【インタビュー】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 a08a6ecb 75f5 460d 8b22 6d88a717af6b
前立腺がんに対するPSA検査ー男性にとって必要になる場合、必要ではない場合
長年、男性の前立腺がん検診にはPSA検査が用いられてきました。この検査では、前立腺でつくられるたんぱく質、前立腺特異的抗原(PSA)の量が測定されます。しかし、PSA検査による有益性よりも、検査...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

前立腺がんに対するPSA検査ー男性にとって必要になる場合、必要ではない場合

公開日 2016 年 01 月 16 日 | 更新日 2018 年 02 月 21 日

前立腺がんに対するPSA検査ー男性にとって必要になる場合、必要ではない場合

Choosing Wisely

徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター長 筑波大学客員教授 獨協大学特任教授 東邦大学客員教授 聖マリアンナ医大客員教授 慶應義塾大学非常勤講師 総合診療医学教育研究所代表取締役 Choosing Wisely Japan副代表

徳田 安春 [監修]

長年、男性の前立腺がん検診にはPSA検査が用いられてきました。この検査では、前立腺でつくられるたんぱく質、前立腺特異的抗原(PSA)の量が測定されます。しかし、PSA検査による有益性よりも、検査による害の方が上回る場合があります。以下に、その詳細を述べます。

PSA検査は必要とならない場合が多い

PSAの数値が高い男性の多くは、前立腺がんではありません。PSAが高値になる理由としては、

  • 前立腺肥大
  • 前立腺の感染
  • 直近の性交渉
  • 直近に長時間自転車やバイクに乗った

というようなことが考えられます。

年齢やPSA値の程度にもよりますが、PSAの数値が高い男性の中で前立腺がんであるのは25%以下です。しかし、これらのがんの多くは問題になるものではありません。高齢の方だと、前立腺にがん細胞が発生していることも稀ではありませんが、このがんの進行速度は一般的に緩やかです。前立腺を越えて進行することはあまりなく、何らかの症状を引き起こしたり、死に至らしめることは通常はありません。

様々な研究により、55歳から69歳の男性1000人に対してPSA 検査を定期的に行っても、前立腺がんによる死亡者は1人しか減らすことができないということが示されています。

さらに、PSA 検査をすることにはリスクもあるのです。

前立腺がんの検査や治療を受けることにはリスクがある

PSA値が異常であれば、生検を受けることになるでしょう。生検では、直腸の壁から前立腺に向けて針を刺し、組織を採取します。このような生検は、痛みや出血につながることがあります。また重度の感染症を引き起こすこともあり、この場合は入院加療が必要になります。

前立腺がんの治療は、手術もしくは放射線治療が一般的ですが、これもまた益より害が上回ることがあります。心臓発作や深部静脈血栓、肺塞栓症といった重度の合併症が起こり得ますし、時には死に至ることもあります。加えて、男性1000人のうち40人ほどは、治療後に勃起不全になったり、尿失禁をするようになってしまうのです。

スクリーニング検査は、費用がかさむ

PSA検査自体の費用は、およそ40ドル(日本円で約5,000円)と比較的安価ですが、異常値が出ると、その後にかかる費用がどんどん増していきます。

生検をするため、主治医は泌尿器の専門医に紹介するでしょう。

この時かかる費用には、以下のようなものが含まれます。

  • 専門医紹介にかかる費用(最大350ドル(日本円で約42,000円))
  • 超音波検査の費用(約150ドル(日本円で約18,000円))
  • 専門医の診察費(最大200ドル(日本円で約24,000円))
  • 生検の費用(約500ドル(日本円で約60,000円))

生検によって問題が生じた場合、さらに費用がかさみ、場合によっては入院費も必要になります。

PSA検査が必要になるのはどんなときか

50歳から74歳の場合は、PSA検査をするかどうか、主治医と相談するのがよいでしょう。どんなリスクや利益がありえるかについて尋ねてください。

50歳以下あるいは74歳以上ならば、前立腺がんが強く疑われる場合を除いて、PSA検査が必要になることはほとんどないでしょう。必要となるのは、例えば以下のような場合です。

・家族、特に親や兄弟など近い血縁者に前立腺がんを発症した人がいる場合、前立腺がんの発症リスクは増大します。

・近い血縁者が60歳以前に前立腺がんを発症したか、75歳までに前立腺がんにより亡くなったということがあれば、発症リスクはさらに増します。

・これらのリスクがある場合、50歳以下の方でもPSA検査を受けることを相談するのがよいでしょう。

アドバイスコラム

PSA検査を受けるか決めるためのヒント

PSA検査を受けるべきなのか

前立腺がん発症のリスクが低い男性に対する定期的なPSA検査が、余命を延ばすという十分な根拠はありません。米国予防医学作業部会(U.S. Preventive Services Task Force)と同様、コンシューマーレポートは、前立腺がん低リスク層の男性に対して検診を行うことは、有益性よりも害の方が大きいと考えています。

かかりつけ医に相談してみてください

  • 年齢が50歳から75歳の間であれば、定期的な検査に関してかかりつけ医に相談するのがよいでしょう。
  • 良い面と悪い面の両方を把握してください
  • そのうえで、PSA 検査を受けるかどうかを決めてください。
  • PSA検査が、前立腺がん発症のリスクが高い男性にとって有用になる可能性があることも念頭に置いておきましょう。

リスクを考慮してください

前立腺がんに罹患している患者に対して行うPSA検査は、非常に有用です。手術後、あるいは放射線治療後の方も含みます。

PSA検査は、待機療法を選択した患者の経過観察にも用いられます。(PSA監視療法ともいわれます。)前立腺がんは、低リスクで、一般的に進行が遅く、命に関わることはありません。

がん治療に伴い、強い副作用が出る場合があるので、治療の代わりに待機療法(PSA監視療法)を選択する患者も沢山います。PSA検査の結果に変化が起こった際に、治療の開始を検討します。

 

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。

翻訳:Choosing Wisely翻訳チーム 学生メンバー・大阪医科大学 荘子万能

監修:小林裕貴、徳田安春先生

日本における総合診療の第一人者・オピニオンリーダーであり多数の著書で知られる。これからの適切な医療のためには従来のEvidenceに基づくものだけではなく、医師が自律してリスク、ベネフィット、コストをすべて考えていくことが大切であるとし、「Value Based Medicine」の概念を推奨している。適切な診療を行っていくための指針であるChoosing Wiselyでは日本代表を務めるなど、国際的な活動も精力的に行っている。

関連記事