編集部記事

右心不全の原因とは?~左心不全と診断されている方は注意が必要~

右心不全の原因とは?~左心不全と診断されている方は注意が必要~
杉本 匡史 先生

三重大学医学部附属病院 中央検査部 助教

杉本 匡史 先生

一般社団法人 日本循環器協会

目次
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右心不全とは、全身から心臓へ戻ってきた静脈血が右心系(右心房、右心室、三尖弁(さんせんべん)、肺動脈弁)を通過して肺に運ばれていく過程で、右心系の機能が障害を起こした状態のことです。

右心不全を起こすと、全身の静脈に血液がたまった状態になるため、肝臓・胃・腸・腎臓などの臓器に負担がかかり、むくみや体重増加、食欲不振などの症状が現れます。また、右心不全は左心不全に続発して起きる頻度が高いため、すでに左心不全と診断されている場合には右心不全の合併に注意が必要です。

では、右心不全は何が原因で生じるのでしょうか。本記事では右心不全の主な原因や予防法について解説します。

心不全は症状や原因によって左心不全、右心不全、両心不全(左心と右心が同時に障害された状態)というように分類されます。これら心不全は右心不全に限らず、以下の病気が原因で発症すると考えられています。

左心不全とは、肺から心臓へ戻ってきた動脈血が左心系(左心房、左心室、僧帽弁(そうぼうべん)、大動脈弁)を通過して全身へ運ばれていく過程で、左心系の機能が障害を起こした状態のことです。

左心不全によって血液が肺にうっ滞すると、右心系の役割(全身から心臓に戻ってきた静脈血を肺に送る役割)が十分に果たされなくなるため、右心系の負担が大きくなり、左心不全に続いて右心不全が生じることがあります。右心不全に左心不全が合併する場合、むくみや体重増加といった右心不全の症状に加えて、呼吸困難、体を動かした際の息切れなど左心不全の症状も同時に現れることがあります。

右心不全の中には、左心不全を伴わずに単独で生じるものがあります。単独で生じる右心不全の原因となる病気には、三尖弁疾患、肺動脈弁疾患など生まれつきの病気のほか、肺高血圧症や慢性肺疾患などの病気があります。

肺高血圧症

肺高血圧症とは、右心系から肺へ血液を送る血管である肺動脈の血圧が上昇する病気です。肺動脈の血圧が上昇すると、肺に血液を送るポンプへの負担が大きくなるため右心系に負担がかかり、右心不全の原因となります。なお、肺高血圧症には、指定難病になっている“肺動脈性肺高血圧症”や“慢性血栓塞栓性肺高血圧症(まんせいけっせんそくせんせいはいこうけつあつしょう)”など左心不全を伴わない病気と、心臓弁膜症など左心不全を伴う病気があります。

左心不全を伴った右心不全と診断されている方は、心不全の悪化を予防することが非常に大切です。生活習慣が悪化すると、心不全を起こすリスクが高くなるだけではなく、心不全の症状を悪くする恐れもあります。以下のような生活習慣に注意し、心不全のリスクを抑えるよう注意しましょう。

また、左心不全を伴わない右心不全と診断されている方は、原因疾患に合わせた予防方法をかかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。

  • 食生活をあらためて食べ過ぎを防ぎ、塩分を控えめにする
  • 適度な運動を行う
  • 禁煙する
  • お酒を飲みすぎない
  • 治療中の場合、医師の指示に従い治療薬を正しく服用する

など

右心不全は左心不全に続発して生じる可能性があるほか、心臓や肺の病気によって単独で生じることもあります。

悪化すれば命に関わる危険性もあるため、右心不全だと診断された場合には、自身の心不全の原因を理解し、治療や予防を行うようにしましょう。また、すでに左心不全と診断されている方や、まだ診断されていない方も気になる症状がある場合は、まずはかかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。

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  • 名古屋市立大学医学部附属みらい光生病院 循環器内科 准教授

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