刺された虫の種類によって、症状の出方が違います。重症化することは少ないですが、長袖や長ズボンで肌の露出を少なくするなど、刺されないための予防が重要です。
一口に虫刺されと言っても、刺す虫の種類によって症状の出方が違います。蚊は通常は境い目がはっきりとした、盛り上がりのあるかゆみを伴う発疹が出ます。赤ちゃんでは大人に比べて腫れが大きくなりやすいことが特徴です。毛虫による虫刺されは6〜7月が多く、かゆみを伴う赤くて細かい発疹が、刺されてから1〜2日して出てきます。蚊や毛虫による虫刺されは自然に治りますが、かゆみが強い場合にはステロイド入りの軟膏を塗ります。ハチによる虫刺されは痛みを伴って赤く腫れます。くり返し刺されると、人によってはハチ毒に対するアレルギー反応を起こして、命にかかわる可能性もありますが、子どもではまれと考えられています。
(京都大学大学院医学研究科 薬剤疫学教室 講師 竹内正人先生)
ポックスウイルス(伝染性軟属腫ウイルス)による感染症で、治るまでに時間がかかるために皮膚科で処置を行いますが、処置をしないでよいという考え方もあります。
乾燥肌やアトピー性皮膚炎の人に多い傾向があります。みずいぼにかかった人と直接接したり、タオルなどを共有で使うことで感染します。発疹は小さく、中心部に水を含んでいます。自然に治りますが、平均して数カ月、長いと年単位の時間がかかることもあります。また、1カ所が治ってもほかのところにできるのが特徴です。治療は、特殊なピンセットでつまんで取る、液体窒素を使うなどの処置が皮膚科で行われます。処置をしてもほかの場所にできることもあるため、何回か続けて治療を行う必要があります。治療をせずに自然に消えるのを待つだけでよいという意見もあります。
(京都大学大学院医学研究科 薬剤疫学教室 講師 竹内正人先生)
子どもがやけどにあうときのパターンは似ていますので、注意して予防することが大切です。また、やけどをしたら、まず始めに水の勢いを弱めた流水で十分に冷やしてください。
やけどの重症度は範囲や深さ、やけどをした場所で決まります。子どもではその子の手のひらの大きさが体全体の面積の1%前後です。一般に10%以上の広さの場合には入院が必要です。また顔や手足の比較的広い範囲にやけどをした場合も入院となることが多いです。応急処置として、水道水などで十分に、可能なら30分以上冷やして、範囲が広いようであれば早めに医療機関を受診してください。日本人の子どもでは、熱い飲食物(みそ汁やカップ麺など)がかかる、炊飯器や加湿器の蒸気を触る、お風呂へ落ちる、花火が当たる、などによるやけどが多いようです。これらを子どもの手の届くところに置かないなど、予防が最も大切です。
(京都大学大学院医学研究科 薬剤疫学教室 講師 竹内正人先生)
最近、日焼けと皮膚がんとの関係についてさまざまな意見がありますが、今のところ日本人では皮膚がんの危険性が上がるという明らかな証拠はありません。
子どもは紫外線を浴びる機会が多く、一生のうちに浴びる紫外線の50%以上を20歳までに浴びるという報告があります。日焼けは紫外線による急性の皮膚障害ですが、日焼けのしやすさ、皮膚に受けるダメージには人種や個人で差があります。日焼けが皮膚がんを引き起こすと言われていますが、これは白色人種を対象に調査した結果で、日本人に当てはまるかは明らかではありません。一方で、紫外線を極端に避けた結果、ビタミンD不足となることも問題となっています。とは言っても、日焼けをしすぎると、軽いやけどの状態となり、痛みや水ぶくれを伴うため、日焼け止めなどをうまく使いながら、適度な範囲に留めておくことが大切です。
(京都大学大学院医学研究科 薬剤疫学教室 講師 竹内正人先生)
かゆみを伴う湿疹で、良くなったり悪くなったりします。湿疹のできる場所は年齢によって変化し、左右対称性に見られます。薬物治療、スキンケア、悪化する原因への対策を行います。
かゆみを伴う湿疹で、良くなったり悪くなったりします。家族にもアトピー性皮膚炎の人がいることが多く、本人も気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎などほかのアレルギーをもっていることが多いです。皮膚を守る機能(バリア機能)が低下しているので、入ってきてほしくない物質や刺激が通りやすくなり、アレルギー性の炎症を起こします。湿疹のできる場所は、赤ちゃんでは頭や顔、幼児期は首や肘や膝、思春期は上半身が中心で、左右対象性に見られます。治療は、ステロイド外用薬を中心とした薬物治療、皮膚の清潔・保湿といったスキンケア、環境や食事などで悪化させている原因への対策、の3つの柱で取り組むことが重要です。
(帝京大学医学部附属溝口病院 小児科 狩野博嗣先生)
アレルギー性鼻炎ではくしゃみ、鼻水、鼻づまりが見られ、アレルギー性結膜炎では目のかゆみや充血、涙、目やにが見られます。原因となる物質を避け、薬物治療を行います。
アレルギー性鼻炎は鼻粘膜でのアレルギー反応により、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを起こします。アレルギー性結膜炎は結膜でのアレルギー反応により、目のかゆみや充血、涙、目やにを起こします。いずれもダニや家のほこりが原因で1年中症状が出るタイプと、花粉症のようにある季節にのみ症状が出るタイプがあります。治療は、アレルギー性鼻炎では原因物質を取り除き、避けることに加えて、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬、ステロイド点鼻薬などの薬物治療を行います。重症の場合は、免疫療法や手術を行うこともあります。アレルギー性結膜炎ではコンタクトレンズより眼鏡をすすめ、抗アレルギー薬やステロイド点眼薬を使います。
(帝京大学医学部附属溝口病院 小児科 狩野博嗣先生)
※この記事は2012年当時の情報に基づいて記載しております。
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