しやすい部位として、リンパ節、肝臓、肺などが挙げられます。CT検査では、リンパ節への転移や肝臓など胃周辺の臓器への浸潤**を調べることが可能です。一方で、お腹の中にがん細胞が種をまくように広がる“腹膜播種”というタイプの転移が生じることがあります。腹膜播種は、初期の段階では非常に小さいためCT検査では見つけにくい場合が多いです。
*漿膜:胃壁の最も外側にある膜。
**浸潤:がんが周囲の組織や臓器へと広がっていくこと。
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内視鏡検査は胃の粘膜を目で見てがんを確定診断する検査であり、CT検査はがんのステージを診断するための検査です。そのほかの検査を行うこともあり、さまざまな検査結果を総合的に判断し、治療方針を決定しています。
内視鏡検査は、口や鼻から入れた小型カメラで胃の内部(粘膜)を目で見て観察する検査です。モニターで粘膜の色や凹凸を詳細に確認し、がんが疑われる場所を探すことが可能です。がんが疑われる部分の組織を少量採取し、その組織を顕微鏡で調べる方法(生検)で、“がん細胞が存在するかどうか”を調べることができます。
CT検査は内視鏡検査で胃がんと診断された後に、ステージ(病期)を調べるために行われる検査です。X線を使って体の断面図を撮影し、がんの深達度や範囲、胃以外の部位(肝臓、肺、リンパ節など)にがんが転移あるいは浸潤しているかなどを確認します。胃がんでは、一般的に造影剤を使用するCT検査が行われます。
胃がんが疑われた場合、内視鏡検査やCT検査以外にも、腫瘍マーカー検査や腹部超音波検査などが行われることがあります。腫瘍マーカー検査はがんと診断された場合に、がんの病勢の指標となることがあります。腹部超音波検査はCT検査で使われる造影剤にアレルギーがある場合やCT検査で指摘された肝臓病変の評価のために追加で行われます。
内視鏡検査で胃がんの確定診断を行い、CT検査などでステージ(病期)を診断しています。さまざまな検査の結果を総合的に判断することで、最適な治療方針を立てることができます。
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CT検査前の準備では、金属製の製品が撮影に影響を及ぼすため、アクセサリーや衣服のボタンを外しましょう。造影剤を使用するCT検査の場合は食事制限の後、造影剤を注射します。
検査当日の具体的な流れについても説明します。
CT検査では金属が撮影に影響を及ぼすため、アクセサリーや金属製のボタン、ワイヤーが入っている下着などを外しましょう。ペースメーカーや植込み型除細動器などを使用中の方は事前の申告が必要です。
通常、造影剤を使用するCT検査前の数時間は食事(固形物)を食べないように指示があります。これは、胃の中に食べ物が残っていると、正確な画像が撮れないためです。また、造影剤はまれに嘔吐などの副作用が起きることがあり、誤嚥を防ぐためでもあります。お水やお茶などの水分は飲むことが可能ですが、牛乳は飲まないように指示されることがあります。主治医の指示に従いましょう。
胃がんのCT検査では、多くの場合造影剤を腕の血管から注射します。がんは正常な組織よりも血流が豊富なことが多く、造影剤を使うことで血流の多い部分が白くはっきりと写し出されます。また、血管や臓器自体が明瞭に造影されるために周囲組織とのコントラストがつき、がんの形や転移がより識別しやすくなります。
ただし、まれにアレルギー反応(吐き気や嘔吐、かゆみなど)を起こす方がいます。そのため、以下のような方は検査前に医師や看護師、診療放射線技師などに伝えておきましょう。
一般的な検査当日の流れを解説します。具体的な検査方法は病院によって異なりますので、看護師や診療放射線技師などのスタッフの指示にしたがって行動しましょう。
病院の受付に行き、案内に従いましょう。更衣室で検査着に着替えます。貴金属類は外してください。
CT検査中に造影剤を投与するため、静脈にあらかじめ針を刺してルートを確保しておきます。注射前に問診を行い、造影剤の投与が問題ないか確認することがあります。
検査室に入り、専用の検査台に乗って仰向けになります。
腕の静脈から造影剤を注射します。体が熱く感じることがありますが、すぐに収まる正常な反応なので心配いりません。吐き気などが生じた場合は検査中でも伝えてください。
担当技師の指示にしたがって、呼吸を止めましょう。撮影後は造影剤を注射していた針を抜きます。全体の検査時間は10~30分程度で終了します。
A. 撮影する範囲や造影剤の使用の有無によって異なりますが、3割負担の保険適用で、おおむね1万円前後が目安となります。実際の費用は医療機関により異なるため、事前に確認しましょう。
A. 診断のためのCT検査で受ける放射線の量は、健康に影響が出るとされるレベルよりも低く、検査による利益(正確な診断)が不利益(被曝リスク)を上回ります。過度に心配する必要はありません。
A. 必ずしも胃がんとは限りません。胃炎や潰瘍などでも胃の壁は厚く見えることがあります。胃がんはCT検査だけで診断することはできず、内視鏡検査による組織の検査が必要です。まずは消化器内科を受診し、精密検査を受けてください。
CT検査はリンパ節やほかの臓器への転移を評価し、がんの深さ(深達度)の診断にも有用な検査で治療方針を決めるために必須の検査です。がんの確定診断のために行われる内視鏡検査との違いを理解し、胃がんの治療を進めていきましょう。
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