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インタビュー

公開日 : 2015 年 10 月 26 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

前立腺がんの放射線治療「高線量率組織内照射治療」について

「がん」は、進行状態によっては、生活の質よりも生命を守る治療を最優先しなければならない場合があります。そのため、治療を受けるにあたっては、身体的な負担や治療後の日常生活の負担が大きくなることが珍しくありません。しかしながら、医学の進歩によって、様々ながんに対して治療後の負担が軽減できる治療法が開発されています。前立腺がんにおける高線量率組織内照射治療もその例です。この記事では、前立腺がんの高線量率組織内照射治療について、川崎医科大学放射線科(治療)教授の平塚純一先生に解説していただきます。

前立腺がんに対する高線量率組織内照射とは

前立腺の位置

前立腺とは、膀胱の下に位置する器官です。男性だけに存在し、主として前立腺液を分泌し、睾丸で作られた精子と前立腺液を混ぜ合わせて精液を作っています。加齢による前立腺肥大症により尿道を圧迫して排尿障害を起こしますが、前立腺がんにおいても同様の症状が起こることがあります。また、がんである以上転移が起こり、他の器官の機能を損ねたり、果ては生命の危機に至ることもありえます。

限局性前立腺癌に対する根治的治療として、これまで「前立腺全摘除術」と「根治的外照射治療」が挙げられてきました。しかし実際には、前者が根治的治療として唯一のGolden standard(信頼できる基準)と考えられていました。日本においてその傾向は顕著でした。

たしかに、限局性前立腺癌に対するこれまでの外照射を中心とした放射線治療成績は、長期効果の点で決して満足のいく結果ではありませんでした。その原因として、周辺正常組織の耐用線量の低さのために、十分な線量を前立腺に配分できなかったことが挙げられます。しかし、最近の放射線治療支援機器の進歩により、周辺正常組織への線量を減らし、前立腺病巣に比較的大線量を照射することが可能になってきました。そのため、治療成績の上昇と治療後の QOL(生活の質)向上がもたらされるようになりました。

そのひとつが小線源を用いた「組織内照射治療」です。組織内照射の最大の特徴は、標的に合わせた線量分布が得られ、臓器固有の動きに対応できることです。この点で究極の高精度放射線治療といえます。本記事では、イリジウム192(Ir-192)を用いた高線量率組織内照射治療について説明します。

イリジウム高線量率組織内照射治療とはどんな治療法なのか?

高線量率組織内照射治療とは、前立腺にアプリケーター針(イリジウム線源を通すための管状針)を挿入し、その針を通してイリジウム線源(直径 0.9mm)を挿入して、前立腺がんを治療する方法です。この治療で使う装置は、遠隔操作でイリジウム線源をあらかじめ前立腺にアプリケーター針を刺入し、コンピュータ制御で患者さんの前立腺の大きさ・形に合わせて放射線を照射してがんを治療するハイテク小線源治療装置です。投与線量やその均等性の調節に優れており、高い精度での治療を可能にしています。

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