インタビュー

インフルエンザの治療――抗インフルエンザ薬は症状改善を1日早める

インフルエンザの治療――抗インフルエンザ薬は症状改善を1日早める
岩田 健太郎 先生

神戸大学大学院医学研究科 感染治療学分野 教授

岩田 健太郎 先生

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この記事の最終更新は2015年05月14日です。

冬に大流行するインフルエンザ。治療の中心は抗インフルエンザ薬ではなく、安静にして睡眠を十分に取ることですが、実際には抗インフルエンザ薬はどのような効果があるのか? 飲むべきなのはどのようなときなのか? 神戸大学感染治療学教授の岩田健太郎先生にお聞きしました。

インフルエンザ治療の基本は、安静にして睡眠を十分に取ることであり、抗インフルエンザ薬を飲むべきかどうかはケースバイケースです。実際には「症状の改善を1日程度早める」というのが抗インフルエンザ薬の効果です。また、抗インフルエンザ薬の効果があるのは発症から48時間以内です。48時間を過ぎると効果がないので、ほぼ使わないと考えてよいでしょう。漢方薬もおおむね似たような効果があります。

48時間以内の場合には状況次第で、オセルタミビルなどの抗インフルエンザ薬を使うか、あるいは漢方薬を使うか、どちらも使うか、どちらも使わないかの4通りの選択肢があります。これは自分自身の場合は患者さんの希望次第にしています。どちらも飲むこともありえますし、どちらも飲まないこともあるのです。

それでも、抗インフルエンザ薬を使うべきシーンがあります。それは重症化リスクが高い場合です。たとえば、妊婦さん、免疫が極度に弱っている人、肥満の方、高齢者などは抗インフルエンザ薬をすすめます。「高齢者」というくくりも今は難しく、状況次第で異なります。自分はおおむね80歳代は出す、70歳代はだいたい出す、60歳代であれば元気な方なら漢方でもOKといった印象ですが、一概にはいえないというのが実情です。

子どもの場合も、抗インフルエンザ薬を使用するかどうかはケースバイケースです。アメリカのデータでは、抗インフルエンザ薬は生後2週間から飲めるとされています。

「10歳代の子どもがオセルタミビルを内服してビルから飛び降りた」というニュースが一時期注目を浴びました。しかし、インフルエンザそのものによっても、中枢神経症状(脳症)を起こし、異常行動をすることがあります。このため、ニュースにおける異常行動がオセルタミビルの影響なのかインフルエンザそのものの影響なのか、はっきりしません。オセルタミビルを子どもに処方する場合は、保護者と相談したうえで飲んでもらっていますが、おおむね7割くらいは飲まないケースです。

いずれにしても、子どもがインフルエンザになってしまったときは、オセルタミビルを飲んでいるかいないかにかかわらず、脳症(中枢神経症状)を起こす可能性があります。このため保護者の方は、子どもをきちんと注意してみてあげることが重要です。

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