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インタビュー

公開日 : 2015 年 10 月 27 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

前立腺がん治療の考え方と「高線量率組織内照射治療」の位置づけ

前立腺がんの治療には様々な選択肢があります。手術療法、放射線療法、ホルモン療法などに加え、経過観察という「治療をしない」選択肢もあります。前立腺がんほど多彩な治療法があるがんはないと思います。放射線治療のうちにも低線量率線源(ヨ-ド)を用いた永久刺入治療、高線量率線源(イリジウム)を用いた一時刺入治療、IMRT、粒子線治療など、さまざまな治療方法があります。

前立腺がん治療の考え方について、そしてその中で高線量率組織内照射治療にはどのような特徴があるのかについて、川崎医科大学放射線科(治療)教授の平塚純一先生に解説していただきます。

前立腺がん治療の考え方

前立腺がんの治療にはいろいろなものがありますが、治療成績という観点で考えるならば、実はさほど大きな差は無いと思われます。もしも、差があったとすれば、それは治療による差ではなく患者さん背景の差(病期、病理組織、合併症など)が大きな因子と思われます。

治療成績は変わらないことから、治療による勃起不全・失禁の発生頻度、治療費、治療期間、仕事の有無、通院距離、趣味などさまざまな要素を考えつつ、個人の価値観をある程度考慮しながら治療法を選択していくことが重要と思われます。

たとえば「私の知り合いで広島で被曝して苦しい思いをされた人がいる。だから放射線は使いたくない」という患者さんがおられました。もちろん、原爆の放射線と医療に用いる放射線では話がまったく違います。ただそれでも、そのような場合には放射線にこだわらずに、前立腺がんの治療において手術療法を薦めました。

あるいは「旅行が趣味で、時間もあるので余生は夫婦で旅行を楽しみたい」と希望される患者さんには治療による失禁の頻度が少ない放射線治療を薦められればよいと思います。もちろんすべてのパターンで選択が自由にできるというわけではありませんが、自身で選べる幅はそれなりにあります。

高線量率組織内照射治療の特徴—川崎医科大学における治療の経験から

ここから、自身の専門とする高線量率組織内照射治療の特徴について概要をお話します(詳細については「前立腺がんの放射線治療『高線量率組織内照射治療』について」参照)。基本的なコンセプトとしては「安くて楽で短期間に出来る治療」です。手術療法との何よりの違いは、終わったあとに失禁の合併症が起きない治療であるということです。ですから、たとえば「自分は旅行が大好きであるため、失禁だけはまぬがれたい。パットをしてまで旅行したくない」という方には向いている治療であると言えるでしょう。

また、性機能に関しては完全とはいえないまでも残ります。欧米人のQOLにおいてはこの性機能が大きくクローズアップされています。文化的な違いがありましたが、日本人においても少しずつ性機能が重要視されつつあります。「男としての自信」も重要な要素なのです。

川崎医科大学では、高線量率組織内照射治療を1100人の患者さんに行ってきました。その中で、治療が原因でパットをしている人は誰もいません。つまり失禁の合併症が起きていないということです。また、性機能は経験上、おおよそ治療前の半分の方は残っているように見受けられます(70歳台より60歳台の患者さんに多い)。また、前立腺がんをはじめ性機能に関連する部位のがんになると、性交渉によってがんがうつるという誤解がありましたが、これはまったくの誤りです。

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